現在シンガポールでは、「Tim Hortons」というカナダ発祥のコーヒーチェーンが店舗を増やしています。日本にはまだ未上陸ですが、高品質なコーヒーと豊富なフードメニューが消費者から支持され、世界各国で店舗を展開しており、特にここ数年は東南アジアで展開を広げています。今後も規模を拡大する可能性が大きい同店が、どのようなマーケティングやブランディングを行っているかを本稿でお伝えしていきます。
「Tim Hortons」について
1964年にプロホッケーリーグの選手だったティム・ホートンが、選手としてのキャリア終了後の生活基盤を得るためにカナダのオンタリオ州ハミルトンに店舗を開いた「Tim Hortons」。開業当初の店舗名は「Tim Horton Donuts」です。1976年に「Timbits(ティムビッツ)」という小さなドーナツを発売し、人気商品となりました。
1984年には米国へ初進出し、その後北米地域で続々と店舗を広げていきます。2025年時点でカナダ国内に4,000店舗以上、オンタリオ州には全体の約47%の店舗が集中しているそうです。
そんな同店がシンガポールに上陸したのは2023年11月です。開業時には、最初の3日間、毎日先着100名の来店者に「レギュラーラテが週1杯、6カ月間無料」というプロモーションも実施され、大きな話題となりました。「Tim Hortons」は、現在シンガポール国内で11店舗を運営(2025年現在)しており、コーヒー好きの多いシンガポールで存在感を強めています。
店内の様子とメニュー
下記からは実際の店舗の様子をご紹介していきます。カナダ国旗を思わせる赤い文字で書かれた店名は、どこにあっても目立つデザインです。また、看板は特産物のメープルリーフをモチーフとし、内装には木材を使用するなどカナダをイメージさせる要素を多く取り入れています。
「Tim Hortons」では、オリジナルのドリンクやペイストリーに加え、シンガポール限定のフレーバーやメニューも提供しています。そのほか、甘さの調整やミルクなどのカスタマイズにも対応し、細かい工夫をしている点が幅広い層に支持される理由の一つだと思います。
ショーケースには、もちろん名物のドーナツも並んでいます。カナダで同店を利用したことがある方々が揃って懐かしがるのがこのドーナツだそうです。現地ではお値段ももっとリーズナブルだそうなので、国民にとっては日常の1コマにある"馴染みのあるお菓子"というイメージなのかもしれません。
ほかにも、「Tim Hortons」では他店にはない特色があります。それがカトラリーのコーナーにメープルシロップが置かれていることです。店内では、このメープルシロップをコーヒーに加えたり、パンにつけるためにお皿に出している方々を多く目にしました。カナダの名産品であるメープルシロップをセルフサービスで試すことができることで、消費者はカナダの食文化に親しみを持つことができます。ドリンクやフードメニューの中には、メープルラテやメープルチキンハムのホットサンドといったものもあり、現地ならではの味やカナダのカフェ文化を味わえるのも魅力的な点です。
人気の朝食セット
そんな「Tim Hortons」で人気があるのが朝食セットです。モーニングは5ドルから8ドルまでの価格帯があり、どのペイストリーを選ぶかで金額が変わってきます。内容としてはクロワッサンやドーナツ、ベーグルやホットサンドなどバリエーションに富んだラインナップとなっています。全ての食事にはお店自慢のコーヒーがついてきます。公式サイトをご覧いただくとメニューのより詳細な説明が出てきますので、気になる方はチェックしてみてください。(記事の最後にURLを記載)
訪問時に筆者がペイストリーとして選んだのは、店員さんおすすめのベーグルです。種類は、シナモンレーズン(Cinnamon Raisin)、全粒粉(Wholemeal)、セサミ(Sesame Seed)、ハラペーニョチーズ(Toasted Jalapeno Cheese)から選ぶことができ、店員さんがトーストして提供してくださいます。
もちろん、セットではなくベーグルは単品として注文することも可能です。しかし、モーニングではホットコーヒーとクリームチーズが添えられて提供されるため、朝早い時間に来店するのであればこちらの方が断然お得です。訪問した際も、店員さんからモーニングのセットとして注文することをおすすめされました。
セサミベーグルは運ばれてきた瞬間からゴマの香ばしい香りが漂ってきます。いただいてみると、外側はカリッと中はソフトな食感で絶妙な塩梅です。日本のもちもちしたものやニューヨークのしっかりとした食感のものよりも、カナダ式ベーグルは表面のサクッと感が強く、中がもっちりしているように感じました。生地はほんのり甘く、何もつけずともベーグルそのものがとてもおいしいのも嬉しい驚きでした。そのままでも十分に美味しいですが、クリームチーズやメープルシロップをかけると風味が変わり、また違ったおいしさを発見できます。カナダ式ベーグルは初めて試したのですが、そのおいしさにすっかり虜になってしまいました。
加えて、カナダのコーヒーの質が高いとは聞いたことがあったのですが、噂通りマイルドで香り高い、旨味のある味わいでした。クセがないのでベーグルとの相性も抜群でしたし、万人に好まれるのも納得です。カナダのコーヒーやベーグルを味わう機会はなかなかないと思うので、どちらも味わえるモーニングセットはおすすめです。
カナダに留学をしていたり、ご旅行の際に利用したこともある方も多いことから、日本人の方にも人気が高い同店。その理由には、幅広い層が楽しめるような経営の工夫がありました。今後、より各国に規模を広げる可能性があることから、今回記事として取り上げさせていただきました。カナダのカフェ文化を味わいたい時には、ぜひ同店を利用してみてください。
▼参考資料
Tim Hortons Singapore HP
https://timhortons.sg/
Tim Hortons Canada
https://www.timhortons.com/
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