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カリフォルニア発の人気スーパーマーケット「トレーダー・ジョーズ」5つのマーケティング戦略とは?

【人気の秘訣~5つのマーケティング戦略】

2017年8月に50周年を迎えたばかりの、カリフォルニア州パサディナ(ロサンゼルス郊外)発祥のスーパーマーケット、トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)。50周年にちなんで、全米に426店舗展開しており根強い人気を誇る「トレーダー・ジョーズ」のマーケティング戦略を調査します。

写真:お店の看板

写真:お店の入り口

①商品全体の8割がプライベートレーベル

トレーダー・ジョーズの全体の8割の商品はプライベートレーベルで、独自の商品になっています。つまり、トレーダー・ジョーズ以外では手に入らない商品で、競合相手より低価格で販売できているのです。

プライベートレーベルだからと言って一般的な商品を作るのでなく、彼らが大切にしているポイントは「クリエイティブな商品」であるということ、そして「着色料なし・保存料なし・遺伝子組み換え成分なし・部分水素添加油なし、MSGなし」であること。見つけたらちょっと笑ってしまうようなユーモアのある商品・パッケージで、手に取った時のワクワク感を提供しています。

例えば、イタリア系食品は「Trader Gitto’s」、フランス系食品は「Trader Jacques’」、中国系食品は「Trader Ming’s」、日系食品は「Trader Joe San’s」等、国ごとの言語に変えられてネーミングが表示されています。 また、子供向け食品は「Joe’s Kids」となっています。プライベートレーベルだからこそ成しえるユーモアのあるネーミングです。

Photo:プライベートレーベル「Joe’s Kids」

Photo:プライベートレーベル「Trader Ming’s」

Photo:フランス系食品「Trader Jacques’」

Photo:イタリア系食品「Trader Gitto’s」

Photo:日系食品「Trader Joe San’s」

調味料も、全てプライベートレーベルです。一味変わった調味料だと、レモン・生姜入り胡椒の「Lemon Pepper」や、ベーグルにかけるシーソルト・ニンニク・玉ねぎがミックスされた「Everything But the Bagel Sesame Seasoning Blend」等、トレーダー・ジョーズの独自ブレンド商品も人気です。

Photo:プライベートレーベルだからこそのオリジナル商品

Photo:トレーダー・ジョーズ独自ブレンド商品の人気調味料

②地域に溶け込んだお店作り

各店舗が各都市にちなんだ店内インテリアになっています。例えば、ロサンゼルス(スタジオシティー店)のお店では、映画・テレビのスタジオが多い街なので「映画」が店内インテリアのテーマになっています。そして、店内の全ての商品説明・値札は手書きになっており、親しみやすさを感じさせるようになっています。

Photo:お店のプロモーションも都市にちなんで・・・こちらは映画のカチンコ

Photo:プロモーションの一環として手書きのラベル

③顧客をよく理解したマーケティング

トレーダー・ジョーズは、食材やワインを革新的な方法で安く売ることに注力しています。例えば$2.99という破格で売り出されている「Charles Shaw wine」のカリフォルニアワインがあげられます。結果、お客さんの間でトレーダー・ジョーズでは良質の商品を低価格で購入できると認識され、口コミでどんどんファンが増えていくわけです。

Photo:ワインのディスプレイプロモーション

④商品写真が一切ないフリーペーパー

他のスーパーでは、商品紹介のための写真と値段で埋め尽くされたチラシが一般的ですが、トレーダー・ジョーズでは毎月「Fearless Flyer」という冊子を店頭やインターネット上で発行しています。新商品の紹介や今月の目玉商品、レシピなどが掲載されていているのですが、他社と違う決定的な点は「商品の写真が一切載っていない」ということ。買ってほしいという直接的なメッセージではなく、顧客目線で商品のビハインドストーリーやレシピを伝えながら間接的なメッセージを送るマーケティング方法と言えます。

イラスト仕立てで、内容たっぷりの読み応えのある冊子になっています。ここにもユーモアが隠されていて「Printed on Recycled Paper with Soy-Based Inks. For mental consumption only(リサイクル用紙で大豆ベースのインクを使用しています。この冊子は精神的な消費用です)」と書かれています。

Photo:プロモーションの一環として配布している冊子

⑤子どもを喜ばす仕掛け

Photo:お店の目印「赤いカート」

トレーダー・ジョーズといえば赤いカートが目印でもありますが、そのカートの子供用も用意されているのです。小さなカートを自分で押すのが楽しくて、子どもからもトレーダー・ジョーズに行きたい!と声があがるほど。そしてお会計の際には、季節ごとのステッカーが用意されていて、これを笑顔で惜しみなくくれるのです。

買い物中もフレンドリーなスタッフ達が積極的に声をかけてくれたり、試食・試飲コーナーも設けられていて、子どもの気持ちをしっかり掴むカスタマーサービスの流れが出来上がっています。

Photo:子どもたちへのプロモーション

Photo:ステッカーは季節ごとに刷新

Photo:試食コーナー

いかがでしたか?今回は50周年にちなんで、カリフォルニア発祥の人気スーパーマーケット「トレーダー・ジョーズ」のマーケティング戦略を調査しました。また次回のLA市場調査をお楽しみに!

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