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タピオカはヘルシーな食材だった!アメリカの進化系スナック事情

スナック菓子というと、高カロリーで食品添加物が多く、ダイエットの大敵であり現代病の原因!という印象が強いのではないでしょうか。ところがアメリカでは、そんな従来のイメージを覆す進化系スナックが続々と登場しています。

さまざまなヘルシースナックの中でも、最近注目を集めているのが、原料に「キャッサバ」を使ったもの。今回は、アメリカで市場を広げつつあるキャッサバスナックについてご紹介します。

あのモチモチのタピオカが、健康的なスナックに?

キャッサバといえば、そう、あのタピオカの原料です。日本でもタピオカを使ったミルクティーが大流行し、若者を中心に行列ができる人気ぶりだと報道されていましたね。

Photo:タピオカドリンク

ちなみに私が以前住んでいたハワイでは、ここ5~6年の間にタピオカミルクティーのブームが起きました(ハワイではタピオカを「ボバ(boba)」、ドリンクを「ボバティー」と呼ぶのが一般的)。ホノルルを中心に多くのボバティー専門店がオープンしました。主にティーンの間で人気なのは日本と同じですが、一過性のブームではなく、中高生が放課後に集まる場としてすっかり定着しました。おしゃべりをしたり、宿題をやったりと、日本のファストフード店のような使い方をされています。

さて、そんなタピオカですが、ヘルシーなスナックになると聞いて、いくつか疑問が湧くのではないでしょうか。「あのモチモチが、どうやってスナックになるのか?」「カロリーが高いと話題になったけど、ヘルシーなのか?」これらの点について、順にご紹介していきますね。

そもそもタピオカって何なの?

Photo:キャッサバの根塊(Artisan Tropicウエブサイト動画「Our Brand Story」より)

キャッサバは、南米を原産とする低木で、現在ではアフリカやアジア、南米といった熱帯地域で広く栽培されています。葉も食べられますが、食用として活用されるのは主に根の部分で、根塊はキャッサバイモと呼ばれるイモになります。このイモ自体も毒抜き・加熱して食べることができますが、ここから製造したでんぷんが「タピオカ」です。

Photo:(Lesser Evilウエブサイト動画「Ingredients Mean Everything」より)

正確に言うと、でんぷんは「タピオカでんぷん」、半分糊化して乾燥させたものが「タピオカパール」と呼ばれ、このタピオカパールを茹でたものがあの丸いモチモチの正体です。タピオカでんぷん自体は白色で、黒っぽいものは黒糖やカラメル色素などを加えたものです。

Photo:(Lesser Evilウエブサイト動画「Ingredients Mean Everything」より)

キャッサバは他のイモと同様、蒸したり茹でたり揚げたりと、さまざまな食べ方ができます。薄くスライスして油で揚げたチップスは、以前から原産国では手軽なおやつとして親しまれてきました。

アメリカのヘルシー系スナックでも、キャッサバをスライスしたチップスを扱うブランドが増えてきました。ポテトチップスの堅揚げとよく似た、バリバリとした歯ごたえある食感で、とても美味しいです。

Photo:Artisan Tropic「Cassava Strips」ハラペーニョ味

Photo:キャッサバをスライスしたチップス。ポテトよりも硬く、パリッとした食感

でも、「だったらポテトで良いのでは」と思いますよね。キャッサバとポテトでは、何が違うのでしょうか?

キャッサバがヘルシー食材として注目を集める理由

まずカロリーを見ると、キャッサバはジャガイモよりもカロリーが高いです。生の状態で、ジャガイモ100gが76kcalなのに対し、キャッサバは159kcalと倍以上あります。油で揚げたチップスの状態だと、使う油や製品にもよりますが、ヘルシー系ブランドの場合はおよそ同じぐらいのカロリーです。

日本で「高カロリーだ」と話題になったタピオカミルクティーですが、タピオカでんぷんは茹でた状態だと100gあたり62kcalと、それほど高くありません。ご飯100gが168kcalなので、比較するとかなり少ないことがわかります。ドリンクに入っているタピオカは20gほどなので、およそ12kcalちょっとしかありませんから、高カロリーの原因は、タピオカではなく、添加されている黒糖などの糖分にあると言えるでしょう。

Photo:キャッサバイモの収穫からキャッサバ粉ができるまでの工程(Lesser Evilウエブサイト動画「Ingredients Mean Everything」より)

ただ、繰り返しになりますが、キャッサバもタピオカでんぷんも、それ自体は低カロリー食材ではありません。

では何がヘルシーなのかと言うと、まずグリセミック・インデックスが低い点。グリセミック・インデックスとは食品ごとの血糖値の上昇度合いを表現する指数のことで、この数値が低い食べ物は糖尿病や心臓病へのリスクが低くなると言われています。

もうひとつ、ナイトシェード(ナス科)ではないという点。トマトやピーマン、ジャガイモはナイトシェード(ナス科)にあたりますが、これらの食品は体内でインフラメーション(炎症)を起こす原因となると言われています。キャッサバやタピオカは、抗炎症食材としても注目されているのです。

もちろん、穀物ではないため、グルテンフリー。欧米のヘルシー志向界隈では、小麦アレルギーを持たなくてもグルテンを避ける人が増えているため、グルテンフリーは健康食品の条件のひとつとなっています。

Photo:オレゴンの自然派スーパーのスナックコーナー。ヘルシー派にも様々なチョイスがある

タピオカでんぷんは「食感の魔術師」

先ほどご紹介したスライスチップスは、キャッサバのヘルシースナック展開の、いわゆる序章に過ぎません。注目したいのは、タピオカでんぷんを使った進化系スナックです。

このタピオカでんぷんが、かなりの芸達者で、タピオカパールでご存知のモチモチ感のほか、つるつる、しこしこ、サクサク……と、食感を自由自在にあやつる役割を果たします。スナックでは、このタピオカでんぷんの特性がいかんなく発揮されます。

例えば、アメリカ東海岸コネチカット州のブランドLesser Evilが製造している「Paleo Puffs」。

Photo:「Paleo Puffs」

空気を含んだ軽いパフで、日本のカールに近い感じ。面白いのが、初めの一口はサクッとしているのですが、噛むごとにしっとり、もっちり感が出てくるのです。

Photo:「Paleo Puffs」

カロリーは28g(約25個)で130kcal。一般的なポテトチップスと比べて若干低い程度ですが、この不思議な食感のおかげで早めに満足感が得られるので、ポテトチップスのように気づいたら一袋いってた!ということは起きにくいのです。

ちなみに原料はキャッサバ粉、タピオカでんぷん、ココナッツ粉で、ココナッツオイルで揚げ、ヒマラヤンソルトで味付けしてあります(原料はすべてオーガニック)。

アメリカのヘルシー志向の人がチェックする「パレオ認証」とは

パッケージを裏返してみると、アメリカのヘルシー食品のお決まりであるオーガニック、グレインフリー(穀物無使用)、ヴィーガン、Non GMO(遺伝子組み換え不使用)などのマークが並んでいます。ここで気になるのが、「Certified Paleo」というマーク。

日本ではあまり馴染みがないように思いますが、アメリカでの食に対する志向のひとつにパレオダイエットというものがあります。旧石器時代の食事を指す言葉で、原始人食とも呼ばれます。農耕や牧畜の発達によってもたらされた穀物や豆類、イモ類、乳製品などを避け、野草や野生動物を中心とした食生活スタイルのことです。Certified Paleoとは、パレオダイエットの基準を満たした食品に与えられる認証で、ヘルシーな食生活を心がける人の間では食品選びのひとつの基準となっています。

パレオダイエットではジャガイモが除外されますが、キャッサバやタピオカでんぷんは含まれるため、パレオダイエットを行っている人の間でも重要な食材となっています。

クセになる味わい!タピオカ進化系スナック

キャッサバ粉やタピオカでんぷんを使ったアメリカの進化系スナックの中でも、ユニークでヘルシー、美味しいブランドをご紹介します。

Photo:From The Ground Upの「Cauliflower Stalks」。

キャッサバ粉とカリフラワーを主原料にしたスナックで、ひまわりオイルで揚げられています。中心が空洞になっていて、カリッとエアリーな食感。隠し味にパセリやほうれん草、ブロッコリー、ニンジン、しいたけといった野菜が使われていて、お菓子というよりおかずのようなスナックです。

Photo:Lesser Evilの「Egg White Curls」。

前出のPaleo Puffsと同じくオーガニックのキャッサバ粉やタピオカでんぷんで出来たパフなのですが、ケージフリーで飼育された鶏のエッグホワイト(卵白)が加えられています。これにより、プロテイン含有量が28gあたり6gとなり、腹持ちもアップ。ちなみに調理にオーガニックのアボカドオイルが使われていますが、揚げていないため、カロリーはPaleo Puffsと同じ130kcalです。

Photo:(Artisan Tropicウエブサイト動画「Our Brand Story」より)

キャッサバは熱帯気候下で育つ植物ですが、枯れ地や痩せ地、灌漑のない場所でも育てることができます。また、茎を切ったものを土に挿すだけで根が伸び芽が出てそのまま育つために栽培も簡単で、初期コストを最小限に抑えることができます。こうした理由から、途上国の本来農地ではない土地の活用や緑化にも、キャッサバ栽培が注目されています。

また、根のイモ部分だけでなく、葉も食べられるほか、茎は苗木に、全体はバイオマス燃料の原料にもなるので、まさに捨てるところがない植物です。

アメリカでは、こうした途上国の経済支援や環境保護の視点からも、キャッサバ製品を購入する人が増えているようです。キャッサバがヘルシーでエコな食材の代名詞になる日も、そう遠くないかもしれません。

Lesser Evil:https://lesserevil.com/
Artisan Tropics:https://artisantropic.com/
From The Ground UP:https://www.fromthegroundupsnacks.com/

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