イリノイでのクリスマスと年越しは3回目となりそうですが、感染対策でキャンセルや規模縮小となっていた様々なイベントが今年から復活し、コロナ禍前までに行われていたイリノイの伝統的なクリスマスを初めて経験できるかもしれません。10月のハロウィン、11月のサンクスギビングデイが過ぎると、スーパーもクリスマスに向けた商品でいっぱいとなりました。
さて、冒頭から『クリスマス』と連呼している私ですが、こちらの地域では、多様性が尊重され、クリスマスに関連する期間は宗教的な背景を超えて、誰にでも共感できる『ホリデイシーズン』と呼ばれることが一般的です。クリスマス当日の挨拶も『メリークリスマス!』ではなく『ハッピーホリデイ!』となります。この表現の方が、年末から年明けにかけて使えるので便利かもしれませんね。ただし、この表現もまだ厳密なルールとはなっておらず、サンタクロースのモチーフも依然人気ですし、宗教的な枠を超えてみんなでこの時期を楽しもうとする雰囲気は、売り場からも伝わってきます。
アメリカの甘酒?エッグノッグ:『VEGNOG』『Eggo Nog』
サンクスギビングデイが終わったら、エッグノッグが人気を集めます。カフェやバーでもオリジナルレシピのエッグノッグが注文できるようになります。日本にいた頃の私は、エッグノッグとは温かいカクテルのことだと考えていましたが、実際にはアルコールを含まない風味豊かな甘いホットミルクベースのドリンクを指すことも多く、子どもでも楽しめる、甘酒に近い存在だと知りました。
ヴィーガン向けに、エッグを抜いた『ベッグノッグ』(画像1)も販売されており、冬にはなくてはならない飲み物のようです。脱プラスチック志向も強いヴィーガンですから、紙パック入りであるところも気が利いていますね。
ケロッグ社はシリアルで有名ですが、ワッフルやパンケーキを中心に展開する巨大ブランド『Eggo』も展開しています。そんな『Eggo』から、タイアップ商品としてアルコール入りのエッグノッグ『Eggo Nog』(画像2)が販売されています。商品には、ワッフルを彷彿とさせる格子状のパターンが背景に描かれていますね。お酒なのに、ジャーに入っているというのもユニークです。
一般的に『Eggo』はファミリー・子ども向け商品が主力ですが、このエッグノッグのアルコール度数は20度とそれなりに高いため、見た目がお菓子のようで楽しい一方、子どもの手の届くところに保管することは避けた方が良いかもしれません。
飾り付けはツリーだけでなくお菓子も:『Betty Crocker(ベティ クロッカー)』
製菓用品や調理グッズの有名ブランド『ベティ クロッカー』のアイシング(粉糖などをペースト状にして絞り出し、焼き菓子などにデコレーションすること)シリーズです(画像3)。
ベティさんという実在の人物がいるわけではなくて、架空のキャラクターなのですが、約100年前に誕生して以来、アメリカで広く愛されている女性といっても良いでしょう。
この季節になると、クリスマスの定番お菓子のジンジャーブレッドを焼く機会が増えるので、ホリデイシーズンにぴったりな雪や星などの模様をアイシングするニーズも高まるわけです。
このシリーズ、複数の種類があるのですが、パッケージがちょっと面白いのです。
口栓つきパウチのキャップには、フック用のハンガー機能がついていたり、パウチのシール部にプラスチックの絞り出し口が接着されていたり。
絞りだしたい幅やデコレーションの用途に合わせて、キャップの大きさや鋭さを変えているので、パッケージにもバリエーションが出ているのです。
売り場にも使い勝手にも気を配ったパッケージとなっています。
手間要らず!トッピングとバタークリームと焼き菓子:『Funfetti(ファンフェッティ)』『Sugar Cookie KIT』
スーパーの特設製菓用品売り場には、手作りケーキやマフィン、クッキーなどをデコるための、バタークリーム(別名フロスティ)のカップの山も現れます。クリームっぽいものが常温でカップに入っているというのは、私にはちょっと違和感がありますが、アメリカではこれが定番商品として親しまれています。タークリームには白色のスタンダードなものだけでなく、ピンクや黄色などの鮮やかな色合いや味のバリエーションがあり、時折お菓子のオレオとのコラボレーションなども行われています。
そういったスタンダード品と共に、クリスマスには期間限定商品(画像6)も発売されます。蓋の部分に赤と緑と白のクリスマスカラーのチップが付いているのが見えますでしょうか。「紙吹雪」を意味する「confetti」と「楽しい」の意味の「Fun」をかけ合わせた『Funfetti』の名前の通り、この商品一つでクリームだけでなく、カラフルで華やかなトッピングもできるというわけです。
緑のバタークリームのカップと赤いケーキミックスの箱(画像7)が並ぶと、クリスマスのムードも一層高まります。シズルカットをみれば、どんなケーキができるかがよくわかります。クリスマスは家族で過ごす特別な日ですから、子ども達とケーキ作りを楽しんで、思い出に残るひとときを作りましょうというCMを見かけました。カップに入ったバタークリームをスプーンで盛り付けるだけですから、小さなお子さんにもぴったりですね。
『Funfetti』は、パッケージにコック帽をかぶったかわいらしいドウボーイくんがキャラクターとして登場しており、ファミリーや子ども向けのイメージが強いようですが、年齢層が高めの人向けのクッキーキットも存在します。歌手や女優、料理研究家としても知られるドリー・パートンさんのブランドの製菓キットシリーズのクリスマス限定商品です(画像8)。
ドリーさんは音楽やエンターテイメントの世界だけでなく、調理用品などもプロデュースしています。彼女のスタイルや活動は、日本で言えば平野レミさんのような感じでしょうか。
キットの中身はやはり鮮やかな緑のバタークリームにクリスマスカラーのチップと焼き菓子の組み合わせとなっています。ドリーさん特有のド派手なヘアスタイルが、売り場でも目をひくアイキャッチとなっています。
クリスマス仕様のいつものお菓子:『Sour Patch Kids(サワーパッチキッズ)』
子どもたちが大好きなサワーパッチキッズ。柔らかい「すあま」に酸っぱいパウダーが付いているとイメージしていただければ、このお菓子の味と食感がかなりリアルに伝わるかと思います。甘さ一辺倒が多いアメリカのお菓子の中では、私も比較的好きなお菓子です。
パッケージに載っている人型のキャラクターも人気で、テレビCMでは楽しげにダンスしているのをよく見かけますし、Tシャツや靴下などアパレル商品にもなっていて、身近に感じるブランドです。
このような子ども向けの人気お菓子ブランドは、クリスマスシーズンに特別商品としてパッケージをクリスマスブックのような形にして、一枚見開きの楽しいミニストーリーがついた商品を販売することが多いのです。サワーパッチキッズの場合、サンタさんのソリを壊してしまい、最新式のソリをお返しするというストーリーのようです。
ブック型と言っても、お菓子が入った紙箱で、1ページ分のフラップがついただけの構造です。ストーリー自体はささいなものですが、元気でいたずらっぽいキャラクターのイメージに合っており、これを見ながら楽しむお菓子は普段とは違った気分で楽しめると思います(画像9,10)。
サワーパッチキッズのような人気ブランドでは、クリスマスシーズンにはブック型の限定商品だけでなく、さまざまな特別な商品が販売されます。
その一例が、ブラックベリー味の黒いサワーパッチキッズ(画像11)です。これは「Coal(石炭)」というサブネームがついています。良い子にはサンタさんがプレゼントをくれますが、悪い子には靴下に石炭が入れられるという言い伝えからヒントを得た一種のジョーク商品です。
サワーパッチキッズのキャラクター達は先ほどの絵本のストーリーにあるように、ちょっといたずらっ子で、完全な良い子というわけではないように見えますので、他のお菓子ブランドには真似のできない捻りの効いたクリスマス商品です。
期間限定で楽しむクリスマス商品
みんながウキウキとして笑顔が増えるシーズンなのは日本と同じです。日本と少し違う点としては、私がスーパーに並ぶ商品などを見る限りではありますが、友人と大勢で楽しむパーティグッズや、恋人と過ごすロマンチックな表現の商品などはあまり見られなくて、自宅のオーブンで作れる焼き菓子やディナーの調理キットなど、家族やごく親しい人たちで楽しむアットホームなシーンを想定している傾向があると思います。近所の人によると、コロナ禍でステイホームの良さに回帰したところもあるかも、なんておっしゃっていました。
ただこれは、12月が氷点下になる地域であるイリノイ州では、暖炉の薪などもコンビニで販売されるくらい寒さが厳しく、温かい屋内での家族団らんが主流になるからかもしれません。もっと温暖な州では、もっと違ったクリスマスの過ごし方とそれに見合った商品があるかもしれません。
日本のクリスマス商品はいかがでしょうか?コロナ禍前に戻ったと思っても、何か違いがあるかもと改めて店頭を見るのも面白いかもしれません。
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