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「色」で製品情報を伝える——日本とはまるで違う、ハンガリーのパッケージデザイン事情

ハンガリーでは日常的に消費される食品のパッケージに、ハンガリー人なら教えられなくても自然と認識している製品情報が入っています。例えばミネラルウォーターのボトル。

Photo:サイズも形もいろいろなミネラルウォーター

分かりますか?そう、このキャップの色が特徴です。青が炭酸入り、ピンクが炭酸なし、緑が微炭酸のミネラルウォーターを示しています。

ハンガリーは温泉が沸くことでも有名な国、豊富な地下水脈に恵まれていて、飲料水としてのミネラルウォーターの製造会社も全国に点在しています。各メーカーやブランドごとにボトルの形状はそれぞれ違いますが、キャップの色で中身を示すルールは共有されています。

Photo:基本色は共通ですがパッケージングは各社それぞれ

キャップの色で中身を見分ける——ハンガリーに住む人なら誰もが知っているので、ミネラルウォーターを買う時にはラベルをいちいち確認することはまずありません。見慣れないメーカーのものでも、さっと色だけ認識して購入することができます。

Photo:このブランドはラベルにハンガリー語で炭酸あり、なし、微炭酸の表記がありますが・・・

Photo:こちらのブランドはラベル前面に表記はありません、それでも一目瞭然!

この色の法則は、ハンガリーを訪れる旅行者も知っておくととても便利です。海外旅行中は現地でミネラルウォーターを購入する機会が多いと思いますが、難しいハンガリー語の単語を覚えるより、色の違いを覚える方が簡単!店の人にいちいち確認する必要がなくなります。

Photo:ツーリストが多い地区にあるスーパーマーケットで見かけた、ミネラルウォーターの見分け方

色分けされている製品は他にもあります。たとえば、牛乳もそのひとつ。脂肪分が2.8%の牛乳は赤、1.5%の牛乳は青がパッケージに使用されています。

Photo:牛乳が並ぶスーパーマーケットの冷蔵ショーケース。赤と青が目立ちます

Photo:各ブランドが色違いのパッケージで脂肪分を表しています

近年では牛乳の種類が増えていて、脂肪分3.5%の牛乳や、アレルギーに対応したラクトース(乳糖)フリーの牛乳も各社販売しています。これらには規定の色は決まっておらず、多くのブランドが黒や黄色をパッケージに使用しています。

赤と青以外の色が使用された牛乳パックを見た人は「いつもと違う色だけど、これはどんな牛乳だろう?」と思うでしょう。黒や黄色は牛乳のイメージにはない大胆な色遣いかもしれませんが、消費者に中身を間違えないよう確認を促す効果も期待できるのです。

Photo:ラクトースフリーの牛乳が並ぶスーパーマーケットの商品棚

ハンガリーで人気の発酵乳製品の「ケフィア」は、各メーカー緑のパッケージを使用しています。また、ヨーグルト(無糖)は水色を基調にしたパッケージを使用するメーカーが多いのですが、こちらはカラフルなパッケージのフルーツ味が圧倒的に人気で、種類も豊富にあるのであまり目立ちません。

Photo:各メーカーのケフィアが並ぶ緑色の一角

そしてハンガリー料理に欠かせないのがサワークリーム。煮込み料理に、サラダのドレッシングに、お菓子作りにと多用されます。こちらも脂肪分20%は赤、15%は青で色分けされています。

Photo:サワークリーム、ハンガリー国旗の色(赤、白、緑)を使ったパッケージ、よく見ると表記に色の違いが

色によって種類を分けるというのはとても初歩的な手法です。それがメーカーの垣根を超えて各社で共有されることによって、製品情報を瞬時に伝える効果を拡大しています。消費者にとってやさしいパッケージングの代表的な例と言えるでしょう。

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