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削ぎ落とされた中に光るセンス、ロンドンの量り売りショップの魅せ方

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極力ゴミを出さないゼロウェイストな買い物ができる量り売りの店、バルクショップやリフィルショップ(詰め替えショップ)が近頃さらにロンドンで存在感を強めています。

ロンドンの量り売りショップの魅力は、環境に配慮している点だけでなく、とにかくスタイリッシュ。

ここで何か買いたい!と思わせるような、道ゆく人の足を止めるキラリと光る空間づくりや魅せ方にもあるんです。

感度の高い人はすでに普段使いで日常に取り入れているよう。

最近では、テレビ番組でロンドンに訪れた女優・二階堂ふみさんがある量り売り店に立ち寄り、店の魅力をたっぷり伝えていました。

今回は、ロンドン在住の筆者もよく利用する量り売りショップについて紹介していきます!

地球にも財布にも優しい、ロンドンのスタイリッシュな量り売りショップ

今回は数あるロンドンの量り売りショップの中から、南ロンドンの2店舗に足を運んでみました。

Gather

【Gather】

住所:121 Bellenden Road Peckham London SE15 4QY

https://www.wearegather.uk

クリエイターが集まる大注目エリア、「ペッカム」に上質なショップが立ち並ぶ通りがあります。

そこに店を構える2016年創業のGather(ギャザー)。

無包装かつオーガニックをメインとした食料品、日用品や雑貨を扱うプラスチックフリー・リフィルショップ。

ゼロ・ウェイストではなくロー・ウェイストで、「完璧でなくてもできることから少しずつ」と発せられるメッセージから、まずはエシカル消費への意識を持つことの大切さを伝えています。

説教臭いことを嫌い、気軽にひとりでも多くの人が環境に配慮した行動を起こせるよう、そっと背中を押してくれるようなショップ。

数々の受賞歴があり、Gatherがもたらした社会的インパクトは絶大。2022までの3年間でなんと17万個以上の使い捨てパッケージの節約に成功。

Weigh and Pay - Zero Waste

【Weigh and Pay - Zero Waste】

住所:Unit 33 Brixton Village Brixton London SW9 8PS

https://www.weighandpay.uk

アフリカ系やカリブ系民族の異色な雰囲気にどっぷりつかれるエリア、ブリックストン。

ゼロウェイストショップWeigh and Payは、駅近くの活気あるアーケード街ブリックストン・ビレッジの中にあります。

食料品に加えてコスメが豊富なのが特徴。スキンクリームやせっけん、セラムなど、ヴィーガン、アップサイクル、ナチュラルなスキンケア用品がオンラインでも購入可能。

使用済みのワインボトルで作るガラス入りのキャンドルなど、こだわりのギフトを探すのにもぴったりなショップです。

Weigh and Pay

Weigh and Pay

センスのいい外観に目を奪われ、入ってみたいな、と思うものの足を踏み入れるまではちょっと近寄りがたいと思う人もいるかもしれません。

心配ご無用、明るく迎えてくれるショップスタッフがなんでも教えてくれます。

たいていは有料のガラス瓶などの容器や無料でもらえる紙袋など、利用客が商品を持ち帰るのに必要なものが用意されています。

とはいえ、出かける前に量り売りショップで買い物をすると決めているのなら、空の容器を持参するのがベスト。

私は使用済みの空き瓶をいくつも保管しているので、高い頻度でバッグの中に潜めています。

量り売りショップで何が買える?

Gather

Gather

量り売りで買えるものはどんなものかというと…

調味料やお菓子、スナック、ナッツ、お茶の葉、コーヒーや、小麦粉などの粉類、オートミールをはじめとした穀物類や米、パスタ、豆類などの食料品。

それに店によってはクリームや化粧水などのコスメや洗剤類や掃除用の液体類まで。

暮らしに必要なものをまるっとカバーできる豊富な品ぞろえです。

Weigh and Pay

Weigh and Pay

商品には決まってグラムやミリリットルあたりの値段が記されています。

利用客が容器を持参し、買いたい物を各自で詰め、重さを量り会計します。

(容器がなくても店内で入手できます)

 

量り売りショップの利点はなんといっても、必要な量だけ詰めて購入できるため無駄が抑えられるところ。

スーパーで食料品を購入する場合、買ってみたものの使いきれずに何ヶ月も放置してしまったり、賞味期限が切れて結局破棄、なんてこともありますよね。

そこで量り売りショップを利用すると極限まで無駄を減らせます。

しかもその分安上がり!

例えば数種類のハーブティーを少しずつ試してみたいとします。

それぞれ箱で包装されたお茶をいくつか購入する場合、とても高額になりますよね。

しかし、量り売りショップなら自分で少しずつ量を決めて好きなフレーバーをいくつも選べばいいのです。

量り売りの商品以外にもぜひ注目してみてください。

自然素材を利用した家庭用品や小道具、リネン類、プレゼントにちょうどいい小物雑貨など、意外な出会いを探すのも楽しいです。

量り売りショップの店内にちりばめられたこだわり

Gather

Gather

私がゼロウェイストショップに足を運ぶ理由のひとつは、それぞれの店の居心地の良さにあります。

統一感がありシンプルで無駄がなく、ミニマルだけどどこか温かみがある店。

無造作ながらも、なんともいえない落ち着きのある安心感に包まれる店。

どこも共通するのは、立ち寄る人がいつまでもいたくなるような空間があり、それぞれの商品を愛おしく眺める時間をじっくり持てること。

Weigh and Pay Weigh and Pay

パッケージングされた商品はどれもプラスチックフリーでアップサイクルなものばかり。

 

Weith and Pay

Weith and Pay

環境にやさしい歯ブラシは、リサイクルできる交換式竹製のヘッドと長く愛用できるハンドル付き。

パッケージは海を連想させるブルーと青海波のデザインで、地球環境に対するメッセージが読み取れます。

Gather

Gather

凸凹エンボスタイプのレトロで手作り感にあふれた愛くるしいラベリング。

Gather

Gather

存在感を放つピーナッツバターメーカー。フレッシュな生絞りピーナッツバターを購入できます!

Weigh and Pay

Weigh and Pay

環境に配慮した素材でできた什器と、植物をふんだんにあしらったナチュラルなインテリア。

ロンドンに量り売りショップが増えている背景

2023年10月より、イギリス・イングランドではスプーンやフォーク、皿、ボウルなどの使い捨てプラスチック製容器の販売や供給が禁止されました。

賛同する国民が多く、徐々にプラスチックを排除する動きに後押しされ、環境に対する考え方を見つめ直す人や、日々の生活の中でできることを実践する人が増えています。

そして昔のように、何かを無駄にすることを嫌う人々が再び増え、必要なものを必要な量だけ買うという意識の広がり。

ロンドンの小さな量り売りショップだけでなく、大手スーパーマーケットも量り売りを続々と導入しはじめています。

多くの人にとって、量り売りショップに足を運ぶことが特別なことではなく、ゼロウェイストな買い物をすることが日常となる日も近いかもしれません。

量り売りショップはエシカル消費を気軽に楽しめる

Weigh and Pay

Weigh and Pay

量り売りショップは私にとって、買い物を済ませること以外に環境保護に携わる充実感も得られ、「理想の生活」に導いてくれるライフスタイルショップのような存在です。

大型スーパーやオンラインショップでの買い物と大きく違う点、それはコミュニケーションから生まれるひとの温もり。

一歩足を踏み入れてはじまるカジュアルな挨拶から、手にする商品のストーリーに耳を傾けたり、環境保護について意見交換をしたり、おすすめの本を教えてもらったり、何気ない世間話に花を咲かせたり。

量り売りショップに足を運ぶだけで、日常に小さな学びが舞い込んできて、豊かさがふくらんできます。

ただ、まだまだ量り売りショップの数が少ないので、この勢いに乗ってどんどん増えてもっと一般的になり、気軽に普段使いできる日を待ち望んでいます!

 

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