宮殿をモチーフにした華やかなデザインが魅力のブランド「BACHA COFFEE」。人々を魅了するパッケージと日常を忘れるラグジュアリーな空間の店舗とは
従来、シンガポールを代表する有名なお土産ブランドと言えば紅茶店のTWGでした。しかし、近年TWGに変わり、BACHA COFFEEというお店が人気を集めています。BACHA COFFEE はモロッコはマラケシュ発の高級コーヒー店でコーヒーにこだわりがあるのはもちろん、きらびやかで目をひくパッケージが話題となっています。本稿では、日本未上陸かつ、品質のよさや美しいデザインが話題の本ブランドについてご紹介いたします。
長年、人気お土産の代表格だったTWGの座を奪い、突如浮上したBACHA COFFEE。そんなBACHA COFFEE とはどのようなブランドなのでしょうか。
BACHA COFFEEの起源はモロッコのマラケシュの街メディナに建てられたダール・エル・バシャ宮殿だと言われています。かつて宮殿では著名な文化人や政治家などに最高級のアラビカコーヒーが振舞われていました。第二次世界大戦後に宮殿は一旦閉鎖となりますが、その後修復が行われ、約60年の閉鎖を経て博物館として蘇ります。本博物館内に当時を再現させてつくられたサロンが今回ご紹介するBACHA COFFEEとなります。
現在BACHA COFFEEはシンガポール島内に11店舗あります。各店舗ごとにブティック(販売コーナー)、コーヒールーム(店内飲食)、テイクアウト(持ち帰り)の利用場所が異なり、店内飲食ができるのはその内2店舗のみ。※1 本稿では、コーヒールーム、テイクアウト、ブティック全てを兼ね備えたION Orchard店を、実際に筆者が訪問した際の写真とともにご紹介していきます。
外観
鮮やかなオレンジとゴールドの色合いでまとめられたきらびやかな姿は遠くからも目をひくデザイン。店内一面に並べられたコーヒーのBoxや、かつて宮殿で使われていたようなゴージャスでクラシックなポットが置かれている点も他に類を見ない圧巻の光景です。床を白と黒の市松模様にし、内装にゴールドをあしらっていることも宮殿を思わせる工夫が感じられます。
ブティック(販売コーナー)
ブティックではお土産用に様々なコーヒーが販売されています。販売されているコーヒーのパッケージはお店のカラーと同じくオレンジを基調としたものがメイン。これらの箱にはドリップコーヒーが入っています。四角い箱にリボンが結ばれ、ギフト感のあるラグジュアリーなつくりが特徴的です。各商品にコーヒーの産地が書かれているのも、コーヒーで世界を旅している気分になれて楽しいところ。
紙のboxの様々なカラーバリエーションのものはフレーバーつきのドリップコーヒーです。チョコレートやキャラメル、オレンジなどに加え、「ミラノの朝」や「ローマの休日」など、世界の特定の場所をイメージしてつくられた香りの商品があります。一言にコーヒーと言ってもイメージや求める香りは人により異なるもの。自分の求める味わいや香りの商品をセレクトできるのがBACHA COFFEEの良さでもあります。
瓶状の商品はフィルターコーヒー用なので好みのコーヒー豆を自分の必要な量で挽いてもらうことができます。
デカフェやギフトboxなどもあり、何通りものバリエーションの中からコーヒーを選び、購入することができます。コーヒーは、名称、ギフトboxのカラー、コーヒーの味の強さ、飲む時間帯などまで自分の好みに合わせて選択ができます。店内で相談ももちろんできますが、これらの情報は全てHPで確認することが可能です。※2 種類が多い魅力的な商品はその場ですぐに選ぶことが難しいもの。そのため、事前に商品を把握できるのはカスタマーにとって非常にありがたい点。こうしたお客様目線のサービスもファンが多い一つの要因のように思います。
コーヒールーム(店内飲食)
飲食のできるカフェスペースはモロッコをイメージさせる深いブルーの壁色で装飾されています。コーヒールームのある店舗でしか見ることができない光景なので、こうした点も店舗ごとに訪れる楽しみを与えてくれます。
コーヒールームでは約200種類以上の中からコーヒーを選ぶことができ、食事もお魚やお肉を使ったものからクロワッサンやケーキまで幅広く楽しむことができます。※3
コーヒーを頼むとまず目がいくのは運ばれてくる華やかな食器。シンプルなデザインながら、高級感のあるシックなつくりのカップとお皿が置かれると一気に高級感が漂います。
ポットでコーヒーが提供されることも新鮮。きらびやかなポットに入ったコーヒーは量がたっぷりあるため、シェアしながらいただけるのも嬉しい点です。
コーヒーには生クリームとブラウンシュガーがついてきます。バニラビーンズがふんだんに入っているクリームは甘さがなく、あくまでコーヒーの風味を引き立たせる役割として提供されています。ブラウンシュガーも単なるお砂糖ではなく、ロックシュガーという名の岩のようにゴツゴツしたもの。その珍しさから、これらが添えられることでプレミアム感が増す気がします。
コーヒーは香り高く、しっかりと豆の風味が感じられる味わい。オーダーの際、スタッフの方に自分の好みの味わいを伝えるとそれに沿ってコーヒーをセレクトしていただけたので、自分の好みのテイストと出会うことができました。ロックシュガーはいれませんでしたが、生クリームを入れるとバニラビーンズの香りやクリームのマイルドさが加わり、また違ったコーヒーの風味を楽しむことができて新鮮でした。
訪れた際はデザートの欄からチョコレートケーキのコーヒーアイス添えをオーダー。テイクアウトコーナーでもケーキは販売されていますが、こちらはコーヒールームのみのメニュー。限定メニューをいただける点もコーヒールームに行く価値が高まるところ。ケーキは中にチョコレートのソースが入っており、いただくと香り高い上質なカカオの味わいが口いっぱいに広がります。
お店のコーヒーが使用されたアイスクリームも、同様に上品な香りと深みのある味わい。ケーキやアイスはもちろん単体でもおいしいのですが、コーヒーと合わさるとさらに旨みや香りが増すので不思議です。二つが合わさるとまさに口の中は口福。非日常感の溢れる高級感のある空間の中、おいしいコーヒーやスイーツを堪能する瞬間はまさに幸せなひとときです。味覚はもちろん、視覚で楽しめる点も多くの方が魅了されるポイントの一つだと言えるでしょう。
テイクアウト(持ち帰り)
テイクアウトコーナーではショーケースに並んだ色とりどりのクロワッサンや美しいケーキ、コーヒーを持ち帰ることができます。
コーヒーのテイクアウトは美しいカップに加え、持ち運び用の台、ブラウンシュガーや生クリームをつけて提供していただけます。
筆者が実際に持ち帰ったことがあるのはクロワッサンとケーキ。クロワッサンは全種類を試したのですが、中でも最も気に入った「カヤクロワッサン」をご紹介します。「カヤ(Kaya)」というのはシンガポールやマレーシアの代表的な朝食「カヤトースト」に使用されている、パンダンリーフやココナッツミルクでつくられたジャムのことです。HPでは BACHA COFFEEの店舗がある全ての国のメニューを見ることができますが、このカヤクロワッサンは本店のモロッコを含め多国にはない商品。まさにカヤを名産としているシンガポールやマレーシアのためにつくられたメニューなのです。
クロワッサンを切ってみると中にはクリームがたっぷりと入っており色合いも美しいです。クロワッサンの上にココナッツがのっている点も見栄えの美しさに加え、東南アジアの雰囲気を醸し出してくれます。上質なクリームとカヤの味わい、サクサクでバタリーなクロワッサンの相性も抜群でお味もとてもおいしい商品でした。
ケーキも東南アジアをイメージしたであろうパンダンリーフを巻きつけたものや、お店のコーヒーを使用したケーキ、美しい瓶に入ったティラミスなど魅力的なものばかり。各国の名物やお店のコーヒーを使用した商品や、パッケージの華やかさを意識したBACHA COFFEEならではのメニューの数々は毎回お店に足を運ぶ楽しみを与えてくれます。
世界中から話題のお店が出店し、常に流行を追っているシンガポール。そんなシンガポールで開店当時からいまだに人気が衰えず、店舗を増やしているBACHA COFFEE は稀有な存在です。
あくまで主役をコーヒーとしながら、コーヒーの魅力を引き出すために細部へのこだわりや努力を惜しまない点が多くの人を魅了している大きな要因のように感じます。また、宮殿に訪れたかのような非日常的な空間づくりや、特別感のあるラグジュアリーなパッケージは他に類を見ない魅力的な点でもあります。BACHA COFFEEのマーケティング、セールスプロモーション、パッケージを見ることでグローバルに多くの人々を夢中にさせるヒントを得ることができたように思います。
1.ION Orchard 及び Marina Bay Sands 店の2店舗のみ。Takashimaya店はbarになっているためクロワッサンやケーキなどの軽食は飲食可能となります。
2. ギフト用コーヒーの種類詳細については下記にて記載。
https://bachacoffee.com/packed-coffees-accessories/packed-coffees
3.店内飲食メニュー詳細は下記にて記載。
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