ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

パッケージで人気急上昇!かわいいパッケージで届く花束「ベルガモット」from パリ

かわいいパッケージで花束デリバリーサービスに革新をもたらした花屋さん

お誕生日や大切な記念日だけでなく、ちょっとしたお呼ばれや日頃の感謝の気持ちを伝えるために、フランスではごく自然にお花を贈り合う習慣があります。もちろん、テーブルや暖炉の上に飾る自宅用のブーケを求める人も多く、フランス人にとってお花はとても身近な存在です。だから、パリを歩くとお花屋さんがたくさん見つかり、それぞれ個性的なディスプレイで道行く人の目を楽しませてくれます。

一般的なチェーン店や小さな街のお花屋さんもありますが、フランスではアーティストとして店舗を持つフローリストも少なくなく、花々の組み合わせ、パッケージや花束の形などのプレゼンテーションにひとひねり加えるなど、「作品」と呼びたくなるようなオリジナルなブーケが並び、そのフローリストの独特な感性に惚れ込んで「ブーケを買うなら絶対このお店!」と決めているフランス人がとても多いのです。

そんな中、今注目を集めているのがオンラインショップのお花屋さん。ブーケは自分の目で見て確かめて買うもの、というこだわりの強いフランス人たちが、なぜネット注文の花束に惹かれるのか・・・その秘密をお教えしましょう。

1日のブーケ注文数は400〜600束!

写真:ベルガモットを象徴するカートンのパッケージ。ブーケはバラ2種を合わせた定番のLIVINGSTONE(29.90€)。ユーカリの葉がとっても今風。

今回紹介する「Bergamotte ベルガモット」は2016年1月に誕生した、ネットのお花屋さん。実店舗は持たず、オンラインショップで受けた注文をパリのアトリエで働くフローリストたちが準備します。パリ市内ならオーダーから2時間で素早くデリバリーしてくれ、フランス各地の場合でも翌日には配達してもらうことが可能です。

フランスにはすでに、インターフローラをはじめとするフラワーギフトのデリバリーサービスがあったものの、ベルガモットの登場でそんなメジャーな古株たちの存在がかすみつつあるのは確かです。誕生からたった2年で1日400〜600束ものブーケの注文を受けるというところからも、ベルガモットの人気のすごさと勢いが計り知れます。

成功のカギはパッケージ!

ベルガモットがここまで急速に人気を集めた理由はいくつかありますが、中でも重要なカギとなったのがその個性的なパッケージ。配達に耐えられる強度を持ちながらもオリジナリティあふれるものを、とグラフィックデザイナーとともに試行錯誤を繰り返し、カートン製の六角錐のパッケージが誕生しました。

ブーケの包装といえば、透明のセロハンシートやクラフトペーパーを用いて中のお花が見えるパッケージスタイルが一般的ですが、あえて、中身の見えないクラフト色のパッケージを使ったところに、パリジャン、パリジェンヌたちは新鮮さを見出しました。こんなシンプルなパッケージの中に華やかなブーケが入っているなんて!と、フタを開けた瞬間のサプライズとギャップの大きさが多くの人を惹きつけた理由のひとつでしょう。

ちなみに、パリ以外のフランス各地へは郵便局のサービスを使うため長方形のカートンに入れられて届けられます。

写真:パリ市内ならこんな風にフタが閉じた状態で届けられる。

六角錐のパッケージは、お祭りにチュロスやボンボン(キャンディ)を入れる円錐のパッケージや、パーティーにかぶる三角帽子、ソフトクリームのコーンなどを想起させ、見ただけでワクワク感が高まる形でもあると言えるでしょう。カートンの外側とフタにベルガモットのロゴを入れただけの、あえてシンプルなデザインにとどめているところも今の空気感にぴったり合っています。

写真:フタと本体がうまくかみ合うように形状設計され、テープなどで留められていないので開ける時もストレスフリー。美しいイラストのカードが同封されている。

インスタグラムのフォロワー数は7万4000人以上

個性的なパッケージと並んで、ベルガモットの成功に一役買ったのが強力なビジュアル戦略。実店舗を持たずにオンラインショップのみの注文で勝負しているだけに、彼らのウェブサイトはとても美しく見やすい作りになっています。センスの良さは色づかいやフォント選びだけでなく、「こんなお花のある風景、素敵だなぁ」と見るものが憧れるようなおしゃれな雰囲気重視の写真の数々にも感じられます。

従来のネット花屋さんにありがちな、花束をアップで撮影したブツ撮り写真ではなく、かわいい花瓶に入れた花束をビンテージのローテーブルの上に飾ったり、読みかけの本とコーヒーカップのそばに置いてみたりと、実際にその花を飾っているシチュエーションが想像でき、購買意欲を盛り立てる工夫がされた魅力的な写真がたくさん掲載されています。こういった写真を戦略的に使っているお花屋さんは、今まで案外なかったのかもしれません。

見るものを惹きつける写真がさらにその威力を発揮しているのがインスタグラム。現在、7万4000人以上のフォロワーを数え、様々なインテリアをバックに撮られたブーケの写真が毎日アップされています。実際に、サイトに訪れる顧客の40%がインスタグラム経由で、ベルガモットにとってインスタグラムは最も重要な宣伝の場となっています。

写真:日常風景にさりげなく溶け込んだブーケがとても印象的。

花束と合わせて購入できるアイテムも提案

ベルガモットの顧客の45%が今まで一度もネットで花束を購入したことがないのだそう。街角のいたるところにお花屋さんがあるフランスでは、わざわざオンラインで注文するよりも、実店舗に買いに行った方が手っ取り早く、安心感があるのは確か。

それでも、ベルガモットの花束を求める人が増えているのは、なんと言ってもセンスの良いブーケがあるから。今の流行をしっかり押さえた花や葉のチョイスはお見事で、若い人たちでが素敵と思えるおしゃれなブーケが揃っているのが特徴です。

写真:花瓶や円筒ボックスの化粧箱、花に添えるチョコレートやアロマキャンドルなど、気の利いたアイテムが提案され思わずクリックしたくなってしまう仕掛けが。

写真:配達日の日付指定もとってもわかりやすい仕組み。

ブーケの紹介ページには組み合わせを考えた担当フローリストのコメントがあり、店舗のように直接話はできなくても、作り手の顔が見えるようで安心感を与えてくれます。もちろん、花の種類や本数など、ブーケの詳しい内容もしっかりと記載されています。

写真:「デザイナーからひとこと」と顔写真付きでコメントを紹介。スタッフではなくデザイナーである、というところもポイント。

いつかは日本進出も?!

 オープン当初は花束のみの販売でしたが、少しずつバリエーションを増やし、現在はサボテンや観葉植物も提案しています。そして今月からドライフラワーの販売もスタート。近いうちにドイツで展開する予定もあり、立ち止まらずにどんどん前進しているベルガモットのこれからがとても楽しみです。いつか日本にも進出する日が来るかもしれません。

Bergamotte ベルガモット公式サイト

ベルガモット インスタグラム

 

このライターの記事

Top