ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

スイーツのお洒落なテイクアウトボックスとニューヨークの最近の流行

暑い夏のシーズン到来で、ニューヨークでは、今涼し気なスイーツが新商品として登場しています。

涼しいスイーツといったら、代表的なのはやはりアイスクリームです。アイスクリーム店はアメリカでとても人気があり、夜遅い時間でもお店に行列を作るほどになっています。

そんな街だからこそ、ドーナツ屋さんやベーカリーなどでも、夏の限定商品として、そのお店の特徴を活かしたアイスクリームメニューが登場しています。

最近では、スイーツ全般がお洒落で高級感のある存在になっており、今までにない新タイプのアイスクリームや、映えるアート作品のような美しいケーキなどがとても人気です。また、お洒落なスイーツを引き立たせるパッケージにもこだわりが見られるようになっています。

ドーナツ屋さんのエコな容器

ニューヨークでは今、見映えがよく原材料に創意工夫を凝らしたプレミアム感のある高級スイーツのお店が人気になっています。

手頃な価格のスイーツとして知られるドーナツの世界でも、写真映えしたり、体にいい原材料を使ったドーナツを作るお店が選ばれるようになっており価格帯も上がっています。ブルックリンにあるドーナツ屋さん「Cloudy Donut」 は、ボルチモア発のお店で、ニューヨークには2022年にやって来ました。100%ビーガンをモットーとし、乳製品は一切使わず、代わりにココナッツミルクなどを使用し、少量生産の品質のよいものを提供するお店です。保存料を使用していないこともあり、ドーナツにも拘らず常温で13時間しか持たないという、賞味期限がとても短い繊細な商品になっています。

そんなドーナツ屋さんで人気となっている夏の限定メニューが、アイスクリームメニューです。お店の自慢のふわふわのドーナツの上にその日のフレイバーのアイスクリームが乗せられています。

そしてこの新メニューのために用意されている使い捨ての器とスプーンも、エコを意識した、竹製であることに注目です。

Cloudy Donut は、フレッシュフルーツが乗っていたり、可愛いキャラクターが描かれていたり、絵になるデザインのドーナツも多く、人気になっています。

フランスの繊細なケーキと上品なデザインパッケージ

ニューヨークではSNSなどの影響もあり、見た目が映えるプレミアム感のあるケーキ屋さんが増えています。スイーツは日中のおやつの時間の需要が多いように思われがちですが、ニューヨークでは実は、夜遅くまでスイーツのお店が人気になっています。

そんなトレンドもあり、SoHoにあるパティスリ「Sweet Rehab」は深夜まで営業し、ケーキと一緒にシャンパンも振舞うお店になっています。

ケーキの箱は、ニューヨークらしいクールな白黒の色を基調とし、ゴールドの文字で高級感を演出しています。鳥や木の実を描いた森の中の自然の光景が思い浮かぶデザインが外箱に施されており、蓋を開けると、蜂の絵が現れます。

カットした蜂の巣をケーキのトッピングとしてのせる蜂蜜のケーキが名物となっているお店なので、シンボルマークに蜂が使われており、そんな蜂のシンボルマークが外箱を開けた瞬間現れる演出の箱になっています。

注文が入ってから目の前のお客さんのためにケーキの最後の仕上げのトッピングをし、出来立てのケーキを提供することを売りにしているお店です。

ケーキもその分とても繊細な作りになっており、テイクアウトの際は細心の注意を払わないと美しいケーキの形が崩れてしまいます。そんな繊細なケーキを提供しているお店のパッケージは、ケーキ一つ一つに合わせて作られたピッタリのサイズのケーキ箱が用意されています。

アート作品のようなケーキとパッケージ

ニューヨークで、最近よく見かけるようになっているのが、食べてしまうのがもったいないほど美しいアート作品のようなスイーツです。

こちらは、クイーンズのロングアイランドシティにある「Roam dessert bar & gallery」というお店で、ショーウィンドウにはアート作品のような美しいケーキが並んでいます。

見映えのいいケーキは、SNSで話題になりとにかく宣伝効果が大きいです。そんな美しいケーキを商品とするお店はパッケージにもこだわりがあります。ケーキ一つ一つをしっかりと厚みのあるボックスで丁寧に包み込んでくれます。

このお店のボックスは蓋を開けた瞬間の美しさにもこだわりが見られます。まるで本物そっくりの美しいアートのようなレモンのケーキが、内箱の壁に四方八方にミラーのように映り込み、キラキラとまばゆいゴールドがとても豪華な演出になっています。

涼し気な竹の葉容器

クロナッツという、ドーナツとクロワッサンの融合スイーツで有名になったフランス風のスイーツ店「Dominique Ansel」は今でも行列ができる人気店です。今の季節は夏限定メニューとして、スイカのソフトクリームが登場しさらに人気になっています。このスイカのソフトクリームはとても話題性のある見た目で、本物のスイカを使い、くり抜いた中身の部分にスイカのソフトクリームを入れ、最後の仕上げとして、スイカの表面にスイカの種を模したチョコレートが飾られます。この夏の限定メニューには、エコな竹の葉の使い捨て容器が使われています。

スイカの器としてとても合っていて、とても涼し気でお洒落な印象を与えています。

また、このお店のケーキボックスもお洒落で印象的なボックスです。ケーキを包み込むように優しい丸みを帯びたフォルムのフランスらしいボックスです。

SNSで大人気の丸いクロワッサン

新商品がSNSで大きく拡散され、毎日大行列の人気店となっているお店が「Lafayette」というベーカリーです。話題の商品は「The Suprême」という丸いクロワッサンで毎日3種類くらいが店頭に並びます。

1日3回焼き上がりの時間になると、お店の前にこの商品を目当てに行列ができます。左側の青い箱が、丸いクロワッサンをテイクアウトするときに入れてくれる箱です。ベーカリーの商品ですが、お洒落なケーキ箱に入れてくれるので高級感が増します。

この丸いクロワッサン、実は流行っているのは、ニューヨークだけでなく、世界でも類似商品が登場しています。

ウェディングケーキ職人が小売りケーキ市場に進出

ニューヨークで、美しいアートなデザインのスイーツが増えている背景の一つは、パンデミックによる変化があります。パンデミック中に、ウェディングをはじめパーティイベントが激減したため、ウェディングケーキなどの注文が途絶えてしまい、パーティ用のケーキを専門にしていた人たちが、お店を持ち一般向けにもケーキを販売するようになりました。

ウェディングケーキ職人は、お花のような華やかな美しいケーキを得意としています。美しい映えるケーキがブームになっている現在、こういったお店のケーキも人気があります。

パーティ用ケーキを得意とするウエストビレッジの「 AnnTremet Cake」では、ケーキのテイクアウトボックスに箱の外からでも美しく見える透明の大きな窓が付いた真っ白な箱が使われています。

アイスクリームをお洒落なバーで楽しむ

夜でもアイスクリームが人気なニューヨークにふさわしい、お酒のアイスクリームを出すバースタイルのアイスクリーム屋さんがあります。マイアミ発のアイスクリーム屋さん「Aubi & Ramsa」 は、ニューヨークに2店舗を展開しています。

バーカウンターに座り注文をすると、シングルモルトのMacallan 12、バーボンのJack Daniel、テキーラのDon Julio をはじめ様々なお酒をベースにしたプレミアム感のあるアイスクリームがお洒落なアルミ蓋付のアイスクリームカップで出てきます。

お店の作りは、バーそのもの。でも注文するものは、アイスクリームです。こだわりの美しいスイーツを提供する大人のお店といった感じです。

お酒の飲み会をしない人々も増えてきている中での新しい形の夜の社交の場とも言えます。

お酒が苦手な人でもアイスクリームなので美味しく頂けます。夜のお店としてもふさわしい雰囲気のお店ですが、お昼間もたくさんお客さんがやってきていて人気があります。

パンデミックとその後のインフレによる影響で、砂糖や卵、小麦、バターなどスイーツの原料の価格が高騰し、何気ない普通のスイーツも全体的に価格が上昇しました。

そんな時代だからこそ、逆に、ニューヨークで人気になっているのがプレミアムスイーツです。新しいアイデアとデザインを用い、原材料とパッケージにも一工夫を凝らした、$10-$20 の値段帯のプレミアムスイーツが次々に生まれています。以前から人気だったお店に加え、パンデミック中にアメリカ各地で成功を収めたスイーツ店や、パーティの激減により小売りに進出して来たデザインを得意とするパティシエによるお店も加わり、思わずSNSにアップしたくなってしまう今まであまり見たことがないプレミアム感のあるスイーツが数多く登場し人気になっています。

 

▼編集部おすすめ記事

日本のパティスリー包材と「脱プラ」意識、フランスとの違いと変化の兆しとは?

 

 

このライターの記事

Top