フランスのアドヴェント・カレンダーは、セフォラを要チェック。クリスマスから大晦日にかけてのアフター・カレンダーにも注目!

2025年も気付けば最後の月になりました。フランスは11月中旬頃からイルミネーションやマルシェ・ド・ノエルが始まり、街にもお店にも、この季節ならではのワクワク感が漂っています。12月25日のクリスマスを待つ間、1日から24日まで、毎日ひとつずつ、ちょっとしたプレゼントが入ったアドヴェント・カレンダーは、この季節に欠かせない存在です。
元々は、クリスマスを待ちきれない子供たちのために考えられたものですが、今ではすっかり大人向けのアドヴェント・カレンダーも定番となり、クリスマス商戦の重要なアイテムのひとつとなっています。ショコラやジャム、紅茶、チーズ、ワインなどの食べ物系、コスメやスキンケアなどのビューティー系はもちろん、ファッション小物やパワーストーン、短編小説など、驚くほど幅広いジャンルのアドヴェント・カレンダーが販売されています。
中身やコンセプトがどんどん進化する一方で、パッケージという観点からは、今年はさほど目新しいものはなく、少し寂しい印象を受けました。そんな中でも、今回トリコロル・パリの目を引いたのは、フランス各地に300近くの店舗をチェーン展開するコスメのセレクトショップ「セフォラ(SEPHORA)」のアドヴェント・カレンダーです。2年前にもピックアップしていますが(参考記事:https://pake-tra.com/package/14460/) 、2025年も他ブランドとは一味違う工夫を凝らした、クリスマス気分を盛り上げてくれるパッケージを見つけました。
何が出るかな、何が出るかな♪と思わず口ずさんでしまう楽しい仕掛け

今年のセフォラのアドヴェント・カレンダー (54.99ユーロ)
セフォラのオリジナル商品が24個入ったアドヴェント・カレンダーは、高さ26cm、幅16.5cm、奥行き14.5cmの縦型のボックスです。一般的なカレンダーは、24日分の日付が記された小窓を順番に開けて商品を取り出しますが、この箱には窓がたったの2つだけです。前面上部にある楕円形の窓は、ミシン目に沿って切り抜くと、まるでティッシュケースの開口部分のようです。

上部の小窓は手がすっと入るサイズで、中に大小さまざまな形のボックスが詰まっていて、見るだけでワクワクする
そこから手を入れて、1日1個、好きなものを取り出す仕組みになっていて、何が出てくるか分からない「抽選箱」のような楽しさがあります。プレゼントはそれぞれ、形もモチーフも異なるパッケージに入っています。内容はリップクリーム、メイク落とし、ボディクリーム、ヘアマスク、ピーリングセラムなどのスキンケアアイテム、マスカラやアイライナー、ネイルカラーといったコスメ、そしてスポンジやヘアゴムなどの小物で、本来156.62ユーロ相当の価値がある商品が、55ユーロ弱で購入できます。

ゴールドで特別感のある24日の小窓
そして、下部にある小窓は24日に開く最後のプレゼント用のものです。多くのアドヴェント・カレンダーでは24日は他の日よりも良いオブジェが入っていて、窓のサイズが大きかったり、目立つ装飾が施されていたりするのですが、今回のセフォラの場合は、1~23日の取り出し口と24日の取り出し口を分けることで、より特別感を演出しています。

中から、これまたゴールドの小箱が!
外箱の小窓や内部の箱の間仕切りを24個から2個にすることで、手間や経費は軽減できる気がしますが、各商品が個包装されている点を考えると、従来のアドヴェント・カレンダーと大きく変わらないのかもしれません。
(2025年のセフォラのアドヴェント・カレンダーのページはこちら:https://www.sephora.fr/p/calendrier-de-l-avent----24-surprises-maquillage--soin--bain-et-accessoires-740786.html)
クリスマスが終わっても楽しみが続く、セフォラ独自のアフター・カレンダー

セフォラが推し続けるアフター・カレンダー。71.93ユーロ相当の商品を35.99ユーロで手に入れるチャンス

2023年に見つけたアフター・カレンダー(参考記事:https://pake-tra.com/package/14460/)は、今年も引き続き発売されています。とはいえ、セフォラ以外のお店やブランドではほとんど見かけないため、まだ定着しきれていないカルチャーと言えそうです。25日~31日のたった7日間だけという短さゆえ、アドヴェント・カレンダーよりもパッケージデザインの自由度が高く、2023年版もオリジナリティが感じられるものでした。

飛び出す絵本のような楽しさがある観音開き

上から見るとこんな感じ。うまい具合に凸凹が組み合わさっている
筒状の外装を外すと、中箱がぱっかーんと観音開きになる仕掛けで、日付が書かれた小箱が3面に取り付けられた立体的なデザインになっています。サイズは高さ14.5cm、幅20.5cm、奥行き10.5cmで、しっかり自立するため、飾る場所を選びません。

中には、1年のお肌の疲れを癒すマスクやクリームのほか、大晦日のパーティーで活躍する真っ赤なリッププランパーやボリュームマスカラなどが入っている

小箱はハンバーガーの容器のようなスタイルで、本体からも取り外しは簡単です。折り畳めば捨てるときもコンパクトになり、来年に取って置いて、好きなプレゼントを入れて組み立て直せば、自前のアフター・カレンダーとして再利用することもできます。

箱の取り外し、折りたたみはとても簡単!
(2025年のセフォラのアフター・カレンダーのページはこちら:https://www.sephora.fr/p/calendrier-de-l-apres----7-surprises-beaute-pour-faire-durer-les-fetes-P10062541.html)
少ない色とモチーフでパーティー感を演出する洗練されたデザイン

絶妙なカラーの組み合わせに、フランスのデザイン全般に通底している美意識を感じる

今年もとても洗練された色使いのセフォラのアドヴェント・カレンダー。2つのカレンダーに共通して、くすみがかったグリーン、オレンジ、ペールピンクをベースに、アクセントとしてネオンピンクとゴールドをプラスしています。モチーフは太めの斜めボーダーと大ぶりなドットのみです。クリスマスをダイレクトに表現する色や柄ではないものの、年末のパーティー感がきちんと出ているところに感心します。また、太いボーダーはセフォラのトレードマークでもあり、潜在的に「これはセフォラのカレンダーだ」と伝わるデザインになっています。
ツリーに吊り下げられるオーナメントタイプのパッケージが人気

今年流行しているオーナメントスタイルのパッケージ
今年特によく見かけたのが、頭の部分に輪っか状のリボンが付いた、オーナメントのようなパッケージです。セフォラに限らず、色々なお店で展開されており、ちょっとしたブームのようです。

セフォラだけでも10点ほどのオーナメント風商品を見かけた



60年以上の歴史を誇る自然由来のスキンケアブランド「イヴ・ロシェ」のショーウインドウ
フランスでは、子供はもちろん、大人同士でもクリスマスプレゼントを贈り合う習慣があり、家庭によっては大小さまざまなプレゼントを複数用意する場合があります。メインのプレゼントは包装紙でラッピングしてツリーの下に置き、それ以外の「おまけ」のようなミニプレゼントは、ツリーに吊り下げておくのも可愛いのでは?という提案なのでしょう。

こんな風にツリーに吊るすとさらにグッと魅力的に
こうした、パーティーを盛り上げるちょっとしたアイデアを、パッケージを通してクリエイトしているところがとてもフランスらしいと感じます。

「シャーロット・ティルブリー」はガーリーな世界観を表現したパッケージ

フランスのスーパー「モノプリ」にも、リボンのついた商品がたくさん。ツリーやクラッカー型もクリスマス感たっぷり
プチプラのプレゼントには包装ゴミ削減の工夫が

ハンドマスクとフットマスクはひと目で中身がわかるパッケージ
この季節のレジ横には、ちょっとした贈り物にぴったりなプチプラの商品が数多く並びます。先ほど紹介したように、プラスアルファのプレゼントとしてはもちろん、クリスマスディナーの席で、お皿の上に置いておく招待客へのミニギフトとしてもちょうど良いアイテムです。

クリスマスを象徴するアイテムをかたどったバスボム3個セット
フランスにもプレゼントを包装する習慣はありますが、今回セフォラで見つけた商品のいくつかには、パッケージに送り主と送る相手の名前を直接書き込める欄が設けられ、そのままプレゼントできる工夫がされていました。エコの観点から、包装ゴミを減らすためのアイデアなのかもしれません。

包装紙だけでなく、プレゼントタグを付ける必要もないので、とてもエコフレンドリー

また、2種類のアドヴェント・カレンダーの外箱には、「この紙箱は、持続可能に管理された森林で育った木を使用しています」と明記されています。こうした楽しいイベントに関連した商品だからこそ、環境に負荷をかけるような商品を購入するのは嫌だと感じ、エコに配慮したものしか買いたくない、という人が多いことが分かります。

エコとSDGs先進国のフランスでは、消費者の意識がとても高いため、環境への配慮を行っている旨を明示することが大切

この記事を書くにあたって、多くのブランドやショップのアドヴェント・カレンダーをチェックしましたが、ここ数年に比べると、面白みのあるデザインや工夫を凝らしたパッケージが少なく、進化のスピードが弱まっているように感じました。
アドヴェント・カレンダーのブームが落ち着きつつあるのか、あるいは価格の高いカレンダーの購入に慎重になる人が増えているのか、その理由は定かではありません。しかし今後は、アフター・カレンダーやミニプレゼントのような、より手頃に楽しめるリーズナブルな価格のアイテムが増えていくのかもしれません。また来年、新しいアイデアのアドヴェント・カレンダーを見つけたら、ご紹介したいと思います。
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