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米国の第二次キッチン革命とパッケージ表記

電子レンジのキッチン革命に続く!

電子レンジは私たちのキッチンに一大革命を起こしましたが、今やエアフライヤーがそれを再現しつつあります。電子レンジの普及はパッケージにも変革を起こしました。

具体的には、開封せずに電子レンジで加熱できる蒸気抜き機能付きパウチ、材料を入れると、あらかじめパッケージに封入された調味料で煮込み料理や蒸し料理などの調理機能を持ったパウチ、加熱後に食器として利用できるパウチや紙容器など、時短やお手軽調理に大いに貢献しています。

米国のエアフライヤーの売上は2020年から2021年にかけて76%増加し、2,560万台が販売され、総額は10億ドルの規模の市場に成長しています。そして、エアフライヤーはキッチンの飾りではなく、日常的に使用される調理必需品となっています。

調査会社NPDによると、過去2年間でディナーの場でのエアフライヤーの使用は60%以上増加し、パンデミック以降、食事の80%以上が自宅で調理されるようになったため、人々は食事の準備をより簡単に、より健康的に、より速くできる家電製品を求め、エアフライヤーがその答えとなっています。

多用途性もエアフライヤーの人気の1つです。エアフライヤーは単機能にとどまらず、少量の油で、カリカリまたは歯ごたえのある食べ物を作ったり、ケーキを焼いたり、鶏肉をローストすることができます。ユーザーはその機能を最大限に活用できるレシピを常に探しており、エアフライヤーの料理本の売上は2021年に9億7,100万部に達し、前年比11%増で、料理本全体の業績を上回っています。

Cookbook

Cookbook

ソーシャルメディアのインフルエンサーは、エアフライヤーの長所を披露することで、エアフライヤーで作るレシピの創造性を高めてきました。TikTokでは、コンテンツクリエイターたちが、エローテ(焼きとうもろこし)やステーキからドーナツやチーズケーキまで、エアフライヤーで作れる献立を拡大し、何百万回もの視聴回数を獲得しています。

エアフライヤーの所有者は、オーブンよりもエネルギー消費量が少ないためお金を節約し、持続可能性の目標を達成できます。腰痛のある人は、従来のオーブンを使用する場合のように過度に腰をかがめることなく調理できることを利点として指摘しています。

広がるエアフライヤー製品

米国でエアフライヤーは、オーブン、トースター、電子レンジに次いで4番目に人気のあるキッチン家電と考えられており、60%の世帯が所有しています。このように人気の家電となったエアフライヤーは、その用途や新商品のニーズが高まっています。そんな中、ブランドはエアフライヤーの使用方法を記載した最新のパッケージを登場させています。

ブランドはまずホームページなどを使い、エアフライヤーによる調理方法の啓蒙からスタートし、次にパッケージの裏面に注意書きを添付し、最近では商品名やキャッチコピーにエアフライヤーを添付するようになっています。

日本でもオレンジページの「くらし予報」の調査で、「ノンフライ調理家電」の認知率は94%ですが、所持率はまだまだ低いものの、今後使ってみたい調理家電として「ノンフライヤー・ノンフライオーブン」(32.7%)が挙げられています。
(日本ではノンフライヤー=エアフライヤー)

1970年代に電子レンジが導入されて以来、これほど注目される製品はありません。電子レンジの急増により、商品のパッケージに電子レンジの使用説明が求められてきましたが、エアフライヤーのユーザーも同じことを望んでいます。

現在、エアフライヤーが頻繁に使用されているため、製品のパッケージを更新してエアフライヤーの利用説明を含め、食品が適切に調理されることを確認することはブランドの責任となってきています。

「Tyson Foods」は、冷凍調理済み食品のパッケージにエアフライヤーの説明を追加しており、これらの製品は買い物客から好評です。パッケージの背面にある詳細な指示に加えて、パッケージの前面のキャッチフレーズやアイコンは重要な訴求ポイントになっています。

「Ore-Ida」のフライドポテト製品にもエアフライの説明書が付属しています。チキンナゲットやストリップなどのタイソンのアイテムも同様で、ルイジアナフィッシュフライはエアフライヤー専用のコーティングミックスを製造しています。

食品企業「Tesco」は、まず一部の商品パッケージにエアフライヤーの使用方法を記載しました。冷蔵ポテト製品4種類には、パッケージ裏面の調理方法の説明にエアフライのシンボルが記載されたラベルが貼られるようになり、続いて冷凍パン粉チキン製品3種類にも調理方法の説明が記載されるようになり、今では多くの製品に説明が記載されています。

水産品の「Gorton's Seafood」はウェブサイトにエアフライヤーの調理方法を掲載することから始め、その後、パッケージに指示を追加しました。そして2023年には、エアフライを冠したエアフライドバタフライシュリンプとエアフライフィッシュフィレを発表しました。

食品メーカーの「Kellogg」も、顧客の要望に応じて、2021年モーニングスターファームズ製品にエアフライヤーの説明書を含み始めました。

「Hormel Foods」はパッケージを更新し、ウェブサイトにレシピを追加し、YouTubeに料理動画を追加することで、消費者のエアフライヤーの需要に応えています。おなじみのSPAMにもエアフライヤーの調理説明があります。

エアフライヤーと持続可能性

エアフライヤーの環境上の利点は、従来の調理方法よりもエネルギー消費が少ないことです。オーブンやコンロ調理などの伝統的な方法は、食べ物を加熱して調理するのに長い時間がかかります。エアフライヤーはエネルギー使用量の削減や、温室効果ガスの排出を抑制します。さらに、食べ残しを美味しく再加熱できるため、結果的に食品廃棄物の減少につながります。

エアフライヤーは、二酸化炭素排出量の削減にも役立ちます。エアフライヤーはより少ないエネルギーを使用し、食品廃棄物の削減に役立つため、温室効果ガスの排出や大気汚染、水質汚染なども減らすことができます。

レザーヘッド・フード・リサーチ社の調査によれば、英国の家庭の食品パッケージには、エアフライヤーの調理説明が求められています。回答者の3分の2以上(64%)が、ラベルに調理説明が記載されていれば、エアフライヤーでもっと調理をすると回答しています。 この調査は、最近のキッチン機器の人気が高まっていることを受けて行われました。

多機能エアフライヤーの普及

日本人の感覚からすると、エアフライヤーという調理器具は単機能機器のように思われます。しかし、多くのレシピも展開されており、電子レンジのような使い心地の機種も開発されています。油の削減にもつながり、健康に良い調理器具として発展しつつある海外のエアフライヤー市場が、日本市場にどこまで浸透するか楽しみです。また、説明表示なども検討が必要になるでしょう。

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