アメリカでは、近年、食品や日用品を中心に、親しみやすい動物をモチーフにしたロゴやパッケージデザインをよく見かけるようになっています。特に、お菓子、グラノーラ、ノンアルコール飲料、パーソナルケア、日用品など、日常的に繰り返し購入される商品カテゴリーで増えています。これらの分野では、新ブランドが続々と登場し、競争が活発化していることから、商品の魅力やブランドの世界観を伝えるパッケージデザインが重要になってきています。
シンボルとして動物のモチーフを用い、親しみやすいキャラクターを前面に押し出すことで、売り場でも目を引きやすく、印象に残るパッケージデザインを採用するブランドも増えています。
そこで今回は、最近アメリカで見かける動物が印象的なブランドや商品を紹介します。
お菓子
動物をモチーフにした商品やパッケージデザインが特に多く見られるのが、スナックやクッキー、キャンディなどのお菓子の分野です。印象に残る動物のキャラクターをパッケージに用いることで、売り場での存在感を高めるとともに、新規顧客には思わず手に取りたくなるきっかけを生み、既存顧客にとっては商品を見つけやすくしています。特に子供もターゲットとするお菓子では、パッケージデザインだけでなく、動物をかたどった商品デザインにするなど、親しみを持ってもらうための工夫が凝らされているものもあります。

存在感のあるフクロウのキャラクターが印象的なパッケージは、「Wise Foods」のポテトチップスです。「Wise Foods」は、1921年創業、100年以上の歴史を持つペンシルベニア州を拠点とする食品会社で、2012年以降はメキシコの大手食品・飲料会社「Arca Continental」傘下のブランドとなっています。
ブランド名の「Wise」には、賢いという意味があり、知恵や賢さの象徴とされるフクロウのキャラクター「Peppy the Owl」が、ブランドのシンボルとなっています。ロゴにも、フクロウの印象的な目が用いられており、ブランドイメージを表現するデザインになっています。
「Peppy the Owl」は1950年代に登場した歴史あるマスコットで、ノスタルジーも感じさせるキャラクターです。時代ごとにデザインを変えながら親しまれてきましたが、2025年には、1980年以来となるパッケージ刷新が行われ、フクロウのキャラクターをより前面に押し出した新デザインへとリニューアルされました。
現在のキャラクターは、大きな目を強調したインパクトのあるデザインが特徴的です。アメリカらしいポップさの中に、少し日本のアニメキャラクターを思わせるような愛嬌のある大きな目や表情も取り入れられており、売り場でも目を引きやすく、親しみを感じさせる存在になっています。

「Goldfish」は、日本でおなじみの「おっとっと」のような、中が空洞になっている魚の形をしたチェダーチーズ味のクラッカーです。もともとはスイスを起源とする商品で、1962年から「The Campbell’s Company」傘下の「Pepperidge Farm」によりアメリカで販売され、定番のスナック菓子となっています。
「Goldfish」の大きな特徴は、商品の形そのものがブランドのアイコンになっていることです。単にパッケージにキャラクターを描くのではなく、小さな魚型のクラッカーという商品自体がブランドの象徴となっています。最近では、カラフルな色を取り入れた商品や、「Pokémon」、「Toy Story」、「Harry Potter」 など人気ブランドとのコラボ商品も登場し、形状や色、パッケージデザインが多様化しています。クラッカーの中には、笑顔が描かれたスマイルの魚や、コラボのキャラクターが入っているものもあり、食べる時も楽しめるようになっています。
ロゴデザインも時代とともに進化しており、2024年に導入された現在のデザインでは、サングラスをかけた魚のキャラクターと魚の絵文字を組み合わせた、遊び心のあるもので、親しみやすさや楽しさを前面に押し出したものとなっています。

こちらは、ウサギのロゴで知られる「Annie’s Homegrown」の可愛らしいウサギ型クッキーの商品です。「Annie’s Homegrown」 は、1989年創業のオーガニック食品ブランドで、現在は大手食品会社 「General Mills」 傘下のブランドとなっています。自然派のお菓子やマカロニ&チーズなどで知られ、ファミリー向けの食品ブランドとして親しまれています。
ブランドのシンボルとなっているのが、創業者が飼っていたウサギをモデルにした「Bernie」です。ロゴには、優しい表情のウサギが描かれ、「Bunny of Approval」というフレーズも添えられ、素材や品質へのこだわりを象徴する存在となっています。「Bernie」は単なるかわいいマスコットではなく、「Annie’s Homegrown」が大切にするブランド価値そのものを表現するキャラクターです。オーガニックやナチュラル志向、子供や家族向けの優しい世界観を伝える役割を担っており、大手ブランドでありながらも、どこか素朴でクラフト感のある、小規模ブランドのような温かみを感じさせます。
「Neapolitan Bunny Grahams」は、「Annie’s Homegrown」の優しくナチュラルな世界観を形にしたような商品です。ウサギの形をした可愛らしいクッキーに、ストロベリー、バニラ、チョコレートの優しい味と色を組み合わせることで、温かみのある雰囲気の商品になっています。商品そのものにも動物のモチーフが取り入れられることで、ブランドへの愛着や親近感を自然に感じられるデザインになっています。

グラノーラ・健康食品
リピート購入が多い朝食のシリアルやグラノーラ、健康食品の分野は、コーンフレークでおなじみの「Kellogg's」の「Tony the Tiger」を代表に、動物をモチーフにした親しみやすいパッケージが多くなっています。
可愛いアニメ風の大きなパフィンが描かれているのは、「Puffins Original Cereal」です。「Puffins」は、1971年創業のカリフォルニア州発のベーカリーブランド、「Barbara's Bakery」により、1995年から販売されています。
パッケージには、ブランドマスコットの「The Barbara’s Puffin」が大きく描かれています。丸みのある愛嬌たっぷりの表情でとても親しみやすい印象です。コーンとオーツのホールグレインを使用し、non-GMO認証、高ファイバー、低糖など、健康面にも配慮された商品となっています。
素朴なクマのモチーフが印象的なパッケージの商品は、クマがブランド名にもなっている「Bear Naked」のグラノーラです。「Bear Naked」は、2002年にカリフォルニア州で創業したグラノーラブランドで、2007年からは「Kellogg's」の傘下となっています。ブランドでは、自然素材を生かしたナチュラルな世界観を表現するため、自然の中で生きる力強さと親しみやすさを持つクマのキャラクターを採用しています。2015年のリデザインにより、クマの「Kevin」がパッケージに描かれるようになり、店頭でも目につきやすくなっています。

「Max Brenner」の創業者、Oded Brennerにより2022年に立ち上げられた「Blue Stripes」は、大胆なゴリラのビジュアルのパッケージで、新ブランドとして店頭で目を引く存在になっています。「Blue Stripes」は、通常は捨てられてしまう部分も含め、カカオの実を余すことなく全て使用するというアップサイクルがコンセプトのブランドです。
グラノーラ、トレイルミックス、チョコレートバー、グミ、ノンアルコール飲料など、近年プレミアム化が進んでいるカテゴリーで商品を展開しています。そんな個性的で自然を無駄にしないサステナブルなブランドの世界観を表現するのに、カカオ同様、熱帯雨林に生息するゴリラがモチーフとして使われています。カカオというとチョコレートが定番ですが、スーパーフルーツとも呼ばれる白い果肉部分のカカオパルプを使用して、グミや飲料など、今まであまり見られなかった珍しい商品も手掛けています。

ノンアルコール飲料
コーヒーや紅茶、スパークリングウォーターやソーダ、代替ミルクなどノンアルコール飲料もプレミアム商品が増え、おしゃれなパッケージデザインも多く、動物をモチーフとしたものもよく見られる分野です。
こちらは、コロラド州を拠点とするハーブティーブランド、「Celestial Seasonings」の人気ハーブティー「Sleepytime」です。「Sleepytime」は、1972年から販売されているベストセラー商品で、クマのキャラクター「Sleepytime Bear」は、ブランドの象徴的存在となっています。パッケージには、ナイトキャップをかぶり、リラックスしたクマが心地良さそうに眠っている絵本のようなイラストが描かれています。この温かく穏やかで安心して眠るクマによって、ハーブティーのリラックス効果を表現しています。

「Mooala」は、2012年に創業したテキサス州発の飲料ブランドで、コアラが目印の植物性オーガニックミルクのブランドです。アーモンド、バニラ、バナナ、オーツなどさまざまな植物性オーガニックミルクを手掛けており、植物由来の優しい味わいのブランドイメージが、穏やかで親しみやすいコアラのキャラクターで表現されています。コアラには、ミルクであることを強調するように牛のような模様が描かれています。
植物性オーガニックミルクのパッケージデザインというと、シンプルなミニマムデザインが定番ですが、「Mooala」のように、可愛いコアラのロゴが目をひくデザインの商品は、競合の多い代替ミルク市場の中で目に留まりやすいブランドとなっています。

「Polar Beverages」は、1882年にマサチューセッツ州で創業した老舗飲料ブランドで、スパークリングウォーターやソーダなどを手掛けています。ブランドの象徴となっているのが、1902年以来使われている、ホッキョクグマのマスコット「Orson the Bear」です。
ホッキョクグマは、清涼感のある冷たい炭酸水のイメージにぴったりの存在で、ロゴやパッケージのイラストに用いることで、ブランドイメージを印象づけています。長い歴史を持つブランドでありながら、デザインは時代に合わせて変化させており、どこかレトロでありながらも、新しい雰囲気を醸し出す定番商品に加え、おしゃれなポストカードのようなデザインが特徴の限定商品も展開し、パッケージデザインにこだわりを持ったブランドです。

パーソナルケア
夏が近づいてきて、日焼け止め製品が売れるシーズンになってきましたが、最近よく見かけるのが動物をブランドのアイコンにした日焼け止めブランドです。
その一つが、青いトカゲをシンボルにした「Blue Lizard」です。「Blue Lizard」は、1995年に創業した日焼け止めブランドで、色を変えて自分を守るオーストラリアのカメレオンにちなんで名付けられました。敏感肌でも使える皮膚科医推奨のノンケミカルのミネラル系の日焼け止めブランドとして知られ、海洋環境への配慮も打ち出しています。(参考:Blue Lizard公式サイト About Us)

このブランドは、パッケージも特徴的で、ユニークな工夫がされています。キャップは、もともとは白い半透明なのですが、日光に当たると紫外線に反応してキャップの色が青く変化します。
目に見えない紫外線の存在を、色の変化によって分かりやすく見せてくれる、とても面白い仕掛けのパッケージです。紫外線が視覚的にわかることにより、日焼け止めを塗らなければという意識を起こさせると同時に、思わず人に伝えたくなってしまう驚きの体験も生み出しています。紫外線を感知する機能的なパッケージであると同時に、驚きや体験が口コミにつながるPR的役割も備えたパッケージです。

もう一つは、ゴリラの「Sonny the Gorilla」をブランドのアイコンにした「Sun Bum」の日焼け止めです。2010年創業、カリフォルニアとフロリダを拠点とする日焼け止めブランドで、アメリカのビーチカルチャーを感じさせる、親しみやすい世界観が特徴の日焼け止めブランドです。2019年からは、「SC Johnson」の傘下となっています。
ポップなデザインや香りにこだわり、日焼け対策のために仕方なく塗るものではなく、夏の楽しいレジャー体験の一部として親しまれる日焼け止めを目指しているブランドです。そのため、ビーチを思わせるココナッツ風の香りを漂わせ、パッケージには、サングラスをかけたゴリラというカジュアルなストリートアート風のデザインとなっており、店頭でも存在感があります。
また、「Sun Bum」は、木目調のユニークなデザインのパッケージを使用しているのも特徴的です。この木目のデザインは、自然の中にいるようなアウトドアの世界観を連想させ、肌や環境に優しいナチュラルなブランドイメージにもつながります。

この木目調デザインは、SPF値が高い商品は薄茶色で、SPF値が低い商品は濃茶色のデザインになっています。持つときに滑りにくいようボトルの両横に凹凸を付けるなどの工夫もされています。

1つ目に紹介した「Blue Lizard」が、皮膚科医推奨ブランドとして医療的な機能性や安心感を重視したブランドのイメージであるのとは対照的に、「Sun Bum」は、海やビーチで太陽を楽しむライフスタイルの一部として、楽しく使ってもらうことを大切にしたブランドです。世界観は大きく異なりますが、どちらのブランドも人気があります。
日用品
アメリカで広く親しまれている柔軟剤「Snuggle」は、もともとは、「Unilever」、現在は、「Henkel North American Consumer Goods」が展開する商品です。その象徴となっているのが、オリジナルのクマのキャラクター「Snuggle Bear」です。キャラクターデザインは、セサミストリートのクッキーモンスターやスナッフィーをデザインしたことでも知られる人形師、Kermit Loveによるもので、1986年の登場以来、ブランドの顔として長年愛され続けています。
「Snuggle Bear」はただのイメージキャラクターではなく、ブランドの世界観そのものを伝える大切な存在です。柔らかいクマの幸せそうな表情によって、柔軟剤の商品がもたらすふわふわの柔らかさや抱きしめたくなる心地よさなどの製品の使用感をイメージしやすいデザインになっています。2025年にはリブランディングが実施され、パッケージデザインも刷新されました。モダンにアップデートされる一方で、「Snuggle Bear」の存在感はさらに増しています。このクマのキャラクターは、かわいいだけではなく、柔らかさや安心感、心地よい幸せな時間までも連想させ、ブランドに欠かせない大切な存在となっています。

3匹のカラフルなヤギが目を引く、クラフト感あふれる「San Francisco Soap Company」の商品は、保湿力が高く肌に優しいことで知られるヤギミルクを使用した石鹸です。ナチュラル系ブランドらしい温かみのあるデザインで、思わず手に取ってみたくなる商品です。
パッケージには、ヤギ型のくり抜き加工がされていて、商品の特徴であるヤギミルクの石鹸であることが一瞬で伝わるデザインになっています。また、少量生産のハンドメイド商品ならではのクラフト感も、このパッケージの特徴です。大量生産品にはない温かみや丁寧なモノづくりの姿勢が伝わってくるデザインの商品です。
パッケージの開いている穴の部分からはソープそのものの素材がよく見え、質感や色味を確認できます。さらに、開封前からソープの香りを感じられる設計になっており、見た目だけでなく、香りによっても商品の魅力を伝えることができる魅力的なパッケージデザインになっています。
最近の流行である、高級すぎないプレミアム感があるもの、毎日使えるちょっといいものとしてぴったりの商品で、ソープ自体の機能だけでなく、購入体験も楽しいものにしてくれるパッケージデザインです。

愛着のわく動物をマスコットとするブランド戦略の歴史は長いですが、長年動物をシンボルにして来た歴史あるブランドは、近年、新たな顧客層へのリーチを目的に、動物キャラクターをより目立たせる形でリデザインを行い、古さを感じさせない新鮮な動物をモチーフとしたパッケージの商品が増えています。
その背景には、動物をブランドイメージに積極的に用いる新興ブランドの登場があり、店頭やSNSなどで目に留まりやすく存在感のある動物キャラクターを用いたロゴやパッケージデザインがトレンドの一つとなっていることが挙げられます。新ブランドに加え、老舗ブランドのリデザインにより、今後も個性的な動物キャラクターを活用した商品を目にする機会は増えていくと思います。
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