プラスチックからの脱却を目指すポルトガルのコスメパッケージ
パケトラ読者のみなさま、こんにちは。ポルトガル在住の東リカです。
昨今、サステナビリティの側面はもちろん、中東情勢の影響からプラスチックの価格上昇により、ビジネス面でもプラスチックパッケージからの脱却が検討されるようになっていますよね。
中でも化粧品業界では、実用性だけでなく、美しさや高級感を維持しながら脱プラスチックを実現することが求められています。今回は、そんな課題をクリアした、ポルトガルの4つのブランドの脱プラパッケージをご紹介します!
老舗ブランドのレトロかわいいアルミパッケージ

提供:Benamôr
「Benamôr(ベナモール)」は、1925年、ポルトガルの首都リスボンで誕生したコスメブランドです。「ベナモール」は創業から現在まで、なんと100年以上も、自然由来の化粧品の原料はもちろん、パッケージに至るまで、100%ポルトガル国内生産にこだわっています。
サステナブルなものづくりへのこだわりが強く、リサイクル可能なアルミニウムやガラスなどのパッケージを採用することで、脱プラスチックに取り組んでいます。中でも、化粧品業界において、最もリサイクル率が高い素材のひとつであるアルミニウム製パッケージの採用率は、約80%を占めるそうです。

提供:Benamôr
例えば、「ベナモール」を代表するアルミチューブ入りのクリーム。これらは、なんと1926年から同じポルトガル国内のサプライヤーが製造しているのだとか。看板商品の一つ「ROSTO ミラクルフェイスクリーム」をはじめ、香り高いハンドクリームは、どれもその素材が一目でわかる色使いのレトロかわいいアールデコデザインになっています。

リップバームやボディバターは、同じアールデコデザインの丸いアルミ缶のパッケージに入っています。

提供:Benamôr
また、「ベナモール」は、2019年に店頭でのリフィルを採用したポルトガルで初の化粧品ブランドとしても知られています。ポルトガルのリフィル対応店で500mlのリサイクルアルミボトルを購入すると、好みのバスジェルやボディローションを充填できます。2回目以降は空のボトルを持参します。充填料金は通常製品より10%安くなるのも、消費者にとっては魅力です。
なお、このベナモールは、2026年3月に日本にも上陸を果たしたようですよ。
ホスピタリティ業界向けのおしゃれな陶器パッケージ

提供:8950
南ポルトガル、アルガルベ地方カストロ・マリンの郵便番号をブランド名にした「8950」は、地元の素材を使った肌にも地球にも優しいコスメブランドです。
ブランドのメインターゲットは、アメニティの廃棄が多いホテルをはじめとする、スパ、レストラン、商業施設、ピラティス・ヨガスタジオなどのホスピタリティ業界です。このB2B市場に特化したアメニティラインとして、国産のガラスボトルとセラミックボトルに入ったパーソナルケア製品(リキッドソープ、シャンプー、ボディクリーム、コンディショナー)を展開しています。

提供:8950
このラインで特に目を引くセラミックボトルは、陶芸家を起用したブランドのオリジナルデザインです。ポルトガルのホテル業界専門メディア「Publituris Hotelaria」の取材記事によると、ポルトガルのガラス工場での独自デザインの小ロット生産が困難だったため、陶器の産地、アルコバサの工房に依頼することにしたのだとか。1ピースの製造に10人もの職人が関わる非常に繊細な工程だそうです。
初回注文時には、このボトルの購入に加え、対応するリフィルの購入がセットになっています。これは「コンセプトと美的統一性、耐久性、そしてシステムのサステナビリティを確保するため」なんだとか。

提供:8950
また、リフィルのパッケージにはワインやオリーブオイルで伝統的に使われてきた5Lの「バッグ・イン・ボックス方式(BIB)」を採用しています。このソリューションにより、従来のプラスチック製ジェリカンと比較してプラスチック使用量を約60%削減し、環境への配慮に加え、製品の保存性向上、物流効率化、そしてサービスの上質さをも実現しているとのことです。
もちろん、中身にもこだわっており、香り高い地元素材を使った全成分が生分解性。家庭用として、一部店舗やホテルショップで扱っています。また、現在、同じコンセプトの新ライン「8950 mediterranean baths」も準備中だそうですよ。
ゼロ・ウェイストを掲げるオーガニックコスメ

提供:Unii
「Unii」は、リスボン発のCOSMOSオーガニック認証取得のヴィーガン&クルエルティフリーのコスメブランドです。商品の素材はもちろん、ゼロ・ウェイストを掲げ、脱プラスチックのサステナブルパッケージも優先採用しています。

提供:Unii
例えば、ボトルはプラスチックではなく、ガラス容器を選択しており、デオドラントクリームやリップバームのパッケージにはアルミ缶を採用しています。また、商品ラベルは、ストーンペーパー(木材パルプやPVCを使用せず、石灰石を主原料として製造されるミネラルペーパー)を使用しています。

提供:Unii
さらに、アルガンやローズヒップといったピュアオイル及びボディオイルとスティックデオドラントはリフィルに対応しています。スポイトやポンプ、デオドラントのアプリケーターなど、プラスチックを使用した容器の再利用を推進しています。
また、オイル類のリフィル用パッケージはガラス瓶とアルミキャップ、デオドラントのリフィルは紙箱でプラスチックフリーになっています。
他にも、固形製品による容器レス設計にも取り組んでいます。固形シャンプー、固形歯磨き粉、ミョウバン石デオドラントなど、既存のプラ容器そのものを不要にする製品フォーマットを展開しています。これらの商品は、塩素フリーのフリント紙またはリサイクル紙の紙箱にて販売しています。
循環型経済を推進するオンラインコスメ

提供:Miristica
「Miristica」は、オンラインストアを基本としたエコフレンドリー&ヴィーガンのマイクロ・コスメブランドです。耐久性に優れたガラスを中心に、アルミ、リサイクルクラフト紙など脱プラスチックのミニマルなパッケージを採用しています。
これらのパッケージは、再利用・返却可能な設計です。CEOのイネス・アヴェラール氏は「空の容器をお客様から回収し、洗浄・消毒・再充填を行ったうえで次の製品製造に活用することでより循環型経済(サーキュラーエコノミー)に貢献しています」と話します。また、返却されたボトル分の価格を次回購入時に割引として還元することで、顧客の容器返却を促す仕組みとなっています。

提供:Miristica
コスメ容器は、最初から再利用・返却を念頭において選定されているため、パッケージのほぼ全てが返却可能です。対象製品はデオドラント、バーム、クリーム・ローション、スクラブ、ボディバター、トナー、ミセラーウォーターなど多岐にわたります。固形シャンプー・コンディショナーの箱も、良好な状態であれば返却を受け付けているのだとか。

提供:Miristica
返却方法は、「Miristica」が定期的に参加しているサステナビリティ・循環経済・ヴィーガニズムに関連するイベント会場への持参、パートナー店舗への持参、もしくは、郵送となります。郵送の場合は、最低5点以上の容器を再利用済みの箱にリサイクル梱包材を使って送付します。送料・梱包費はプロモーションコードとして還元され、商品購入に使用できる仕組みです。
また、商品の発送においてもプラスチックを一切使用しておらず、すべての梱包材は再利用品を使用しています。具体的には、サプライヤーから届いた注文の梱包材を保管し、後の発送に再利用しています。さらに「お客様にも小さな段ボール箱・紙・雑誌・新聞紙などの提供を呼びかけ、それらを注文の梱包に活用することでマテリアルに第二の命を与えています」とアヴェラールさん。顧客と共にサステナビリティへ取り組む姿勢がうかがえます。
▼編集部おすすめ記事
パリのコスメはどんどん「固形」に変化。パッケージも中身も脱プラスチックへ
アメリカで人気!色で魅せるボディケア商品
