ザッハトルテの名店「ザッハー・エック・ウィーン」のテイクアウト用パッケージから見る、品格と気軽さの共存
今回はハンガリーの隣国、オーストリアの首都ウィーンからの話題です。
18世紀初頭からハンガリーはハプスブルグ家の統治下にあり、19世紀に成立したオーストリア=ハンガリー帝国は第一次世界大戦まで続きました。ウィーンはブダペストから西に約250km、列車に乗れば約2時間40分で到着する美しい街、歴史的にも深いつながりのある都市です。
ウィーンといえばカフェ文化、100年以上続く老舗のカフェやモダンなコンフェクショナリーが街中に点在していて、その店内のショーケースには色とりどり、種類豊富なスイーツが上品に並んでいます。甘いものが好きな人にとっては天国のような街、ウィーンのカフェめぐりは旅行の大きな楽しみのひとつでしょう。それでも限られた時間で何軒ものカフェに行くのは意外と大変、そんな時はテイクアウトして宿泊先で味わうのもオススメです。
ウィーンの代名詞と言えるケーキが「ザッハートルテ」、チョコレートでコーティングされたチョコレート味のバターケーキで、間に挟まれたアプリコットジャムがアクセントになっています。
旧市街の中心、オペラ座の裏に立つホテル・ザッハー・ウィーンのカフェでは、本場のザッハートルテを味わいながら優雅な時間を楽しめますが、同じ建物の角にあるもう一軒のカフェ「SACHER ECK WIEN(ザッハー・エック・ウィーン)」では、ザッハートルテをテイクアウトすることができます。
ザッハー・エック・ウィーンとその隣にあるショップの入り口はケルントナー通りに面してあります。席を待つ人で列ができていることがありますが、ケーキを購入するだけなら並ぶ必要はありません。ショーケースのあるバーカウンターまで行ってウェイターに直接注文しましょう。
ここではザッハートルテを一切れからテイクアウトできます。ケーキを一切れだけ買う、通常はちょっとためらってしまいそうですが、ここにはそのために用意されたパッケージがあるのです。
一切れサイズのパッケージは切り分けられたケーキと同じ三角形で、19世紀初めにオーストリアで流行したビーダーマイヤー様式を反映させたデザインです。小さな箱ですが機能性にも優れていて、箱の横に見えるのは木製のフォーク、このフォークが箱の蓋の留め金となっています。
木のフォークを取り外すと箱は置いたまま簡単に開くことができます。チョコレート色を基調としたパッケージはクラシックなイメージ、箱を開くと内側はゴールドの張り紙がゴージャスな印象を与え、その上に乗るダークブラウンでマットな表面のザッハートルテが映えて見えます。
そして皿などを用意できなくても、開いた箱のまま木のフォークで食べることができる、 老舗店の品格を保ちながら気軽なテイクアウトに対応した箱なのです。
ザッハートルテは常温で保存ができ日持ちのするケーキですが、切り分けられたものはその日のうちに食べることをすすめられました。もし、すぐに食べられないけど、やっぱりちょっと味見をしてみたいという人は、隣にあるショップで一口サイズのザッハートルテを購入することも出来ます。
一口サイズのザッハートルテは2個入り、チョコレートでコーティングされている分、切り分けたものより日持ちがよく1週間は常温で大丈夫だそうです。小さなケーキ箱に2個きっちり詰まっているので、持ち歩いてもケーキが崩れることはなさそう。
実際、私もブダペストまでスーツケースに入れて持ち帰りましたが、ケーキにダメージはほとんどありませんでした。洗練されたパッケージに入ったまま、本場の味を気軽に持ち帰ることができ、ちょっとしたおみやげにも最適です。
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