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プラごみ削減に貢献!ボトルキャップが本体から離れない飲料パッケージ

パケトラ読者のみなさま、こんにちは。ポルトガル在住の東リカです。

アメリカからこちらに引っ越してきて気になったことの1つが、キャップがボトルにくっついたままになる飲料パッケージが多いこと。
なぜ?とその理由を調べたところ「ポルトガルを含むEU諸国では、プラごみ削減のためにボトルキャップが本体から離れない設計へと変更中だから」だと分かりました。

今回は、そんなサステナビリティに留意した飲料パッケージについてお伝えします。

海洋プラスチック問題に取り組むための規制

近年、関心が高まっている海洋プラスチック問題。

ヨーロッパでも例に漏れず、「欧州の海岸で見付かるごみのうち、①使い捨てプラスチック製品(single-use plastic products)が49%、②プラスチックを含む漁具(fishing gear)が27%、③その他のプラスチック廃棄物が6%を占め、合計で海岸で見付かるごみの80%以上をプラスチックごみが占める」(参照PDF)そうです。

その対応策として、2019年に「特定のプラスチック製品による環境への影響の低減に関する欧州議会及び理事会の指令(Directive (EU) 2019/904)」が公布されました。これにより、EU加盟国は指令に対応した国内法を整備することが求められたのです。

指令の規制対象は特に使い捨てプラスチック製品。

ストロー、カラトリー、綿棒、発泡スチロール製の飲料カップ・食品容器・飲料容器といったアイテムは上市が禁止されました。

身近な使い捨てプラスチック製品であるプラボトルは、市販自体は禁止されなかったものの、容量3リットル以下のプラスチック製の飲料容器はすべて再生プラスチック含有率を2025年までに25%、2030年までに30%にすること、また、2024年7月3日までに容器本体とキャップをつないだデザイン(テザードキャップ)にすることが義務化されたそうです。また、分別収集、意識向上に関する情報の掲載も必要です。

では、どのようなテザードキャップの飲料ボトルがあるか、いくつかみていきましょう。

参照記事:公布「特定のプラスチック製品の環境への影響の低減に関するEU指令 2019/904(欧州議会・理事会)」

注ぎにくい?乳製品のテトラパック

テトラパック入りの牛乳

テトラパック入りの牛乳

まずは、冷蔵で販売されている1リットルサイズのテトラパック入りの牛乳。

93%が再生可能素材でできているパッケージは、CO2を41%削減したサステナブルなものだそうです。側面には、分別についての情報なども記載されています。

キャップの様子

そして、キャップはこのように本体から離れない構造です。

通常のキャップのように回していくと、途中で止まり、それ以上開きません。開く部分があまり多くないため、最初は少し注ぎにくく感じるかもしれません。

けれども慣れれば、それほど気にならなくなります。ただ、ボトルに直接口をつけて、というお行儀の悪い飲み方をすることはかなり難しくなります。

テトラパック入りのヘビークリーム

テトラパック入りのヘビークリーム

こちらは、200mlサイズのテトラパック入りのヘビークリーム。こちらも本体から蓋が取れない構造です。

ヘビークリームのフタ

牛乳に比べると、もう少し注ぎ口が大きく開きます。こちらも注いで使うため、これくらい開けば特に問題は感じません。

ボトルから直接呑む飲料は?

注いで使う商品は、口がそれほど開かなくても気になりませんが、ボトルに口をつけて呑むような飲料の場合、キャップが近くにあると、顔に当たってかなり飲みにくいです。

33clの水のボトル

33clの水のボトル

その点、こちらの水のボトルは、180度まで開く構造。これならば、問題なく飲むことができます。

キャップは、前述の乳製品とは違い、回して開けるのではなく、上に押し上げて開けることになります。キャップを下に押せば、問題なくボトルを閉めることができます。

子供向けの飲料

こちらの子供向けの口付きのものは180度までとはいかず、キャップが少し顔に触れます。邪魔で飲めない、といったことはありませんが、気になるといえば気になるし、気にならないといえば…といった具合です。

プラスチックの使用量や製造工程を極力増やさずに、開閉機能はそのままに、キャップが顔に当たらない仕組みにするのは、なかなか難しいのかもしれません。

ペットボトル写真

ちなみにボトルのラベルに名前を書く場所があるのは、ちょっと気が利いていますよね。

飲料のペットボトル

コカ・コーラ

大手ブランドの炭酸飲料のボトルも一斉に本体と一体化したキャップに切り替えられています。蓋にその旨も記載されています。

コカ・コーラのフタ

こちらは、キャップが2箇所でボトルとつながっていて、180度以上離れるので口をつけても飲みやすいです。また、開閉も特に不便を感じません。

2024年7月のデッドラインはもうすぐです。

「Packaging Dive」の記事によると、テザードキャップの導入に当たり、飲料会社はかなりの投資を強いられているのだとか。けれども、これまでリサイクルされてこなかったキャップがボトルと共にリサイクルされる確率は確実にアップするため、その環境への貢献はかなり大きなものになるはず。

消費者としてもせっかくの飲料会社の努力を無駄にしないよう、ちゃんとペットボトルをリサイクルしたいと思います。

 

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