環境先進国として語られることの多いドイツ、ベルリンに2016年から暮らしています。
引っ越ししてきた時に驚いたこと。
それは、意外と適当なごみ収集ルールでした。
意外と適当なごみ事情
私のアパートの中庭には、ごみ収集コーナーがあり、色別の大型ゴミ箱が置かれています。紙ゴミ、プラスチックゴミ、透明瓶、着色瓶、BIOゴミ、なんでもゴミ、と分かれているのですが、月曜日から日曜日まで、いつでも捨てて良いことになっています。(瓶ゴミのみ、捨てる際にうるさいので、時間が決まっています)
よほど無茶苦茶な捨て方をしない限りクレームが来ることもなく、日本に比べるとゴミのルールはかなり簡単です。
ベルリンは多国籍な街。ゴミを捨てる方も、回収する方も、外国人が多いのであまり難しいルールを作っても浸透しないのかもしれません。

アパート中庭のゴミ捨て場の様子。
ご自由にお持ち帰りください。リサイクル事情
ほとんどのペットボトルや瓶にはリサイクルマークがついていて、スーパーなどの入り口にあるリサイクルマシーンに入れるとレシートが発行され、支払いの際に金券として利用できます。1瓶25セントほど(約34円)、4本で1ユーロ(約136円)になるため、ゴミとして捨てる人はほとんどいません。
ピクニックなどで出た空き瓶を持ち帰りたくない場合は、ホームレスの人が簡単に回収できる様にゴミ箱に捨てずにゴミ箱の上や下にまとめて置きます。
衣類、靴は専用のリサイクルボックスがあるのできれいなものはリサイクルに回します。
大型のゴミは、自治体で決められている収集所に自分で持ち込む(無料)か、収集を依頼することになっている(有料・50ユーロ程度から)のですが、実際は”ご自由にどうぞ”の張り紙と一緒に歩道に置く人が多いです。
椅子やテーブル、棚、マットレスにソファ、ダンボールに入った本など、様々なものを道で見かけましたが、大抵数日後には無くなっていたので誰かが拾い、リサイクルされているのでしょう。

「ご自由にどうぞ」の本。

「ご自由にどうぞ」の窓ガラス。現代アートに生まれ変わるのでしょうか。
子供の服、おもちゃ、子供用の本などは、週末のマーケットの日などに路上で子供が販売していることがあります。近所の子供のお小遣い稼ぎですが、結構売れる様です。
身近な人が亡くなると、家族の知り合いや近所の人が家具や不要になった生活用品を貰うために集まります。知り合いの知り合いレベルでも、ベルリンに引っ越してきたばかりの学生などは、友達の車を借りて家具を選びにきます。
リサイクルの洋服も人気で、中高生などは新品よりもリサイクルショップで掘り出し物を見つけたり、親のお下がりを今風に着こなす方がクールだという感覚がある様です。
包装ゴミの少ないドイツ
スーパーの袋が有料なのはもちろんですが、洋服を買っても袋が必要と言わなければそのままむき出しで渡されるので、それをそのまま自分のバッグに入れます。
驚いたことに、ピアノのお月謝などもお財布から直接出してむき出しのお金をお渡ししても良いそうです。封筒に入れると封筒が無駄になるし、目の前で金額を確かめられないから、という理由ですが、日本人には抵抗がある人も多いのではないでしょうか?
そして一番驚いたこと、それはクリスマスなどのプレゼントをレシートをつけて渡す人がいるという習慣。これは、プレゼントが気に入らなかった場合に返品するため。合理的といえば合理的ですし、そこまでするからこそ、無駄なものが溢れないのだと思いますが日本人の私はそこまでしなくても…と思ってしまいます。
ちなみに、プレゼントのラッピングはラッピングペーパーを購入してきれいに包みます。ラッピングペーパーを再利用するというのも聞いたことがありません…そのあたりの判断基準は謎です。
ドイツのゴミ事情を通して
ゴミを減らすことは世界共通のテーマですが、ベルリンの人々を見ていると「リサイクルしなくてはならない」と義務化するよりも、リサイクルがクールでお金になる、過剰包装は企業イメージを下げる、というような価値観の転換が結果としてのゴミの削減につながるのではないかな、と思います。
▼おすすめの記事
光るデザイン、エコ重視。フランスで二つに分かれる紙袋事情
ノルウェーの街に3000個以上設置された「赤い箱」が、国民のリサイクル参加をここまで簡単にした
このライターの記事
-
2022.05.20
良い加減だから長続き。ベルリンのゴミ事情
-
2020.04.21
【特集】世界の今。新型コロナウイルスが変えた私たちの生活(15)——「ドイツ・ベルリン」の今
-
2020.03.18
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響——ドイツの備蓄リストは?若者による買い物代行も
-
2020.02.25
ドイツの動物保護施設「ティアハイム」とは?9割以上の保護猫が卒業できる仕組みづくり
-
2020.01.23
クリスマスが終わったら、ツリーはどうなる?伝統と環境対策は両立できるのか
-
2019.12.24
ついにオリンピックイヤーを迎える日本。おもてなしの精神は、モロッコの「リヤド」から学べる