みなさま、こんにちは。ハンガリー在中のパケトラライターの鈴木文恵です。
今回はプラスチックごみに関する取り組みについて述べていきたいと思います。
プラスチックごみに対するEU諸国の動き
プラスチックごみの削減、これは世界が直面している大きな課題のひとつです。EUでは2019年にシングルユース(一回の使用で廃棄)するプラスチック製品の中から、特定の品目において2021年までに流通を禁止する法案が採択され、予定通り2021年7月から施行されています。
これに準じてE U加盟国であるハンガリーでも、芯にプラスチックを使用した綿棒、食器類(皿、カトラリー、ストロー、マドラー)、ポリスチレン製の容器、カップは原則禁止になりました。
7月以前に購入した在庫は使用可能で、品目によっては代替品への移行期間が2023年まで設けてあるので、これから徐々に変化が見られることでしょう。
マクドナルドの取り組み
ドリンクにストローはつかず、吸い口のあるカップのフタは紙製になっています。
セルフオーダー用のタッチパネル、カトラリーがプラスチックから木製になることを知らせる画像が表示されていました。
コカ・コーラ社の取り組み
ペットボトルのリサイクル、リユースは各飲料メーカーがそれぞれの国のニーズに合わせて、さまざまな挑戦をしている分野です。
ヨーロッパではコカ・コーラ社がデンマークのスタートアップ企業「Paboco」と協力して100%リサイクル可能なペーパーボトルを開発しています。現在完成しているプロトタイプはすでに消費者テストの段階に入り、今年の6月にヨーロッパ市場において最初の試用テストがハンガリーで行われました。
参考:https://www.bbc.com/japanese/56051717
参考:https://shigurechan.com/nature/coca-cola-europe-announces-paper-bottles
今回の試作品調査の目的は主に紙のパッケージがどのように機能するのか、消費者はどのように反応するかを調べることにありました。ボトルに入るのはプランドベース(植物性の食材からなる食品全般)の飲料ブランド「AdeZ」です。
プラントベース飲料を購入する人の多くはサスティナビリティにも高い関心を持ち、ペーパーボトルのような新しいエコフレンドリーな製品に敏感です。
ペーパーボトルの試用テストに参加したのはオンラインで展開するスーパーマーケット「kifli.hu」。
コロナ禍で制限された日常生活の中で、健康的な食生活に関心を持つ世代を中心にブダペストで急成長を遂げたネットショップです。
6月15日から2週間の期間限定で、通常販売されているAdeZ(800ml)を購入した客に、プロトタイプのペーパーボトル(250ml)に入った「AdeZ Oat & Nuts」が無料で配布されました。
購買者はアンケート調査に協力し、今後の開発のための研究材料となる使用済みボトルを返還しました。ボトルの回収は宅配配達員に渡すだけと負担が少なく、デリバリーサービスの利点が生かされています。
終わりに
ペーパーボトルの開発は、コカ・コーラ社が「廃棄物のない世界」を目指すグローバル戦略の一端です。
同社は2030年までに市場に出すパッケージ全てを収集し、リサイクルすることを目標に取り組んでいます。ブダペスト郊外、ドゥナハラスティにあるヨーロッパ最大規模のボトラー会社「コカ・コーラHBCハンガリー」では、ペーパーボトルの材料となる紙資源の循環に貢献するために、今年の秋にはボトリング工場近郊の土地にWWF(世界自然保護基金)と共同で植林し森を育てる予定です。
以上、EUのエコへの取り組みでした。
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