マレーシアを代表する「BOH紅茶」。地域一体でのブランディングと人々を惹きつける魅力的な商品パッケージ
キャメロンハイランドという土地と地域一体での「BOH紅茶」のブランディング
紅茶の生産国で有名な国と言うと、多くの人がイメージするのはインドやスリランカなどではないでしょうか。しかし、実は東南アジアのマレーシアにも紅茶の名産地があるのです。それが首都のクアラルンプールから車で約4時間の場所にあるキャメロンハイランドです。この土地で採れるのがマレーシアを代表する「BOH紅茶」です。
紅茶は標高の高い場所で育つこともあり、キャメロンハイランドは気温が低いのが特徴です。標高1,500mを越える場所に位置しているため、一年を通して20℃前後の過ごしやすい気候になっています。年中温暖な気候であるマレーシアでは、この土地は貴重な避暑地として知られています。高原リゾートとしても有名なので、日本でイメージするなら軽井沢のような位置づけの場所となっています。熱帯の東南アジアでは涼しさを感じられる土地は大変貴重なので、マレーシア国内だけでなく隣国であるシンガポールや他国からも毎年多くの観光客が訪れています。今回はそんなキャメロンハイランドという土地や名産の「BOH紅茶」についてご紹介いたします。
茶葉生産はイギリスの植民地時代から続いている産業で、キャメロンハイランドの涼しい気候と高台にあることを利用して作られたと言われています。この土地が避暑地として有名であることを感じさせるのが、紅茶以外に苺が名産であるということです。寒い地域で育つ苺は、東南アジア産のものは一般的にはほとんど見かけません。そのため、多くの方がここを訪れると希少価値の高い苺や各農家さん自家製の苺ジャムなどを購入しています。
同様に、観光客が必ずと言っていいほど訪れるのがBOHの茶畑です。写真の通り、一面に自然が広がる景色はまさに絶景です。畑には遊歩道が設置されており、観光客が歩けるようになっています。広大な茶畑を自由に見て回れる場所はなかなかないので、そうした点も人気のポイントです。
茶畑に加えて、一見の価値があるのが紅茶の工場です。工場内ではどのように紅茶が加工され商品化されるのか、一連の工程を見ることができます。まず工場に入って驚くのが香りです。足を踏み入れた瞬間、あたり一面に広がる紅茶の香りを楽しむことができます。生の茶葉を燻しているので、香りは少々強めでスモーキーです。大きなマシンを回転させて、ゆっくりじっくり茶葉の香りや色を出していきます。紅茶ができるまでの過程を見られるのは非常に貴重な体験なので、おすすめです。
そうして手間暇かけて出来上がった紅茶は、「BOH TEA CENTRE」で購入できます。同所では、さまざまな種類の紅茶が購入ができたり、カフェスペースで茶畑を眺めながらお茶や軽食を楽しむことができます。
筆者もここでは「キャメロニアンゴールドブレンド」という紅茶を購入しました。「BOH紅茶」を代表する最もベーシックな種類なので、キャメロンハイランドの名前が商品名に入っていることや、高級感のある入れ物に入っている点が特徴です。茶畑と撮影すると、背景の山々の景色や色合いも相まって、より一層写真映えがよくなります。
ここで、店内で「BOH紅茶」を楽しめるおすすめのお店を一つご紹介します。お店の名前は「The Lord's Cafe」です。トリップアドバイザーなど観光客向けのサイトでも上位にランクインしている、キャメロンハイランドの人気カフェです。
階段を上がりながらお店へ向かう途中、自然に囲まれた風景を眺めるのも情緒があります。店内は落ち着いた雰囲気です。天井が高いのも開放感があって良いです。
紅茶と一緒に多くの方が頼むのがスコーンです。オーナーが試行を重ね、現在の味にたどり着いたというお店一押しのスコーンは、リーズナブルなのに美味しいと地元で評判の一品です。地元の方はスコーンを大量に購入し、持ち帰って自宅で召し上がる方も多いと聞きます。営業時間は10時から17時と短いので、訪問する場合には早めに行くことをおすすめします。バスターミナルの向かい側に位置しており、アクセスも良いため、バスの出発時刻前に訪れる方も多数いるようです。
訪問時は筆者も「BOH紅茶」とスコーン、そして人気メニューの一つと聞いたオムレツを頼みました。お店では、「BOH紅茶」とともに自家製のスコーンにキャメロンハイランドの苺を使用した自家製ジャムをつけていただくことができます。評判のスコーンは甘さ控えめの素朴な味わいで、自然な甘みとほんのり酸味のある苺ジャムとよく合います。クロテッドクリームが付いてくるのも正統派のイギリス式ティータイムならではの光景です。苺ジャムとクロテッドクリームのついたスコーンに、香り高い紅茶の組み合わせは相性抜群です。
キャメロンハイランドの広大な自然を眺めながら名産品を味わって過ごす時間は格別です。イギリスの植民地時代から続くアフタヌーンティーの文化も体験できます。このように、キャメロンハイランドでは地域一体で「BOH紅茶」のブランディングをしています。
BOHブランドおすすめ商品
下記では、BOHブランドの他のおすすめ商品をご紹介します。先ほどご紹介した「キャメロニアンゴールドブレンド」というオーソドックスなものに加え、近年は「Seri Songketシリーズ」というフレーバーティーも人気の商品です。シリーズ名にもなっている「Songket(ソンケット)」はマレーシアの伝統織物の一つで、織物の柄を描いてパッケージにしているのが本商品です。
「Songket」のフレーバーはEarl Gray with Tangerine(アールグレイとタンジェリン※)、Mango(マンゴー)、Passion Fruit(パッションフルーツ)、Lemon with Mandarin(レモンとマンダリンオレンジ)、Lime and Ginger(ライムとジンジャー)、Lychee with Rose(ライチとローズ)の全部で6種類で、どれも南国ならではの珍しいフレーバーです。
※Tangerine(タンジェリン)は、日本で言うみかんの一種です。日本で売られているみかんよりも皮に赤みがかったオレンジ色をしており、比較的薄く剥きやすい品種です。
その中で実際に購入したのは、Lychee with Rose(ライチとローズ)、Lime and Ginger(ライムとジンジャー)、Passion Fruit(パッションフルーツ)の3種類のフレーバーです。紅茶のパッケージの縦の側面にはマレー語、横には英語の表記でフレーバーが明記されています。2種類の言語が表記されているのも、多民族国家であるマレーシアならではです。
中は個包装のティーバッグになっており、個包装のパッケージもしっかりとソンケットデザインが施されているので、一箱買ってばら撒き用のお土産にするのもおすすめです。どの紅茶にも共通して、それぞれフレーバーの香りがしっかりしており、深みのある味わいが特徴です。
「BOH紅茶」はマレーシアを代表する名産品の一つであるため、生産地のキャメロンハイランドに訪れても一生の思い出になりますし、現地で紅茶をお土産にしても喜ばれること間違いなしです。マレーシア訪問の際には、少し足を伸ばしてキャメロンハイランドに訪れ、現地だからこその体験や商品を楽しんでみてはいかがでしょうか。
▼参考資料(URLは外部リンクへ飛びます)
「BOH Tea Garden」
住所:39000 Ringlet, Cameron Highlands
電話:+605 493 1324
「Sungei Palas Garden」
住所:39100 Brinchang, Cameron Highlands
電話:+605 491 3788
営業時間:火曜日-日曜日/8.30am-4.30pm
※月曜とマレーシアの祝日休み
HP:https://bohtea.com/visit-our-tea-gardens/
「The Lord's Cafe」
住所:Jalan Besar, Tanah Rata, 39000 Tanah Rata, Pahang, Malaysia
電話:+60 19-572 2883
営業時間:月曜日-金曜日/10am-18pm、土曜日/10am-17pm
※日曜定休
Instagram:https://www.instagram.com/explore/locations/666317/the-lords-cafe/
▼編集部おすすめ記事
イギリス紅茶パッケージの今:新世代のための新コンセプト商品も登場
おうち時間に欠かせない!「紅茶」のパッケージコレクション【連載第37回】
このライターの記事
-
2025.09.03
マレーシアを代表する「BOH紅茶」。地域一体でのブランディングと人々を惹きつける魅力的な商品パッケージ
-
2025.08.07
ミスタードーナツシンガポールのナショナルデー記念メニュー「マイロドーナツ」
-
2025.08.06
マクドナルド・シンガポール×JUMBO Seafoodのコラボ開発:建国60周年記念商品のチリクラブソースバーガー
-
2025.07.16
シンガポールの健康とおいしさを考えた、サワードウ×ボンボローニのマッシュアップドーナッツ
-
2025.04.25
ローカル食を身近で親しみやすい存在に。観光客にも地元民にも愛される「Toast Box」の工夫と魅力
-
2025.01.31
シンガポールから世界へ。世界規模で飛躍を遂げるシンガポール発祥のベーカリー「BreadTalk」