昔、「small is beautiful」という言葉が流行ったことがあります。そして今、パッケージの世界では「less is more!」という考え方が浸透しつつあります。高度経済成長期からの転換点となった70年代は、丸善石油の「オー・モーレツ!」(1969年)から富士ゼロックスの「モーレツからビューティフルへ」(1970年)へとキャッチフレーズが移り変わったように、社会の価値観が大きく変化した時期です。そして今、パッケージを取り巻く価値観も変化しています。
世界的なスコッチウイスキーブランド、ディアジオの「ジョニーウォーカー」が、限定商品「Blue Label Ultra(ブルーラベルウルトラ)」を発表しました。重さわずか180gで、700ml入りスコッチウイスキーのガラス瓶としては世界最軽量とされ、標準的なボトルの半分以下の重さです。
包装重量の削減
食品会社の「Hormel foods」は、年次グローバル・インパクト・レポートで、温室効果ガスの削減、製品品質の向上、そして食品原料と持続可能な包装を含む責任あるサプライチェーン調達の改善を発表しました。2021年以降、米国のサプライチェーンにおいて490万ポンド以上の包装重量を削減しています。
「NATURAL CHOICE®」のデリ製品もリニューアルされました。新デザインの導入に加え、食品を第一に考えたブランドとして、パッケージの軽量化を進め、従来のパッケージと比較して、年間約337,000ポンド(約153,000kg)の包装材使用量を削減しています。
ペプシコの全社戦略である「pep+」は、食品と飲料の持続可能性を進めています。2021年にスタートしたこのプログラムでは、持続可能なパッケージングイノベーションを「削減」「リサイクル」「再発明」という3つのアプローチに集約し、パッケージの削減、再利用モデル、そしてプラスチック以外の代替素材に焦点を絞っています。
主な取り組みとして、軽量化への投資、飲料ブランドでの再生PET(rPET)の使用拡大、そして再利用システムとの提携が挙げられます。具体的には、ゲータレードゼロシュガーのボトルをリニューアルした際、プラスチックの配分を最適化し、パッケージの性能を損なうことなく軽量化を実現しています。ボトルには100%再生PETが使用され、リサイクルに配慮した包装ラベルが使用されています。
食品包装では、英国ペプシコのクエーカーブランドが、オートミールなどの粘性食品容器に紙製の包装を導入し、プラスチック製のフタを廃止しました。この設計変更により、バージンプラスチックの使用量を削減しました。フレキシブル包装分野では、マスバランス方式による再生プラスチックを50%使用したスナックバッグを「Sunbites(サンバイツ)」のパッケージとして導入しています。
また、袋の小型化で、スナック菓子の包装におけるプラスチック廃棄物削減に取り組んでいます。袋詰め前にスナックをあらかじめ沈降させる技術を開発し、スナック同士の隙間を減らすことで、同じ内容量でもより小さな袋の使用が可能になりました。
軽量ワインボトル
Verallia社の750mlワインボトル「Bourgogne Air」は、重さがわずか300gです。ヨーロッパの平均的なワインボトルが約450gあるのに対し、大幅な軽量化を実現しています。超軽量ガラスパッケージの開発にあたり、このフランスのガラスメーカーはブルゴーニュワインボトル特有の美観を保つよう努めました。
ソフトドリンクを想起させるボトル入りウイスキー
オーストラリアの独立系ドリンクデザインエージェンシー、Co-partnershipによる2025年版「Make a Mark」のパッケージです。一般的な飲料に使われるPETボトルをイメージし、素材をガラスに変更しました。シンプルですが高級感が演出されています。
蒸留所を持たない生産者でありながら、創造的自由を持つというアイデアに基づき、「Priceless Pursuit No.1」はケンタッキー・バーボン・ウイスキーとして誕生しました。プラスチックからガラスへと素材を少し変えるだけで、日常的でありふれたイメージから、美しさ、高級感へと変化します。ボトルには、賞味期限スタンプを思わせるフォントで文字がスクリーン印刷され、特注のゴールドキャップにはロゴがデボス加工(凹押し)されています。
合成着色料の削減
アメリカで販売される食品や飲料から合成着色料を排除しようという運動が広がり、パッケージデザインにも影響を与えています。ペプシコが、無着色のチートスとドリトスの新商品「Simply NKD」に斬新な白い袋を採用しました。
「Simply NKD」の主な特徴は、着色料や人工香料を使用していないことです。この新製品ラインは、ペプシコの人工着色料を使用した通常の「チートス」や「ドリトス」、そしてチートスとドリトスの派生商品を含む同社のスナックブランド「Simply」を補完するものです。
「Simply NKD」のパッケージデザインは白地に、ブランド名とフレーバーが赤またはクールランチブルーで印刷されています。「Naked of Dyes(染料不使用)」というフレーズと特大サイズの商品写真が組み合わされ、袋の右上には「No Dyes or Artificial Flavors(染料・人工香料不使用)」の文字が入っています。対照的に、通常のチートスとドリトスの袋は、他の塩味スナック菓子の競合製品と同様に、色彩豊かです。通常のチートスとドリトスのデザインは、赤とオレンジが中心です。売り場に白い袋がまとまって陳列されることで、スナック菓子売り場に印象的な白いブロックが作られます。
ペプシコは、2025年末までに米国におけるレイズのすべての主要商品から人工香料と人工着色料を排除する取り組みを進めており、レイズブランド史上最大規模のブランド再編を行いました。人工着色料の廃止を目指すのはペプシコだけではありません。ゼネラルミルズ、コカ・コーラ、コナグラなども、同様の施策を進めています。米国保健福祉省(HHS)とFDAは、2025年4月に、米国産食品から石油由来の合成着色料を段階的に廃止する計画を発表しました。
シングルユースパッケージ
プレミアムペットフードの大手共同製造業者である「NaturalPak pet」は、新製品の3オンス(約89ml)入りレトルトカートンを製造する体制を確立しました。テトラパックは、2023年6月にスペインで100ml入りのミニRecartパッケージを発売しました。プレミアム食品ブランドにとって、一般的な缶やパウチに代わる小分け容器を提供します。
1回分の包装は、主にプラスチック製の使い捨てパックが多く、利便性が高く手頃な価格である一方で、環境への負荷が大きいと批判されてきました。しかし、このカートンは主に紙で作られており、リサイクルが可能です。魅力的で多用途なシングルサーブ用レトルトカートンは、高級食品メーカーに、ブランドを差別化するための選択肢を提供します。コンパクトで積み重ね可能なカートンは、効率的なキューブ構造を採用しているため、消費者の台所だけでなく店舗の棚スペースや保管スペースも有効活用できます。
クラフト・ハインツは、ベストセラーのチーズディップを1回分ずつパックした期間限定のカートン「Vel2Go」を販売しています。カートンには1回分のパケットが4個入っており、外出時のディップボウルとしても使用できます。ベルビータは100年にわたり、さまざまな料理に濃厚なチーズの味わいを添えてきました。クラフト・ハインツによると、この商品はミレニアル世代とZ世代をターゲットにしており、彼らの4人に1人は、ドライブスルーのフライドポテトやスタジアムのホットドッグなど、毎日の食事をワンランクアップさせるために、外出先へ自分用の調味料を持参するとされています。
カールスバーグが世界最小のビール瓶を開発
カールスバーグは、高さわずか12mmのミニチュアガラス瓶を開発しました。この瓶には、ノンアルコールビールが0.05ml(約1滴分)入っています。米粒ほどの大きさのこのミニチュアガラス瓶には、カールスバーグのラベルと密閉キャップが付いており、すべてスケール通りに作られています。このビールは、スウェーデンのファルケンベリにあるカールスバーグの実験施設で醸造されました。同社によるとこのミニチュアボトルは単なる目新しいものではなく、責任ある飲酒についてのメッセージだそうです。
同社は、「世界最小のビールは見逃してしまうほど小さいものの、そこに込めたメッセージは大きい」とし、責任ある飲酒の大切さを改めて伝えたいとしています。
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