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ヘルシンキのゼロウェイスト、レストラン・ノッラの取り組み

※2024年4月9日時点の情報です。1ユーロ=164円 換算2024年4月9日付


ヘルシンキのデザイン地区に店を構える、レストラン・ノッラ(Ravintola Nolla)は、ゼロウェイスト(食糧廃棄のゼロ)とサステナブルをコンセプトに掲げ、近年フィンランドで最も勢いがあり、注目されているレストランのひとつです。ノッラは、フィンランド語で「ゼロ」を意味します。

センスの良い店内

木のぬくもりを感じられる家具に落ち着いたトーンのインテリアと絵画。センスの良い店内。

お店は、移民3人のオーナーがアイデアを出し合い、立ち上げました。サステナブルに重点を置き、地元産の旬の食材を使ったアラカルトとシェフのおすすめコース(€59、約9700円)があります。

ベジタリアンやヴィーガンメニューにも対応しており、多種多様な食生活の人にも楽しんでもらえるメニューづくりをしています。

料理は、素材の味をいかしつつ、食材の組み合わせ方にもアイデアが光ります。

地元のバルト海でとれた、一般的にあまり人気がなく廃棄対象になってしまう魚を使用したメニューを提供したり、いかに環境負荷を少なく抑えながら、おいしい食材を提供できるか、をとことん追求しています。

シンプルながらサプライズ感のある料理

シンプルながらサプライズ感のある料理

小規模生産者による上質なワインと自家製クラフトビールも美味しいです。ビール醸造の過程で出たビールカスはアイスクリームなどに作りかえています。

各テーブルに出される、水を入れるガラスのボトルやグラス、バター容器は、ワインボトルを再利用したもの。カトラリーはすべてセカンドハンドを使用。

バター

バターは、ワインボトルを切ってひっくり返したものにのせられている。

 

ナプキンや、スタッフが着用しているエプロンなども、ペットボトルを原料として作られたものを使用しています。

キッチンにはゴミ箱がありません。そのかわりに、レストラン内には、大きなコンポストが設置してあります。調理中に出たゴミとなるもの、例えば、卵の殻や、肉・魚の骨、野菜の皮などはすべてコンポストすることを徹底しています。

土は24時間ほどで栄養たっぷりの堆肥となり、生産者に配布されます。

レストランには使い捨てのプラスチックはなく、プラスチックで包装された食品も、ラップも真空バッグもありません。

床や食器は、オーガニックの石鹸を溶かして洗浄するため、プラスチックが出ないように工夫されています。

また、このレストランが提供するギフトカードはとてもユニークです。ケシの実が入った生分解性の種紙から手作りされたギフトカードは、レストランでの使用後に、自宅の庭に植えることができます。さらに、お客様には、家でギフトカードを植えてもらうべく、レストランの堆肥から土も提供しているという徹底ぶりです。このギフトカードは、食事をした後も、私たちにたのしみを与えてくれます。

経営チームは、無駄のないレストランと、クリエイティブな食がガストロノミー業界をより持続可能なものにすると考えています。

ノッラの目標は、地域のコミュニティーや他のレストラン、お客様をどんどん巻き込んでいき、アイデアとインスピレーションを与えて、この取り組みを楽しんでもらうように促すことだと言います。

細部までこだわりが詰まった素敵なお店で、楽しい発見が多いです!

Ravintola Nolla(レストラン・ノッラ)の外観

Ravintola Nolla(レストラン・ノッラ)の外観。

 

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