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ニューヨークのアイスクリームショップ「クール・メス」で買える、パーソナルな体験とは

バラエティーに富んだニューヨークのアイスクリームショップ

アイスクリームは夏だけのものでしょうか?

ニュージーランドに続いて、アイスクリームの消費量世界第二位を誇るアメリカでは、どこの家庭にも常に一つはストックされているのが当たり前といっても過言ではありません。

私が昔住んでいたオハイオ州という中西部の州でも、今住んでいる都会のニューヨークでも、アイスクリームのストック率はあまり大差がないかもしれません。ただ、大都会ニューヨークでは、全国展開しているBen & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)のようなお店から、歴史ある手作りアイスクリームやナチュラル素材・ビーガン対応のショップまで、多くのバリエーションから選択することができます。

Photo:Artisan icecream(手作りアイス)として有名なブルックリン発祥の「Van Leeuwen(ヴァン・ルーウェン)」https://vanleeuwenicecream.com/

Photo:フードトラックから始まったアイスクリームショップ「Big Gay Ice Cream(ビッグ・ゲイ・アイスクリーム)」https://biggayicecream.com/

ただし、これだけ狭いエリアに競合がひしめき合っているので、常に顧客を呼び続けたり差別化を図るのはとても難しいと言えます。

そして実店舗を持つアイスクリームショップにとって一番怖いのは、冬のオフシーズンです。家庭では冬も消費されるので、リテールショップでの展開や、バースデーなどの特別な日用のアイスケーキに力を入れるお店が多い中、「アイスクリームショップでパーティーはいかが?」という切り口で人気になっているパーラーが「Cool Mess(クール・メス)」です。

歴史あるバーガーショップが「デ・ブランディング」

実はこのお店、1943年創業のBurger Heaven(バーガー・ヘブン)というレストランのオーナーが「モダンでオールドファッションなアイスクリームパーラー」をテーマに、キッズをターゲットに開いたお店(スポンサーはその親ですが)。クール・メスはバーガー・ヘブンの2階にお店を構えています。

Photo:1974年ごろのバーガー・ヘブン(公式ホームぺージより)

バーガー・ヘブンは地元の人に愛される老舗のお店として知られており、クール・メスを姉妹ブランドだとはなかなか消費者には気づかせない、いわゆる「デ・ブランディング」と呼ばれる手法でブランディングしています。

デ・ブランディング:ブランドのもつイメージを払拭し、新しい価値を提供するブランディングの一つの手法

クール・メス専用入り口に行くと、ネオン輝くサインがお出迎えしてくれます。

Photo:ポップなネオンのサインは絶好のインスタスポット(公式ホームページより)

Photo:定番のスクリンプルからグミまで各種様々なトッピングが用意されている。

こちらのお店では、ローカルアイスクリームショップCookie Do(クッキー・ドゥー)から、アイスのベース原料を仕入れているそうです。ビジネスパートナーのチョイスも「できる限りローカルコミュニティーのものを」という、昨今のトレンドを捉えたものであると思いました。

Photo:マンハッタン発祥のアイスクリームブランドCookie Do(クッキー・ドゥー)(公式Instagramより)

お店では既に完成しているアイスクリームを購入することはもちろん、素材を入れるだけで簡単にアイスクリームをDIYする(自分で作る)こともできます。

Photo:お店のカウンター

Photo:DIYアイスを選ぶと使えるアイスクリームマシーン

自分好みにアレンジしたパーティーをアイスクリームショップで

そしてこのお店の差別化ポイントは、お店で「DIYアイスクリーム」をアクティビティとしたパーティーを開催できるという点。

Photo:出来上がりイメージ(公式Instagramより)

基本のパーティープランには「アイスクリームを作る」だけでなく、「ピザなどの食事提供」から「招待状の作成・送付代行」までが含まれており、さらに「DJやプロのカメラマンを呼ぶ」「バーガー・ヘブンで提供されているメニューを追加する」など、好きなオプションを追加することで、自分好みのパーティープランをリクエストできるそうです。

Photo:パーティーメニューの一例(公式Instagramより)

Photo:二台借りればベースも二種類に。(公式Instagramより)

もちろん、大人のパーティーとしても利用されているそうですが、大半は小さな子ども達のパーティーが多いそうです。アメリカでは子ども(特に小学校低学年くらいまで)のバースデーパーティーは、友達も招いて開催する一大行事です。日本のお母さんたちが弁当に工夫を凝らして様々なアイデアをひねり出しているように、アメリカのママたちは毎年パーティーについて同じ種の悩みを抱えているそうです。

そんなママたちの悩みに対するソリューションの一つとして徐々に浸透してきているのが「クール・メスでのアイスクリームパーティー」と言えます。

Photo:どんな風にアイスクリームができるのか子供も興味津々(公式Instagramより)

日本企業がクール・メスの取り組みから学べることは、顧客に「パーソナルな体験を売る」ことで、顧客一人一人の生活サイクルの中にブランドイメージを入り込ませ、そのイベントがあるたびに常に消費者のトップオプションになるように仕掛けることかもしれません。インスタ映えだけに終わらない「パーソナルな体験」ができるお店は今後も増えそうです。

Photo:既成のアイスクリームを食べる、作るだけではなく、様々なアイテムで自分らしくアレンジできることを強調したイラストの壁

Cool Mess Instagram : https://www.instagram.com/coolmessnyc/

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