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ポートランドで生まれた、思春期を迎える子ども向けデオドラント「クリーンエイジ」に込められた想い

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。今回はポートランド在住の女性が11歳のお嬢さんと共に立ち上げた、思春期初期専用デオドラント「Clean Age(クリーン・エイジ)」についてお届けします。

アメリカのデオドラント事情

Photo:アメリカの大手スーパーマーケットのデオドラントコーナー

アメリカでは、デオドラントや制汗剤を使うのは、毎日の洗顔、歯磨きなどと並ぶ習慣化された外出前の身だしなみのひとつ。思春期に差し掛かる小学校中高学年(9〜10歳)、中学生ともなれば、先生から「教室が臭いのは迷惑!必ずデオドラントを使うように!」というお達しが、生徒に対してはもちろん、保護者へのお知らせとしても送られてきます。

当然、アメリカのスーパーマーケットやドラッグストアには、ヘアケア商品と同じくらい、ずらりと制汗剤やデオドラントが並んでいます。スティックタイプが主流で、男性用・女性用に分かれて、様々な香りのものがあります。

ところが、意外なことに「子供用」のデオドラントは見当たりません。

クリーンエイジ誕生の背景

Photo:クリーンエイジを創立した母娘(Photo by Kortnee Kate)

思春期を迎えた子供たちが安心して、恥ずかしがらずに使えるデオドラントがないことに疑問を持ったのが、クリーンエイジ創始者のピータース母娘(Cana and Rachel Peters)。

母親のレイチェルさんは、デオドラントを使う年頃になった娘のカナちゃんに自分が長年使ってきた制汗剤を使わせる気は無く、ナチュラルな製品を探しました。けれども、どれも見た目からして大人向けで香りが強く、そして原料もいまいち信用できず、彼女に使って欲しい、また本人が喜んで使いたいと思えるような商品は見つかりませんでした。

更に数ヶ月後には9歳の弟もデオドラントが必要になりましたが、父親の昔からの定番品は、9歳の男の子には大人過ぎる香りです。刺激が強すぎて肌も荒れてしまいました。

レイチェルさんは、これまで消費財(consumer packaged goods)を扱う大企業でキャリアを積み、クリーンな原料の採用がビジネス的に合わないという理由で見送られる現場を何度も経験してきました。常に「消費者のウェルネスが優先されるべきだ」と、その状況に疑問を感じていたのです。

そこで、彼女は娘とともに自ら子供達が安心して毎日使えるデオドラントを生み出すことにしたそうです。

ローティーン自らが監修した安全でフレッシュな商品

Photo:自分たちのための商品を考案する創業者のカナちゃんと子供たち(Photo by Kortnee Kate)

レイチェルさんと一緒に「クリーンエイジ」を興したカナちゃんは、ブランドディレクション、プロダクトテスティング、新規商品開発などを担当。生まれたデオドラントは、サーフカルチャーのバイブレーションを感じられるユニセックスでポップなデザインです。

Photo:無香料/Unscented(Photo by Kortnee Kate)

Photo:シトラス/Citrus(Photo by Kortnee Kate)

Photo:ウェーブ/Waves(Photo by Kortnee Kate)

香りは「無香料(Unscented)」、柑橘系の「シトラス(Citrus)」、ココナッツ&ライムの香る「ウェーブ(Waves)」の3タイプです。どれも人工香料は使われておらず、大人過ぎない自然な香りです。私の11歳の娘もとても気に入っていました。

Photo:パッケージに並ぶ安心の認証マーク

また、ブランドの名に恥じない安心できる素材を使うことをモットーにしており、アルミニウムやBPA不使用なのはもちろん、オーガニック認証、ビーガン認証、クルエルティフリー(動物実験をしていないこと)などにこだわりました。

レイチェルさんは、「現実的な価格帯でハイクオリティな原材料を集めるのは、本当に大きな挑戦だった。これまでにローティーン向けのデオドラントが作られていない理由が分かったわ!」と話していましたが、最終的にはミッドウェストの自然派デオドラント製造者を発見し、納得のいく商品を作り上げることができたそうです。

9歳から13歳のための商品へのこだわり

(Photo by Kortnee Kate)

カナちゃんが子供たちの代表として、自分たちのための商品を追求するのに加えて、カナちゃんをはじめ4人の子供の母親であるレイチェルさんも、親として思春期を前にしたこの年頃の子供たちと身近に接しているのが強みです。

私たち母親の「子供たちに出来るだけ刺激の少ないものを使って欲しい」、「彼らの将来のためにも、環境に優しいサステナブルさも必要」という、親としての共通の願いを商品に反映させようと奮闘しています。このデオドラントも、よりサステナブルなパッケージへのアップグレードを検討しています。

また、今後もこの年齢の子供たちに向けた洗面周りのアイテムを開発したいとのことで、次の商品は100%リサイクルできるパッケージングのサステイナブルな竹を使った歯ブラシの予定。ニッチな市場に、良質な商品が増えることに期待したいです。

公式サイト:https://clean-age.com/
Instagram:https://www.instagram.com/cleanageofficial/

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