新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響——ドイツの備蓄リストは?若者による買い物代行も
2月27日(木)、ドイツ全体の感染者数は26人
学校から帰ってきた娘が言いました。「ママ、コロナが流行した場合に備えて、2週間分の食料品とか色々買っておくように、先生がみんなに言っていたよ」
2週間分!
我が家の近くには、週に二回開かれるウィークリーマーケットがあります。 産地直送の生鮮食品店や、ちょっと高めだけれど味の良い加工食品店やデリ、ケーキ屋さんやお花屋さんが出店しており、ベルリンに引っ越してきてからは、このマーケットと近所のスーパーで毎日少しずつ買い物をすることが習慣になっていました。
「今日はこれが美味しそう、何を作ろうかな」と考えながらお買い物をして、その日に食べたいものを作るという贅沢を楽しんでいましたが、買い置きは殆どありません。
ベルリンには地震も台風もないので大丈夫、と甘く考えていましたが、ドイツでは全国民に10日分の備蓄が呼びかけられているそうで、家族がいる人は、地下室などにそこそこ多くの物を確保している家庭が多いのです。その上、家族でハイキングやキャンプに出かけることも一般的なので、災害時にも転用できる道具を揃えている人も多いそうです。
早速、ドイツ政府推奨の備蓄リストを確認してみました。(こちらのリストは本文の最後に掲載しております)
日本には便利な災害用の食品がありますが、ベルリンでは見かけません。リストを参考にしつつ、普段食べる食材で保存可能なものを多めに購入し、使ったものだけ買い足していくというローリングストック方式で備蓄用の買い物をすることにしました。
2月28日(金)、58人
普段から利用している近所のEDEKAというスーパーに行きました。ベルリンのスーパーでは、商品の欠品は珍しいことではありません。この日の品揃えも普通。特に変わった様子はありませんでしたが、お隣のドラッグストアに行ったところ、抗菌・抗ウィルスジェル、スプレー、ウェットティッシュ、ハンドソープなどが品薄になっていたので少し多めに購入しました。
トイレットペーパーは通常通りたくさんありましたが、いつもの8ロール入りではなく16ロール入りを購入しました。
3月2日(月)、151人
ドイツの商業施設は日曜日がお休みなので、月曜日に買い足しに行ったところ、いきなり棚が空っぽになっていました。
ジャガイモ、パスタ類、卵、ロングライフ牛乳、冷凍食品、野菜や果物の缶詰、安めのミネラルウォーター、6本パックのジュース類、トイレットペーパー、キッチンペーパー、抗菌抗ウィルス系、掃除用品、ゴム手袋、ハンドソープ、石鹸などが無くなっていました。日本メーカーのカップ麺、インスタントラーメンも売れていました。
帰宅後、オンラインスーパーを確認しましたが、配送予定がいっぱいで購入できません。ドイツのアマゾンを確認したところ、抗ウィルススプレーが定価の6倍程度、缶詰やパスタは1ヶ月待ち、すぐに買えるものは明らかに定価よりも高い金額で販売されていたので、諦めました。
3月3日(火)、188人
朝一番の開店直後を狙ってスーパーに行ったところ、かなり補充されていました。缶詰、パスタ、チョコレート、小麦粉、たまご、ロングライフ牛乳などを購入しました。
3月5日(木)、349人
ミネラルウォーターを買って自宅のある4階まで運ぶのが大変なので、水道水を貯めるための20リットル入りの容器を4つ買いました。これでとりあえず水は確保できます。
3月10日(火)、1296人
今回の場合、停電や断水はあまりないと思うのですが、万が一のためにキャンドルを購入。また、LEDランプ、カセットコンロを注文しました。
3月14日(土)、4525人
感染者数が大幅に増えました。16日からベルリン中の学校が休校になり、バーやナイトクラブの営業が禁止され、電車やバスの本数も減らされることになりました。ポーランドやチェコなどがドイツとの国境を閉じ、アメリカはヨーロッパからの渡航を禁止。休校や自宅勤務の人が増えたため、急にインターネットの回線速度が遅くなりました。
通りはイケアの空の大袋を持った人でいっぱいです。みんな買い出しに行くのでしょう。朝一番に補充されていたスーパーの棚は、午後には空っぽになっていました。ドイツでもトイレットペーパーが買い占められていますが、人類は先行きが不安になるとトイレットペーパーを買いたくなる本能があるのでしょうか・・・?
空になったスーパーの棚について報道される一方で、危険度の高い高齢者や持病を持つ人々が外出しなくて済むように、近所の若い人々が買い物を代行する動きが始まっています。また、町中が自宅隔離状態になった時のために、本、手芸用品、生地、ハンドメイドグッズが売れているそうです。私も、休校になる子供達のためにスケッチブックと本を買いました。
この日は、久しぶりの快晴。長い冬の終わりを感じさせる陽気に、窓を大きく開けて掃除をしていたところ、お向かいのおばあさんが優雅に窓辺のプランターの手入れをしているのが見えました。
こういう時だからこそ、いつもの3月と同じように淡々と春を迎える準備をする。パニックにならず、冷静に危機を乗り越える。人と人とのつながりを大切にしつつ、この危機を乗り越えられたらと思います。
■ドイツ政府推奨の備蓄リスト
<成人1人当たり2200キロカロリー計算で10日分>
水:20ℓ
米・パスタなどの炭水化物:3.5kg
野菜(缶詰、瓶詰、冷凍など):4kg
果物、ナッツ(缶詰、瓶詰、冷凍など):2.5kg
牛乳及び乳製品:2.6kg
肉、魚、卵など:1.5kg
油、脂:1.35kg
+砂糖、塩、調味料など
■具体的な購入例
(炭水化物)
パン類:1.7kg
パスタ類:360g
米類:180g
オートミール:550g
ジャガイモ:700g
(野菜)
豆の缶詰:570g
赤キャベツの瓶詰め:500g
ザウアークラウトの瓶詰め:500g
アスパラガス瓶詰め:280g
とうもろこしの缶詰:280g
きのこの缶詰:280g
ピクルスの瓶詰め:280g
生ビーツ:280g
生玉ねぎ:260g
(果物)
さくらんぼの瓶詰め:500g
なしの缶詰:180g
アプリコットの缶詰:180g
みかんの缶詰:250g
パイナップルの缶詰:250g
レーズン:140g
ヘーゼルナッツ:140g
プルーン:180g
新鮮な果物:700g
(飲み物)
水:20ℓ
レモン果汁:0.14ℓ
インスタントコーヒー:180g
ティーバッグ:90g
(牛乳・乳製品)
ロングライフミルク:3.5ℓ
ハードチーズ:500g
(肉、魚、卵)
ツナの缶詰:100g
イワシの缶詰:70g
ニシンの缶詰:70g
コンビーフの缶詰:180g
ソーセージの瓶詰め:400g
サラミなど:250g
レバーペースト:250g
卵:8個
(油)
バター:180g
油:0.2ℓ
https://www.ernaehrungsvorsorge.de/
(ドイツ連邦食糧・農業省)
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