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第四のチョコレート「ルビーチョコ」は、2020年のバレンタイン市場を賑わせるか?【連載第24回】

画像:packagecollection

こんにちはpackagecollection(以後パケコレ)です。(パケコレのプロフィールページはこちら。)

今回のテーマは、第三のチョコレート「ルビーチョコレート」!

今回はどの会社もこぞって取り入れはじめた、第三のチョコレート「ルビーチョコレート」の特集です。まずは各社のパッケージから見ていきましょう!

ネスレ「キットカット・ルビー」

Photo:ネスレ「キットカット・ルビー」

ルビーチョコレートと言えば、柔らかな「ピンク色」とカカオのキーカラーが象徴的になっており、各メーカーもこのキービジュアルを用いたパッケージを作っています。色で「あぁ、ルビーチョコレートね」と認識させるような作戦を立てているようです。

もれなくキットカットも「キーカラーでの訴求」「カカオ豆のビジュアル」「チョコレートのシズルカット」を使用したイメージで構成されています。既に商品ブランドの認知度が高いので、❝ルビーチョコレートを使用したキットカット❞というコミュニケーションが簡単に取れるからこそのパッケージだと感じます。また、「ルビー」という美しい単語を引き立てるため、パール感のある素材で訴求を行っています。

形も素材感もプレミアム感が演出できており、売り場でも目立って美しいですね。既に知っている「キットカット」であるがゆえ手に取りやすく、便利な個包装であることに好印象を持ちました。

パイン「ルビーチョコ&ベリーキャンディ」

Photo:パイン「ルビーチョコ&ベリーキャンディ」

キットカットの表現方法と類似していますが、黒い背景で締めたデザイン構成です。そして、ゴールドをさりげなく意識しています。しかし誤解を恐れず言うと、ルビーチョコレートをうまく活かせていないのでは?というのが個人的な感想です。何故なのでしょうか?

「キービジュアルの表現手法」だけ見ると、キットカットの表現方法にそう変わりがないと思うのです。しかし、こちらのパッケージでは、消費者に親近感を抱いてもらえるように「ルビーチョコ&ベリーキャンディ」の書体をあえて明朝体にしたことにより、ルビーチョコレートというプレミアム感を醸成しているブランディングに対して、少し違和感を感じられるのではないかと筆者は感じました。

こういった尖ったデザインであれば、恐らくおしゃれな書体を使っても通用したのではないかと思うので、もったいないですね。また、黒という強い色を使用することは時として「威厳」「重厚」「高級」を演出するうえで必要となってきますが、今回の「ルビーチョコレート」とはあまり相性がよくないのでは?と思いました。キーカラーにもう少しさりげない細かな「ゴールド」の装飾や、テクスチャが施されていたら・・・とても素敵だったのではないでしょうか。

ローソン「ウチカフェ プレミアムロールケーキ ルビーチョコレート」

ここで、コンビニでルビーチョコレートを使用した商品が初上陸した時のパッケージをご紹介します。

Photo:ローソン「ウチカフェ プレミアムロールケーキ ルビーチョコレート」

まだ現在のように一般消費者と「ルビーチョコレート」のコミュニケーションが取れていない頃、「ピンク色」「カカオの表現」をベースとしつつ「宝石のようなチョコレート」をイメージさせる工夫が見られます。

また、黒をベースにしながらも、さりげなく細やかなデザインのパーツをちりばめているところにとてもセンスを感じます。こういった、さりげないデザインセンスこそが、プレミアム感を演出するには非常に重要になってくると筆者は考えます。

さらに、こちらの商品は2018年10月に発売され「ルビーチョコレートのコンビニスイーツ初上陸」を謳っており、まだ認知もない中で「ルビーチョコレートってなに?」と自己紹介を中心としたコミュニケーションが必要だったと思うのです。

しかし、そのような記載は一切なく「コンビニスイーツ初上陸」とコピーをつけたのみ。今考えると思い切ったコミュニケーションだったなと思います。しかし「ルビーチョコレートってなに!?」と興味を引かせて、ついつい買わせてしまうのがローソンさんのうまいところなのです。しかも、スイーツ好きを相手に。

スイーツ好きに買ってもらえる≒ファンになってもらえる、という構図はほぼ確定と言える商品力ですので、あとは話題になるのを待つだけ。気付けば徐々に市場が成熟し、おそらく2020年のバレンタイン市場では、ルビーチョコレートは主力商品になってくるまでに成長を遂げると予想されます。さあ、そうなると、似たような表現でどう戦うかが課題となってくるので、悩みは尽きませんね。笑

2020年のバレンタイン市場は?

ピンクを基調とした色合いのトーンを合わせてまとめ、パッケージの素材感で引き立てた「キットカット」。ピンク色を引き立てるために黒を使用し、威厳や強さを引き立てつつ、親近感を持たせるために明朝体を使用した「ルビーチョコ&ベリーキャンディ」。

この二つからも、プレミアム感をイメージした「ラグジュアリーさ」がキーとなりつつも、細やかなデザインの使い方がとても難しいモチーフであることが分かります。よく「デザインセンス」と表現されますが、まさにそこが問われますね。

新しい商材を使用したチョコレート市場の新規開拓として「ルビーチョコレート」が生まれましたが、恐らく次のバレンタイン市場の中心となってくることが予想されます。

この背景として、成熟しすぎたチョコレート市場では「ミルク」「ハイカカオ(ビター)」「ホワイトチョコ」「フレーバー(チョコ・抹茶等)」「機能性」と様々なバリエーションは増えるものの、見た目が大きく変わらず(変わっても見慣れてしまった)選択肢も多いため、コミュニケーションだけでなく商品価値としての飽和が始まっていました。

しかしルビーチョコレートは、映える美しいピンクカラー、酸味が少し効いてフルーツ好きにも好まれる味、希少価値からの話題性、そしてなにより「ルビーチョコレート」というネーミングの美しさ。このようなメリットがあるからこそ、各社こぞって注目していることが予想されます。

今後「ルビーチョコレート」という商品イメージから、どこまでパッケージを作りこめるかが各社の勝負どころではないでしょうか。

また、バレンタインシーズンの市場が従来の「赤」からルビーチョコレートを使用した「ピンク色」に染まってくるのではないかと、筆者は予想します(希少ではなかったのか・・・笑)。バレンタイン売場では高級ラインですので、こだわりの美しい宝石のようなパッケージを期待しておりますが、さて、どんな美しいパッケージに出会えるのでしょうか。

是非この記事を読んでくださった方は、「ルビーチョコレートの良さをどのように引き立てて作られたパッケージなのか」という視点で、今後市場に並ぶ商品をご覧ください。「なるほど、いいね!」となるのか、「へぇ~こんな表現にしたのか!」となるのか、パッケージを見て一喜一憂できる少しの楽しみが生まれると思います。もちろん、筆者も楽しみたいと思います。

以上、パケコレでした。

  

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