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ニューヨークの最新デリパッケージ事情

人気のコーヒーショップが注目するミルクの、新たなブーム

『ニューヨークの朝は一杯のコーヒーで始まる』———どこかのキャッチコピーのようですが、ニューヨークには、いたるところにコーヒーショップがあり(ニューヨークだけではないのでしょうが)、ほとんどの店が朝7時ごろから開いています。

朝のコーヒーショップは活気があり、特にサードウェーブコーヒー店と呼ばれる、ブルーボトルコーヒーやスタンプトンコーヒー、グランピーコーヒー、ブルックリン発祥のゴリラコーヒーなどには(名前を出すとキリがない)、淹れたての一杯のコーヒーをオーダーするニューヨーカーがひっきりなしにやってきて、列を作っています。

乳製品の進化、新たなブーム

サードウェーブコーヒーは、フェアトレードやオーガニック豆といったサステイナブルでヘルシー志向のコーヒーファン層に支持されているのは周知のこと。ではコーヒーがヘルシーならミルクも!とヘルシーで環境に優しいミルクが注目されるようになり、種類にも年々変化が見られます。

ミルクが注目され、ミルク産業が活気付き、最近は気になるパッケージも増えてきました。そのいくつかをコーヒーショップのミルクのトレンドとともにご紹介します。

元々アメリカは牛乳の種類が日本と比べると多種で、ホールミルク(100%)、ローファットミルク(1%と2%がある)、ノン・ファットミルク、スキムミルク、ハーフ&ハーフ(クリームと牛乳半々)などがあります。

植物性タンパク質が奨励される昨今ですが、牛乳のファンは今も多く、コーヒーショップによって様々ですが、ホールミルク、ノン・ファットミルク、ハーフ&ハーフを置いているところが多いです。サードウェーブ系のコーヒーショップは、牛の飼育環境、肥料(グラスフェッドやオーガニック)、ローカル産業など、共鳴するコンセプトを持つブランドを選んでいるようです。

ニューヨーク州の『ロニーブルック』は昔ながらの瓶にこだわるメーカー。マンハッタンのチェルシーマーケット内にショップがある他、オーガニック系のスーパーや、グリーンマーケットにも出店しています。

豆乳の人気が落ちている?

アメリカでは豆乳(ソイミルク)をはじめとする植物性代用ミルクが、ヘルシー志向に伴い注目を集め、種類もどんどん増えています。なかでもコーヒーショップでは暫く豆乳の時代が続きましたが、最近はアーモンドミルクやオーツミルクが主流になりつつあります。

牛乳アレルギーや植物性脂肪を好む人用に人気のあった豆乳ですが、最近はコーヒーショップから姿を消しつつあります。大手コーヒーショップではまだ扱いがありますが、サードウェーブのコーヒーショップでは殆ど扱わなくなりました。豆乳は遺伝子組み換え食品としてニューヨーカーに批判され始めたのが理由とされています。

長年飲み慣れた豆乳は、ストイックなコーヒーショップ以外では今も人気健在です。サスティナブル、オーガニック、ハイクオリティ素材を推奨する『パシフックフーズ』は、オーガニック系、ヘルシーフードショップのコアブランドで、豆乳の他に、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、アーモンド、ヘンプ、ライス、ココナッツミルクも製造しています。

アーモンドミルクが登場

豆乳の次に出てきたのが、アーモンドミルクです。豆乳のグラス一杯のカロリーが90kcalに対し、アーモンドミルクは60kcal (ちなみに低脂肪牛乳は130kcal )。ビタミンEもカルシウムもほぼ牛乳と同じとあって、アーモンドミルクが豆乳に代わる植物性代用ミルクとして話題にあがり、購入者も急増しました。

カリフィアファームズ(CALIFIA Farms)は、カリフォルニアのオーガニックなアーモンドを使った植物性代用ミルクを作っている人気ブランド。パッケージは紙製とリサイクルプラスチックの2種類があります。

Photo:紙製は注ぎ口の角度に垂れにくい工夫がされています。

Photo:プラスチック製は片手で持ちやすく、注ぎやすいシェイプが特徴です。

創業1925年のニューヨークの老舗牛乳ブランド『エルムハースト』が、2016年に牛乳から植物性代用ミルクのメーカーに心機一転生まれ変わり、パッケージも一新しました。パッケージのデザインが他社と比べてかなりシンプルな印象で、売り場ではかえって目立つ存在になっています。

他にも、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、ヘンプミルクなども製造。細身のパッケージで持ちやすく、注ぎやすいです。

オーツミルクはコーヒーとの相性が良い

しばらくアーモンドミルク時代が続くと思っていましたが、アーモンドミルクは生産時に使用する水の量が多く、地球に優しくないという声が上がり、特にコーヒー業界ではアーモンドミルクからオーツミルクに主流が変わってきました(正直、私はついて行くのが大変です!)。

少し前までは、レギュラーミルク(牛乳)、ソイミルク(豆乳)、アーモンドミルク、とミルクの選択肢が多かったのに、例えば私の家の近所のブルーボトルコーヒーでは、レギュラーミルクとオーツミルクのみ、とミルクの選択肢が減りました。オーツミルクは歴代の植物性代用ミルクの中でもコーヒーとの相性が良い(美味しい)という理由もあるようです。

オーツミルクで注目株は、スウェーデンのブランド『オートリー』が、パッケージの可愛さとともに他社より一歩前に出ている感じがします。スウェーデンのオーツ麦を100%使用し、最大の栄養価と環境への影響を最小限に抑えた製品を提供することを強くアピールしていて(スウェーデンでは他国で使用されている農薬類は一切使用禁止)、オーツミルクを使用した製品以外は作っていません。パッケージに描かれたオーガニックな印象の手描き風のタイポ文字も人気です。

ニューヨークのコーヒーの古いイメージは、ダイナーやグロッサリーショップなどの、コーヒーメーカーで大量に作る薄いコーヒー。値段も安くてリフィル(おかわり)が自由、味が薄くて、淹れ立てはまあまあ美味しいですが、時間が経ったコーヒーに当たることもありました。他に、移民の多いニューヨークには、グリーク・カフェ、イタリアン・カフェ、コロンビアン・カフェといったお国柄の味が楽しめるカフェもあり、スターバックスのような大型コーヒーショップに圧されて閉店した店も多い中、今も残っている店もあります。そういう店は流行りのミルクムーブメントなんてお構いなしですが、さて、サードウェーブ系の次のミルクは何なのか?しばらくはオーツミルクなのか?別のブームがやってくるのか?興味を持って引き続き様子を見守りたいと思います。

更に深掘り!プレミアムレポート(2019年2月28日追記)


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