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環境対応型パッケージとゴミ処理の奥深い関係

前回、紙化されたパッケージについて数例をご紹介しました。日本と同様、こちらでも紙への切り替えが環境への配慮の一環として認識されています。ただし、紙なら燃やせるという認識が強い日本とは異なり、プラスチックを避ける意味合いの方が重視されているように感じます。

さて、こちらは、私が住むマンションのゴミ捨て場の表示です(画像1)。

画像1

ご覧の通り、新聞紙もガラス瓶も同じボックスに捨てることができます。そして、袋などに入れずにそのままボックスに捨てるようにという注意がされています。レジ袋もプラスチック製なので、一緒に入れても良いのではないかと思ったのですが、管理人さんによるとゴミ処理施設でのコンベアによる分別の際、薄いフィルム状の袋がベルトに挟まるなど問題が起こる可能性があるため、レジ袋はボックスに入れないように指示されているそうです。分別を行うのは利用者なのか、施設側なのかによって、こうした違いが生まれるのですね(ちなみにレジ袋に入れて捨てたのが見つかったら500ドルの罰金!と貼り紙もされています)。このように日常的に古紙を分別する行為がなければ、紙に対する意識も他の資源と横並びになってしまうのも自然な気もします。

では紙以外にどのような環境対応策があるのか、今回はそれらをご紹介したいと思います。

デザイン性を妥協しない詰め替えボトル:『method』

日本では液体商品の詰め替えパッケージは、スタンディングパウチに口栓がついたタイプが一般的です。このスタイルは、大容量化によって全体的なプラスチック使用量を削減しようとする経済的かつ環境配慮の観点から広がっているのだと思いますが、イリノイのスーパーやドラッグストアでは、このような詰め替え商品はあまり見かけません。

環境への配慮が強いブランドでは、ハンドソープなどで詰め替えボトルが販売されています。エコとユニバーサルデザインを両立したブランド、methodでは、プッシュタイプのボトルの横に、3回分の詰め替えボトルが配置されています(画像2)。すりガラスのような肌触りで、持ちやすい扁平なボトルは、デザイン性が高く、製品自体に魅力を感じます。

画像2

ただし、かなり肉厚なボトルに、たった3回分の容量という点で、薄いフィルムに大容量のスタンディングパウチの詰め替え容器に慣れている私としては、省プラには効果が限定的なのではと少々疑問が残ります。

methodはプラスチック総使用量を減らすために、詰め替えボトルの薄肉化ではなく、元のプッシュタイプのボトル自体をアルミ化させるという考え方で、省プラを達成しようとしているようです。

私が今使用しているのが、まさにこのmethodのアルミボトルハンドソープです(画像3)。確かにプラスチックボトルよりもアルミボトルの方が度重なる詰め替え使用に耐えますし、長い目で見ればこちらの方がプラスチックの総量は少なくなるのかも?

画像3

シンプルで、ハンドソープ容器を別途買う必要がなく、そのままキッチンに置いていても,

とてもおしゃれです。裏面には、リフィル/リユース/リピートを促すメッセージが書かれています(画像4)

画像4

詰め替えボトルがアルミ:Grove Co.

Methodのように、商品を頑丈なアルミボトルに変え、詰め替え用ボトルをプラスチックにするアプローチは、なんとなく理解できますし、日本でも実施しやすいのではないでしょうか。

しかしどうも、商品も詰め替え用も「プラスチック以外であれば、どの素材でも構わない」という傾向を感じることがあります。

例えば、Grove Co.のハンドソープは、空のガラスディスペンサー(画像5、右)を購入し、アルミボトルに入ったハンドソープ(画像5、左から5本全て)を注いで使います。

画像5

日本では元の商品を購入して使い切った後に、同じ商品の中身を詰め替えるスタイルが一般的ですが、これは空の容器のみを購入して、中身は別途購入する仕組みです。詰め替え用の容量は1回分が基本で、背の高い方のボトルでやっと2回分程度です。

つまり頑丈なアルミボトルに詰め替える先ほどのmethodとは違って、アルミボトル自身がたった1、2回分の詰め替え用ボトルとなるのです。

裏面を見ると「プラスチック廃棄物を削減するディスペンサーです。無限にリサイクル可能なアルミニウム製のパッケージで提供されています。」と謳われており、環境に優しいアピールがされています(画像6)。

画像6

まあ確かにプラスチックは使ってないという点には賛同しますが、でもなんでしょう、なんだか納得いかない感じがします。例えば日本では、キットカットの外装プラスチック袋は紙化されて環境に良いとされていますが、これがアルミ化だったら違和感がありませんか?そして詰め替え用商品のパッケージは、できるだけ簡素であるべきというイメージがありませんか?

そう、こちらではプラスチックの代替として紙化と同様にアルミ化が進んでいるのです。環境問題が海洋プラスチック問題にフォーカスされているからか、プラスチックでないものに代替させられるなら、紙であろうがアルミであろうがどちらもOKみたいです。

スマートな水はアルミボトルで:PATH

このような環境対応の文脈でのアルミ化はペットボトルの代替としても取り入れられています。

日本で販売されるペットボトル入り飲用水のほとんどはミネラルウォーターだと思うのですが、アメリカでは必ずしもそうではなく、売り場によっては精製水や蒸留水も同じかそれ以上に多いのです。日本では水道水が飲用可能なため、精製水に高額を支払うことに抵抗があるかもしれませんが、アメリカではさまざまな種類の水が販売されています。

PATH(画像7)は濾過水、アルカリイオン水、炭酸水を提供する水のブランドです。環境に配慮したイメージの強い雫のシンボルが用いられていますが、意外にもミネラルウォーターは扱っていません。

画像7

こちらも脱プラの流れで、アルミを採用しています。ラベル下部には「Refillable(詰め替え可能)」と書いてありますね。ということはどこかでこのPATHブランドの水を詰め替えられる?と思いきやそうではなく、飲み終わって空になったボトルに、各自が安全な水を詰めるよう推奨しています。もはやこれまでご紹介した商品のように、製品を詰め替えさせるのではなく、ボトルそのものと価値観を売っているようなものです。

詰め替えにはもちろん環境対応の意味合いはあるものの、継続的に自社商品を購入させる商業的なメリットもあると思い込んでおりましたが、PATHは環境保護を重視し、消費者の行動を変えさせることを優先しているようです(ただ、将来的には安全な水を供給できる自前のシステムも構想中のようです)。

PATH以外にもアルミボトルで販売している飲用水はありますが、いずれも環境対応の流れからです。大抵の場合、ペットボトル入りミネラルウォーターよりも高額ですが、アルミボトルの水には、環境配慮や意識の高さが付加価値として意味付けられていくのかもしれません。

 

最後に

環境配慮型のパッケージを考える際、廃棄方法は欠かせない要素です。日本で暮らしていた頃の私は、脱プラの答えとしてアルミ化という選択肢は、はなから考えのうちにはありませんでした。しかし確かに、ゴミ処理方法は埋め立てが主流のこの地に住んでからでは、アルミ化は当然選択肢の一つに入ってくると気付かされます。

さらにいえば、冒頭に書いた通りゴミの分別があまり厳密でないこの地域では、分別しやすさの視点は薄くなるわけで、環境配慮の手段として単一素材化したと謳うパッケージは、見かけたことはありません。

ゴミの処理方法が国や地域によって異なる以上、環境配慮の手段を一つのトレンドとしてまとめてグローバルに議論するのは難しいかもしれません。人間だけでなく、環境配慮にも多様性が必要なようです。

 

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