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大人もはまる遊び心のある話題のキャンディストア

アメリカでは、ここ数年SNSでの流行をきっかけにキャンディがとても人気になっています。ニューヨークでは、近年ポップで可愛いキャンディショップの出店が増え、街中でよく目にするようになっています。

主要な客層となっているのは、Z世代の若者層です。可愛らしい形状やカラフルな色合い、ノスタルジーを感じさせるデザイン、意外性のあるフレーバーやユニークな食感など、話題性のあるキャンディが人気となっています。キャンディそのものの魅力に加え、パッケージ、店舗デザインなどさまざまな側面に工夫を凝らし、個性的な世界観が楽しめるニューヨークを代表する人気のキャンディストアをご紹介します。

夢のお菓子の世界「Dylan's Candy Bar」

「Dylan's Candy Bar」の外観
店内に一歩足を踏み入れると、そこにはカラフルで夢のようなキャンディの世界が広がります。「Dylan's Candy Bar」は、2001年にニューヨークのアッパーイーストサイドにオープンし、長く親しまれて来ました。オリジナル店はパンデミック中に惜しまれながら閉店となってしまいましたが、現在では、ニューヨークではハドソンヤード店と、季節限定でハンプトンにも出店しています。さらに、ロサンゼルスや全米のいくつかの空港にも店舗を展開しています。

創業者Dylan Laurenは、1964年に出版されその後何度か映画化もされているイギリスの名作児童書『Charlie and the Chocolate Factory』にインスピレーションを受け、ポップでカラフルな夢のような世界観のお店を作り出しました。その徹底した世界観へのこだわりは、商品、パッケージ、店舗デザインなどあらゆるところで感じられます。子どもだけでなく、大人たちも魅了されてしまう、遊び心のある華やかな内装デコレーションは、とてもインパクトがあり、その後のキャンディブランドのデザインにも大きな影響を与えています。

「Dylan's Candy Bar」の華やかな内装デコレーション
「Dylan's Candy Bar」の売り場の象徴的存在となっているのが、巨大なキャンディコーナーで、好みのキャンディを好みの量で購入することができます。壁一面に並ぶ、キャンディボックスのコーナーは、他ブランドには見られない圧倒的な大きさと種類の豊富さを誇り、夢のようなキャンディの世界を作り出しています。

壁一面に並ぶキャンディボックス
「Dylan's Candy Bar」は、パッケージデザインにもこだわりがあります。キャンディを自由に選んで購入できる体験に加え、容器にもブランドらしさが出ています。ソフトクリームをモチーフにしたパッケージをはじめ、細部まで丁寧に作り込まれたデザインによって、楽しいスイーツの世界観が演出されています。

ソフトクリームをモチーフにした容器
「Dylan's Candy Bar」の代表的なパッケージが、こちらの透明素材の詰め合わせボックスです。カラフルな色合いのさまざまな種類のキャンディを自由に組み合わせ、そのまま見せることができるパッケージです。たくさんの種類のキャンディを欲張りに楽しみたいという夢を形にしたようなボックスデザインです。
自由に詰め合わせを楽しめるだけでなく、誕生日やバレンタインなどのイベントに合わせた限定の詰め合わせパッケージも展開され、ギフトとしても喜ばれる商品になっています。

いろいろな種類のキャンディを自由に組み合わせられる透明素材の詰め合わせボックス
「Dylan's Candy Bar」の商品は、統一感のあるブランドのデザインとカラーが用いられたパッケージとなっており、商品はどれも彩りが豊かで映えます。
バラの花を模した遊び心あふれるチョコレートのように、視覚的に楽しめる商品もいろいろあります。

バラのチョコレートの販売演出も面白く、まるで本物の花を購入するように、花を丁寧にペーパーで包み、リボンをかけて仕上げてくれます。商品そのものだけでもインパクトがありますが、購入体験も楽しい思い出になります。

透明の詰め合わせボックスとバラの花を模した遊び心あふれるチョコレート
日本ではキャンディというと飴を思い浮かべる人が多いですが、アメリカではグミやソフトキャンディをはじめ、飴、チョコレート、ガム、ラムネなどさまざまな砂糖菓子の総称として用いられています。

「Dylan's Candy Bar」では、そんなバラエティ豊かなキャンディが量り売りとパッケージ商品で販売されています。
ポップでカラフルな店内で独特の存在感を漂わせているのが、ノスタルジアのキャンディコーナーです。昔ながらの色使いが印象的なレトロなお菓子がずらりと並び、ヴィンテージ好きの人も楽しめるようになっています。

レトロなお菓子がずらりと並ぶノスタルジアのキャンディコーナー

スウェーデンキャンディ専門店「BonBon」

「BonBon」は、スウェーデン出身の3人組により2017年にニューヨークで創業されたスウェーデンキャンディの専門店です。2018年にロウアーイーストサイドに最初の店舗をオープンしました。

有名なキャンディブランド「BUBS」をはじめとするスウェーデン発のキャンディが2024年にSNSでバイラルとなりました。そんなトレンドに乗って、「BonBon」も一躍人気店となり、現在では、マンハッタンとブルックリンに6店舗を構えるまでに拡大しています。

「BonBon」の内観
スウェーデンは、キャンディ大国として知られ、世界でも一人当たりのキャンディの消費量が最も多い国の一つです。お店には多種多様なスウェーデンのキャンディが揃い、その種類の豊富さも魅力となっています。スウェーデンでは、週に一度、土曜日にキャンディを楽しむ習慣があり、量り売りで自由に組み合わせ、さまざまな種類のキャンディを楽しむスタイルで広く親しまれています。

そんなスウェーデンならではの文化的習慣もストーリーとして語られ、スウェーデンのキャンディ文化を体験できるお店となっています。キャンディそのものの魅力はもちろん、ショップを訪れて自分で好きなキャンディを選び購入するというプロセスまで含めて楽しみにやって来ている人が多いです。また、スウェーデンのキャンディは、アメリカの製品と比べて、自然素材を使用し、人工添加物が比較的少ないという点も注目されています。

お店に並ぶ多種多様なスウェーデンのキャンディ
量り売りのキャンディを入れる紙袋にも、スウェーデンの国旗のイラストが描かれ、ブランドのルーツであるスウェーデン文化を象徴するようなデザインのパッケージになっています。

SNS映えするピンクのパッケージは、淡く上品なトーンでまとめられ、カラフルなキャンディの色彩を一層引き立てるものになっています。袋には童話に出てくるようなキャラクターが描かれ、楽しい世界観が感じられます。遊び心あふれる形と鮮やかな色合いのキャンディは、写真に収めたくなる、人に伝えたくなる魅力にあふれており、SNSで共有したくなるポイントとなっています。

SNS映えするピンクのパッケージとキャンディ

SNSで急成長「lil sweet treat」

スウェーデンキャンディの流行に乗って2024年にニューヨークのウエストビレッジに登場したのが、「lil sweet treat」です。創業者のElly Rossは、開店準備の様子をTikTokで発信して多くのファンを掴みました。SNSから生まれ、その強みを最大限に活用しながら成長してきたキャンディブランドです。まだ創業して数年ですが、ニューヨークに4店舗あり、さらにワシントンDC、フィラデルフィア、ボストン、シカゴなど全米に拡大中です。

「lil sweet treat」の外観
「lil sweet treat」は、スウェーデンのキャンディを中心としながら、ドイツやスペインなど他のヨーロッパ各国のキャンディも取り揃えています。キャンディブランドとのコラボで、「lil sweet treat」限定商品も数多く用意しているのも特徴です。店舗は、SNSで映えるポップでカラフルなデザインになっています。

店内は広くありませんが、量り売りのキャンディボックスは一つおきに間隔を空けて交互に配置されており、空間にゆとりが感じられます。厳選された商品が見やすく並べられ、複数の来店客が同時にキャンディを選べるよう配慮されており、店内での体験が心地よく、効率的に楽しめるような設計になっています。

空間にゆとりをもたせて配置している量り売りのキャンディボックス
キャンディショップの定番カラーとなっている、パステルピンクのキャンディ袋は、横長の丈夫なプラスチック袋です。スクープですくったキャンディを入れる際、袋の口が広いためキャンディが袋の外にこぼれ落ちにくいものになっています。また、袋には透明窓が作られており、中身のカラフルなキャンディが見える、見た目の楽しさも大切にしたデザインです。

パステルピンクのキャンディ袋とカラフルなキャンディ
さらに、このブランドでは紙袋にも中身が見えるように透明窓が施されています。紙袋の窓から覗く、カラフルでさまざまな形のキャンディは、ブランドらしい遊び心を感じさせ、細部にまで配慮されたデザインが印象的です。

透明窓がある紙袋

ノスタルジックなキャンディ店「Economy Candy」

最近のキャンディショップといえば、ポップでカラフルな店舗デザインが定番となっていますが、そんな中、昔から変わらないまま独特の存在感があるのが、1937年創業のニューヨークの老舗キャンディ店、「Economy Candy」です。2023年にはChelsea Market内にも支店ができましたが、ブランドの世界観を最も感じられるのは、やはり歴史あるロウアーイーストサイドにある本店です。

「Economy Candy」の外観
店内は、まるでキャンディのミュージアムのような雰囲気で、アメリカだけでなく、ヨーロッパやアジアなど世界各国から厳選された、さまざまなブランドのお菓子が所狭しと並べられています。どこか懐かしさを感じさせる、ノスタルジックな空間で、長年通うローカル顧客に加え、最近ではSNSをきっかけに来店する若者層も増加し、世代を超えて楽しめるお店になっています。特にTikTokで話題になっている、酸っぱいキャンディや、フリーズドライ商品、面白い形状のグミなど、トレンド性の高い商品なども取り揃えられています。

どこか懐かしさを感じさせる「Economy Candy」の内観
「Economy Candy」では、1857年創業のイタリア、トリノ発のブランド「Leone」や、昔のキャンディを復刻させたサワーキャンディブランド「Retro Sours」、さらにニューヨーク発で100年以上の歴史を持つクラシックなタブレットキャンディ「Choward's」など、レトロなデザインのパッケージ商品が数多く取り揃えられており、ヴィンテージ好きにも魅力的なお店となっています。また、オリジナルのショッピングバッグもレトロデザインで、昔ながらのスタイルを大切にするブランドのこだわりが感じられます。

レトロなデザインの「Economy Candy」のショッピングバッグ
アメリカでは、SNSの影響を強く受けるZ世代の若者層を中心にキャンディの人気が高まっています。健康志向の高まりから砂糖の少ない商品を選ぶ層がいる一方で、パンデミック以降は素直に「自分の好きなものを自由に楽しむ」といった傾向がSNSやリテール市場でより顕著になっています。

SNSでの流行を背景に、従来から親しまれてきた老舗やアイコニックなキャンディブランドに加え、新たなキャンディショップも次々と登場し、特にグミやソフトキャンディがトレンドの中心になっています。キャンディブランドは、SNSでのシェアを意識したポップでカラフルなデザインや、バラエティに富んだフレーバーや形状、復刻版などノスタルジーを感じさせる商品展開、さらに好きなものを自由に選べる日常の中のちょっとした楽しい体験づくりに力を入れています。

また、キャンディにとどまらず、SNSでの流行や影響力をもとに若者層をターゲットとした新リテールブランドも増加しており、思わずシェアしたくなる店舗づくりや世界観のある商品構成とパッケージ、個性的な体験を提供するブランドは今後も増えていくと思われます。

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