リサイクル率が最も高い紙といえば段ボール。オンラインで買い物をすることが多くなった昨今、毎週のように段ボールが届くという方も多いのではないでしょうか。
既に配送箱やセット箱としての地位は確立している段ボールですが、個箱や化粧箱(=販売するためにデザインを施された箱)として使われているのは家電やお酒類など、重量があって商品保護の必要のあるものがほとんど。多くはオフセット印刷されたフルカラーの紙を段ボールに貼合したもので、段ボールの素材感はあまり感じられません。
そんな段ボールが最近、食品や化粧品にも採用されるようになってきました。エコを意識した側面もありますが、段ボールの持つラフさや工作っぽい遊び心、意外性などが相まって差別化に成功していると感じます。そんなパッケージをいくつか紹介したいと思います。
まずは大人気、BAKEの「プレスバターサンド」。薄めの段ボールでよく使われるE段を使用しています。
段ボールの構造として、上下の紙は「ライナー」、中のなみなみ部分は「中芯」と呼びますが、プレスバターサンドはグレーや紺など、色付きのライナーを使っているので段ボールと気づかないかもしれません。
ただ、色は違えど段ボールの質感を感じる紙で、段ボール印刷の定番であるフレキソ印刷という点に「らしさ」を感じます。正面の箔押しで高級感がぐっとアップして、ギフトのお菓子として納得して購入できますね。
続いて、同じ東京土産の「東京ミルクチーズ工場」。こちらは段ボールのクラフト地を生かしたパッケージです。キャラメル箱の底がカットされた、半分スリーブみたいな形状で、2つの引き出し型の身箱に個包装のクッキーが入っています。引き出しはシールで止まっているだけ。
牧場の牧歌的な雰囲気を段ボールで表現しつつ、グラフィックはスタイリッシュ。おしゃれだけど懐かしいイメージも感じさせるデザインです。工場というより農場という感じでどこかホッとしますね。
フレキソ印刷で外箱は紺1色、引き出しは赤1色ですが、色数の少なさも感じさせません。身箱に白段ボールを使っているのも清潔感があって良いですね。
最後は「ル・ショコラ・アラン・デュカス」。真打ち登場です。
数年前、バレンタインの催事で初めて見た時は、高級チョコレート市場において全面ダンボールパッケージということで衝撃を受けました。黒を基調とした店作りとマッチして、とにかく格好良かったのです。
仕様はダンボールに銅色の箔押しのみ。封印はシール。裏面表示も透明シールでした。(なので、リサイクルに出す時は箔押し部分とシールを剥がす必要があります)
フタをあけるとリーフレット、セピアのグラシン紙+シール。シールをはがすとクッション。クッションを取り外してチョコレートにたどり着きます。高級チョコレートとあってこのあたりは厳重。
余談ですが、高級チョコレートには必ず底上げや崩れ防止用の「中仕切り」があります。このチョコレートはその中仕切りも紙製でした。
分解するとなかなか手間な構造。これはトムソン型でカットされているようですが、箱の組み立ての際に間違わないように3つ全部に矢印が入ってます。手前のヤッコに薄く見えますね。印刷ではなく、トムソンの刃を利用して矢印を入れていて、こういうのを見つけるとパッケージマニアとしては嬉しくなってしまいます。
このように、箔押しとフレキソ印刷だけでもさまざまな表現ができ、改めて段ボールの化粧箱に可能性を感じました。エコや脱プラの観点からも今後増えそうな気がします。
次回は化粧品で使われる段ボールについて考えたいと思います。
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