ワールドカップ2026は、アメリカ、カナダ、メキシコの北米3ヵ国・16都市で開催され、史上最多となる48ヵ国が参加する、過去最大の大会となっています。その中でもニューヨーク・ニュージャージーは、決勝戦を含め8試合が開催される注目のエリアです。
大会開催中のニューヨークでは、商業施設やレストラン、観光地など、さまざまな場所でワールドカップ特別イベントが行われ、街中にはユニフォーム姿のサッカーファンが目立つようになっています。大小さまざまなウォッチパーティや、ワールドカップ関連グッズのポップアップストア、ワールドカップの歴史を紹介するミュージアムが登場するなど、街全体がお祭りムードとなっており、FIFAやスポンサー企業、そしてニューヨークシティにとっても絶好のPRの機会となっています。世界中からファンが集まり、ワールドカップで盛り上がるニューヨークの様子をご紹介します。
ワールドカップ2026 ニューヨーク
ワールドカップ開幕後のニューヨークでは、地下鉄やタイムズスクエア、五番街など市内各地で各国チームのユニフォーム姿のサッカーファンを多く見かけるようになっています。世界各国から訪れたファンたちが街を行き交い、ニューヨークがいつも以上に国際色の強い街になっています。そんな世界各地から訪れたファンたちを歓迎するように、ハドソンヤードやワールドトレードセンターなど主要商業施設では、世界各国の国旗が飾られ、華やかな雰囲気になっています。

今回のワールドカップは、参加国数48チーム、試合数104試合、開催都市数16都市と、史上最大規模の大会となっています。そんな中、チケット価格の高騰が大きな話題となりました。FIFAによるチケット販売の独占、価格変動制の導入、高額な手数料を伴う転売市場の存在などの影響もあり、ワールドカップ史上、最も高額なチケット価格となっている大会です。中でもニューヨーク・ニュージャージーでの試合は特に高額で、決勝戦は最安席でも1万ドル超となっています。
高額なのは観戦チケットだけではありません。会場までの交通費も大幅に上昇し、電車が100ドル近くかかる驚きの料金となっています。
ニューヨークのワールドカップの試合会場となっているのは、ニュージャージー州にある8万人収容可能なニューヨーク・ニュージャージー・スタジアムです。通常はミッドタウンから車で30分ほどの距離ですが、試合当日は、スタジアムは一般車両禁止となり、数万人規模の観客が移動するため、特別にスタジアム行き専用の電車とシャトルバスが運行されています。試合前後の時間帯には、円滑な運行のため、周辺道路の一般車両通行止めの交通規制や、駅構内への入場制限も行われます。試合のある日は、観戦客だけでなく、地元の人にも影響を与える大イベントとなっています。

こうした盛り上がりは試合会場以外にも広がっています。五番街の「adidas」フラッグシップ店やタイムズスクエアの「Pelé Soccer」などニューヨークを代表するサッカーショップでは、世界各国チームのユニフォームや関連グッズが大々的に販売されています。店内の大型スクリーンでは、ワールドカップの試合中継も行われ、買い物と観戦を楽しむお客さんで、いつも以上の賑わいを見せています。
さらに、市内各地でのウォッチパーティ、ワールドカップの歴史を紹介するミュージアム、FIFAの公式ワールドカップグッズストアなど、ワールドカップに関連した期間限定のポップアップがたくさん登場しています。ワールドカップ開催をきっかけに、ブランドや商業施設、文化施設まで街全体を巻き込む巨大イベントの大きな影響力を感じさせられます。

ワールドカップファンイベント
ワールドカップ期間中のニューヨークでは、レストランやバー、商業施設、図書館、ミュージアムなど、さまざまな場所でワールドカップのウォッチパーティが行われています。中でも特別感があるのが、FIFA公式のワールドカップファンイベントです。
巨大スクリーンでただ試合の観戦を楽しむだけでなく、著名アーティストによるコンサートなどのエンターテイメントイベントも行われ、サッカーファンだけでなく、ファミリー層を含め、幅広い世代が楽しめる会場となっています。
テニスの全米オープンの会場として知られるUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターが、クイーンズの公式ウォッチパーティの会場となっています。スタジアム内に巨大なスクリーンが設置され、観客席から迫力ある試合観戦を楽しむことができます。また会場には、無料で記念グッズを配布する企業のプロモーションブースや、FIFA公式ワールドカップストアも登場し、多くの人々でにぎわっています。

一方、ブルックリンの会場となっているのは、ブルックリンブリッジの下にあるブルックリンブリッジパークです。周囲の水辺や橋、マンハッタンの高層ビル群に囲まれたニューヨークらしい絶景の中、屋外での試合観戦が楽しめます。
会場には、ビアガーデンやフードトラックなどがある他、「adidas」によるポップアップストアも登場し、グッズ販売も行われていました。インターナショナルなサッカーファンたちが集まり、サッカー観戦やイベントを楽しむことができる熱気あふれる会場になっています。

ワールドカップ ポップアップストア
FIFAワールドカップ公式ストアは、駅やショッピングモールなどのアクセスのいい立地に出店しています。ワールドカップ開催を記念した限定商品中心の品揃えです。壁一面にずらりと並ぶ限定デザインのキャップが目を引きます。
公式ワールドカップポスターに加え、大会会場となる16都市それぞれのデザインポスターも登場しています。ニューヨーク・ニュージャージーのポスターは、自由の女神のトーチがモチーフになっています。

FIFA大会のベーシックデザインのTシャツに加え、ニューヨークのショップでは、自由の女神のデザインTシャツや、NY/NJのロゴのポスターデザインが描かれたニューヨーク・ニュージャージーエリア限定のTシャツも販売されています。

今回のワールドカップは、アメリカ、メキシコ、カナダの3ヵ国共催で、それぞれの開催国に公式マスコットが設定されています。
アメリカは、ハクトウワシの「Clutch™ the Bald Eagle」、メキシコは、ジャガーの「Zayu™ the Jaguar」、カナダは、ムースの「Maple™ the Moose」です。店内には、3ヵ国のマスコットとワールドカップ優勝チームに授与される金色のトロフィーを描いたポスターなどを背景に、記念撮影ができる写真スポットが用意されています。

アメリカ大会のマスコットとして人気のワシのキャラクターがデザインされたTシャツも子供向けグッズとして人気があります。

大会ロゴ入りの帽子やポーチ、ウォーターボトルなど、幅広い商品が販売されています。ニューヨーク・ニュージャージーエリア限定デザインのウォーターボトルも販売されています。

旅行者向けのお土産として、気軽に記念に購入できるキーホルダーも人気です。3ヵ国のマスコットキャラクターや、試合で使用されるボールと同デザインのサッカーボールのキーホルダーなどが販売されています。

FIFAワールドカップストアだけでなく、FIFA公式パートナーの「adidas」もワールドカップに合わせた特別な売り場を展開しています。Nordstromのニューヨークフラッグシップ店には、期間限定ポップアップストア「adidas World Cup at The Corner」がオープンし、各国チームのユニフォームやスニーカー、キャップなどの関連グッズが並んでいます。店内でひときわ目を引くのが、大きなゴールドのサッカーボールです。ワールドカップをテーマにした特別な空間になっています。

FIFAミュージアム
ロックフェラーセンターでは、ワールドカップ開催期間限定のFIFAミュージアムがオープンし、ワールドカップの歴史と歴代チャンピオンをテーマとした「Legacies of Champions」の展示が行われています。
ワールドカップは、1930年から始まり、途中、1942年と1946年の大会は中止になりましたが、2026年で24回目を迎える世界最大のサッカーイベントです。会場には、歴代の大会のポスターやグッズ、著名選手のユニフォームなど、それぞれの大会にまつわる歴史的なメモラビリアが数多く展示されています。

ギャラリーには、ワールドカップ2026出場国、48ヵ国のユニフォームが一堂に展示されたセクションもあります。色鮮やかな各国ユニフォームがずらりと並ぶ様子は圧巻で、応援するチームのユニフォームの前で写真撮影をする人々の姿も見られました。また、ワールドカップの貴重な金色の優勝トロフィーも展示されています。トロフィーと一緒に写真を撮るための大行列もできていました。
ワールドカップの象徴でもあるトロフィーをはじめ、その長い歴史を伝える展示や伝説的な選手たちの功績などを通じて、ワールドカップの魅力を体感できる空間となっており、FIFAのブランド価値を発信する絶好の場となっています。

開催都市ニューヨークシティのキャンペーン
ワールドカップを盛り上げているのは、FIFAやスポンサー企業だけではありません。開催都市であるニューヨークも、独自の路線でキャンペーンを行い、世界の注目を集めるワールドカップを盛り上げ、ファンたちに街の魅力を発信する工夫をしています。
その一つ目の取り組みが「NYC Neighborhood Passport」です。市内各地の図書館や文化施設、ミュージアムなどで、アーティストがデザインしたスタンプを集めることができます。ミッドタウンだけで過ごすことが多い旅行者に、その他のエリアにも足を伸ばすきっかけとなり、ニューヨークの多様な地域のローカルな魅力を発見してもらうための企画です。パスポートの冊子は、ニューヨークシティとサッカーをモチーフにしたデザインの表紙で、中にはニューヨークの5つの地域ごと(マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランド)のページがあります。
スタンプページには、それぞれのエリアを象徴するシーンを切り取った写真が載っています。さらに、ニューヨークのローカルスポットの一覧やマップ、ワールドカップ出場国の国旗付き一覧ページもあり、思い出にもなる面白いアイテムです。遊び心のあるパスポートながら、本物さながらに作られており、こだわりが感じられる一冊になっています。

ワールドカップ2026にちなみ、26ドルで食事とドリンクのセットメニューが楽しめる「Five Borough Winners Special」というイベントも開催されています。街全体でサッカーファンへの特別メニューを提供するという企画で、市内各地のレストランやバーのプロモーションになり、地域ビジネスの活性化を目的としています。
また、ニューヨーク市内の5地区をテーマにした限定デザインカップのプレゼントキャンペーンも行っています。レストランやバー、アイスクリームショップやカフェなどが参加しており、対象商品の購入など各店舗の条件を満たすと限定カップをもらうことができます。

カップは、ニューヨークのデザインによる、ワールドカップ開催を記念して登場した特別なアイテムで、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドの5つのバージョンがあります。
ニューヨークの街並と、ニューヨークの「ビッグアップル」にちなんだリンゴ型のサッカーボールをモチーフにした楽しいデザインで、地域ごとに色違いのデザインになっています。それぞれの地域の店舗でその地域のカップを配布しています。以下はマンハッタンとブルックリンの限定カップです。

ニューヨークの限定グッズは、FIFA公式からもニューヨークのポスターデザインのジャージが販売されていますが、その価格は375ドルと高額で、現在はオンラインのみの販売で、FIFAストアの店舗では見かけません。
そんな中、ニューヨークでは、ブルックリンのファミリービジネスのアパレルメーカーと協力し、ニューヨークデザインの限定ジャージを制作し、50ドルで販売しました。地元企業とのコラボで生まれたジャージは、手頃な価格のニューヨーク限定アイテムということで話題となり、販売開始後すぐ完売になりました。現在は再販も予定されています。ニューヨークでは、ワールドカップという大イベントの機会を地域活性につなげるため、さまざまな取り組みを行っています。
街全体がアートギャラリーに
ニューヨークとニュージャージーでは、ワールドカップ期間中に「The Art of The Game」というパブリックアートイベントを行っています。
23人のローカルアーティストたちによるサッカーボールをモチーフにしたアート作品を、試合会場などのサッカー関連スポットだけでなく、主要交通ハブや商業施設など街中に飾り、さまざまな場所でサッカーのアート作品を楽しめるようになっています。
展示されている作品は、それぞれ全く異なるデザインで、それぞれのアーティストの個性あふれる作品となっています。大きなサッカーボールのアートは、街中を歩いていても目を引き、旅行者たちが写真撮影を楽しんでいる姿が見られます。試合観戦にとどまらず、サッカーをテーマに街全体で楽しめる多彩なイベントが開催され、ニューヨークならではの盛り上がりを体験できます。

ニューヨークでは、世界最大のスポーツイベントであるワールドカップがスタートし、FIFAやスポンサー企業に加え、開催都市であるニューヨークシティも加わり、ファンイベントやポップアップストア、ミュージアムまで登場し、お祭りムードが高まっています。ニューヨークシティは、市独自の限定グッズを用意し、市内全域のローカルビジネスを巻き込んだキャンペーンやイベントを開催するなど、ワールドカップを街のプロモーションの機会として積極的に活用しています。
ワールドカップ期間中の旅行者は、ミッドタウン周辺を中心に行動することが多くなりがちですが、市はこうした企画を通じて、より多くの人々に市内各地を訪れてもらう機会を提供するとともに、イベントによる賑わいや経済効果の恩恵をより広くもたらそうとしています。世界的なスポーツイベントは、世界の注目を集める絶好の機会です。その中で、開催都市である地方自治体がどのように独自の価値や魅力を発信していくかが注目ポイントです。
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