芸術の都パリには、大小合わせて100以上の美術館があるとされています。
皆さんがよく知るルーブル美術館やオルセー美術館、中には無料で公開されている小さな邸宅美術館もあり、パリ自体がミュージアムのよう、といっても過言ではありません。
所蔵されている作品が素晴らしいのはもちろんですが、各美術館に併設されているミュージアムショップの規模も非常に大きなものとなっています。
さて、コロナ規制が緩和されたということもあって、今のパリには世界中から観光客が押し寄せています。それに伴って美術館群も息を吹き返しており、各美術館はコロナ前の入館数に近づいているということです。
美術館とは不思議なもので、普段は特に行く機会がなくても、なぜか旅行先では訪れたくなってしまいます。旅の思い出としてミュージアムショップに足を運ぶことも少なくないでしょう。
それではパリを代表する美術館では今、どのようなアイテムが置かれているのでしょうか。パリの二大美術館であるルーブル美術館とオルセー美術館、そして今年リニューアルオープンしたばかりの国立図書館の3つからお届けします。
フランス国立図書館
パリ2区のフランス国立図書館リシュリュー館は、12年の改装工事を経て2022年9月17日に再オープンしました。
このフランス国立図書館はなんと、中世の1367年に始まっています。世界で最も重要な図書館のひとつと言われていて、合計の所蔵数は約4,000万点にも上ります。
このように所蔵数が多いことから、現在ではパリの五か所に点在しているわけですが、その中でも建築的に「最高傑作」と言われているのが、パリ2区にあるリシュリュー館です。
リシュリュー館はこれまで研究者・学生にのみ開放されていました。ですから今回の再オープンは初の一般公開となります。なお、写真の「サロン・ド・オーバル」への入場は無料となっています。
こちらには書籍メインの売店が併設されています。図書館なので、お土産屋さんというよりはやはり本の取り扱いが多いのですが、ここではユニークな文房具を見つけることができました。
今ではほとんど見ることの無い虫眼鏡、リシュリュー館ではアンティーク風アイテムとして売られています。また古地図のレプリカ、浮世絵のレプリカ・ポスターも販売されており、所蔵されている書物、美術品(一部美術品も公開されています)にオマージュを捧げたものが多く見られました。
本好きの方にとってはしおりも大切です。リシュリュー館オリジナルのしおりは、折れにくい木製となっています。植物や花をモチーフにした飽きのこないデザインというのも魅力ですね。
ルーブル美術館
2021年に「入場者数が世界一」となったパリのルーブル美術館。作品一つずつを30秒ほど見たとして、全てを制覇するのに約8か月かかると言われています。
そのためミュージアムショップの規模の大きさ、アイテムの豊富さも他とは比べ物になりません。ただこちらもありがたいことに、ミュージアムショップにはチケットなしで入ることができます。
ルーブル美術館の顔といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」です。そのためミュージアムショップには、モナリザをかたどったアイテムがぎっしりと並んでいました。中でも人気なのがノート類、キーホルダー、エコバッグであるとのことです。
アイテムはかなり多岐にわたっていて、Tシャツやニット帽、キャップ、靴下といった衣類から、眼鏡ケース、折り畳み傘までたくさんの用意がありました。そのデザインは本物の絵画と同じように、色や表情がデフォルメされずにはっきりと写し出されています。
そしてかのマリー・アントワネットは、ヨーロッパで随一の漆器コレクターであったそうです。彼女のコレクションおよび肖像画はルーブル美術館にも多く収められています。ということで、ミュージアムショップにはマリー・アントワネットに関連したグッズがいくつか並んでいました。
ただ、こちらはモナリザとは違って女性向けの商品が多く、髪の毛用ブラシやピンクの紅茶缶、チョコレートなどが目立ちます。
またルーブル美術館はエジプト関連の作品が多いことでも有名です。ファラオ時代の象形文字ヒエログリフを世界で初めて解読したのも、フランス人考古学者のジャン・フランソワ・シャンポリオンでした。
そのためヒエログリフをモチーフにしたキーホルダー、ボールペンやパズル、本格的なチェス等の用意があり、エジプトファンが嬉しくなるような珍しいアイテムを見ることができました。
オルセー美術館
過去にあった駅舎を改造し、19世紀の印象派美術館として生まれ変わったオルセー美術館。フランスは印象派の画家を多く輩出していますが、オルセー美術館にはその中でも「不朽の名作」が揃っています。
ルーブル美術館に比べれば、オルセー美術館のミュージアムショップはかなりコンパクトと言えるでしょう。やはりアイコニックな絵画をモチーフとしたものが多く、ゴッホの「星降る夜」に関連するグッズなどは特に豊富でした。
「星降る夜」はオルセー美術館でも一、二を争う人気の絵画となっています。そのためエコバッグや折り畳み傘はもちろん、クリアファイル、ノート、カレンダーといった文房具等が幅広く置かれていました。
さてオルセー美術館では今、ノルウェーの画家、エドヴァルド・ムンクの絵画、版画、デッサンなど約100点を展示する『ムンク、生命・愛・死のポエム』特別展が開催中です。
この特別展はムンクの60年間に及ぶキャリアを紹介するもので、2022年9月20日から来年1月22日までの開催となっています。
オルセー美術館はキレのある企画展で有名ですが、グッズにも特設コーナーを設けるほど力を入れています。そして今回はやはり、ムンクの「叫び」に関連したアイテムがメインとなっていました。こちらも「星降る夜」と同様に文房具系が多いのですが、中には靴下やハンドタオルといったかなりシュールな物もあります。
パリのミュージアムショップで見たもの
すべてのミュージアムショップに共通するのは、その美術館を代表する作品が、パッケージや商品デザインに堂々と登場していることでした。
それもさりげなく、というよりは非常に目立つ形で商品化されています。どれも主張が激しく色使いも鮮やかで、フランスの美術に対する自信と威厳が現れているように感じられました。
▼関連性のある記事
ニューヨークのミュージアムストアで見つけた面白いパッケージのアイデア商品