ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

イースター商品が売り場に春を告げる

季節の祝日やイベントごとに、販促に力を入れる企業やブランドがあります。例えば、クリスマスの時期には赤と白のロゴの『コカ・コーラ』や、ハロウィンにはオレンジのパッケージの『Reese’s(リーシーズ)』などが、そのイベントのイメージカラーと一致するブランドを活用して積極的なプロモーションを行っています。

今年も3月末に、アメリカで盛大に祝われるイースターが行われました。日本ではクリスマスやハロウィンほど一般的ではありませんが、イースターで楽しまれるエッグハントは、大人が子どもたちのために仕掛け、子どもがたまごを探すというみんなで楽しめる全員参加型ゲームの側面があるので、将来的には日本でも楽しまれるようになる可能性も大きいのではないでしょうか。

さて、皆さんはイースターと聞いて、どんなイメージカラーやキャラクターを思い浮かべますか?今回は、今年のイースターにイリノイのスーパーに並んだ商品を取り上げて、ご紹介したいと思います。

イースターの顔、黄色のひよこ:Peeps

マシュマロ商品『Peeps(ピープス)』は、かつてはイースターの時期のみの販売だったそうです。しかし、その人気が急速に広まり、今では通年で販売されるようになりました。それでも3月になれば、イースターの顔役とばかりにさまざまな味や色、形のバリエーションでイースター専用の商品として展開され、スーパーやドラッグストアの棚を大いに賑わせます。(画像1)

画像1

画像1

人気ブランドとのタイアップも行われます。人気炭酸飲料『ドクターペッパー』味のマシュマロ(画像2)は、パッケージだけでなくマシュマロ自体も渋い赤のブランドカラーになっているのが特徴です。

画像2

画像2

春を告げる陽気なウサギ;イースターバニー

店頭で一番目に目を引くブランドは毎年『Peeps』ですが、一般的にイースターのシンボルと言えば、イースターラビット、またはイースターバニーと呼ばれるウサギでしょう。ウサギは多産という特性から生命力を感じさせるとされ、復活祭のイメージと結びつけられています。それだけでなく、野原を飛び回るウサギの姿は、暗く寒い冬が終わり明るい春の訪れを喜ぶ様子とも重なりますよね。そのため、この季節のキャラクターとしてはとてもふさわしいのではないでしょうか。

オレンジのブランドカラーを持つため、特にハロウィンには覇権を握る『Reese’s(リーシーズ)』も、イースターでは比較的控えめながら専用商品を発売しています。(画像3)

たまご型のカプセルのパッケージから飛び出したぬいぐるみの耳がアイキャッチとなっていてとてもかわいいですね。中にはミニサイズのチョコ菓子と、エッグハント用の卵形ケースも同梱されています。

画像3

画像3

他のメーカーからも、ウサギの形のチョコレートが多く販売されています。

こちらはミニブック付きピーターラビットのチョコレートです。(画像4)

画像4

画像4

にんじんと瞳が別の色のチョコで表現されているあたり、手がこんでいます。

しかしピーターラビットの原作者ビアトリクス・ポターの描くピーターの姿に慣れ親しんでいる者としては、ユニークな絵柄に少々違和感も拭えませんが…。

食べられる草?:Edible Grass

このようにイースター前にはウサギやひよこの形のチョコレートや、おもちゃの入ったチョコエッグなどが多く販売されますが、これらのお菓子はイースターバスケットと呼ばれる草の敷き詰められたカゴに入れられます。このバスケットはクリスマスでいうところの靴下に当たる、イースターの楽しみの象徴的なグッズと言えるでしょう。

最近ではイミテーションの草の詰められることが多いようなのですが、こちらの商品はなんと食べられる草となっています。(画像5)

画像5

画像5

薄く伸ばした飴でできているのですが、使用例としてはバスケットの中に入れて使うのはもちろん、イースターのデコレーションカップケーキのクリームの代わりにしても楽しいとシズルカットにて提案されています。(画像6)

画像6

画像6

イースター用の商品ではありますが、日本でもアイディア次第でインスタ映えするお菓子作りに転用できそうですね。

第三のイースターのシンボル:子羊

イースターは宗教的な行事ですから、食事も宗教的な意味合いを持ちます。この日に食べる子羊(ラム)も、イースターの重要なモチーフとなっています。

ラム肉を食べるのが本来のイースター料理のようですが、肉ではなく羊を形どったケーキがスーパーに並ぶこともよくあります。(画像7)

画像7

画像7

特にイリノイ州では、ポーランド系アメリカ人が多く、ポーランドのイースターの伝統食品である羊型のバターも店頭によく見られます。そのため、イリノイ州では特に羊がイースターのイメージとして強いのかもしれません。

こちらは5個セットの羊型ミルクチョコレートです。(画像8)

画像8

画像8

空の背景が描かれた一連の台紙をちぎると、小さな一口サイズの5つのチョコレートとなり、イースターエッグの中に入れることができるようになります。

このパッケージは機能的ですが、なにより子羊が列をなしている牧歌的な様子がとてもかわいいですね。

イースター仕様の定番商品

最後に、通年で人気の定番商品のイースター専用商品をご紹介したいと思います。

『Sour Patch Kids(サワーパッチキッズ)』は、以前の記事でもご紹介しましたが(こちら)、とても酸っぱいパウダーがまぶされた柔らかい飴のような子どもたちに人気のお菓子です。

通常は菓子自体がオリジナルのキャラクターの形をしていますが、イースターの時期にはウサギの形となり、スペシャル感が演出されています。(画像9)

画像9

画像9

『Skittles(スキットルズ)』(画像10)はイリノイに本社を置くリグレー社のブランドです。

チョコの周りに鮮やかな色のついた砂糖でコーティングされている、m&m’sによく似た商品です。mの字の代わりにSkittlesの頭文字のsが印字されています。

このブランドのイースター商品は、イースターエッグをモチーフとしており、To:とFrom:の欄があるので、プチギフトとしても使えるデザインとなっています。バレンタインやクリスマスと比べれば、ギフトを贈るイメージの弱いイースター商品としては、少々珍しいおまけ要素ですね。

画像10

画像10

そして、先ほどぬいぐるみ付きの商品をご紹介した『Reese's(リーシーズ)』も、気軽な袋菓子のイースター商品を販売しています。(画像11)

通常の商品はタルト型のチョコなのですが、『サワーパッチキッズ』と同様にウサギの形になっています。

画像11

画像11

アメリカらしいなーと感じるのは、包装紙のイラストとチョコのモールドのウサギのタッチが全く異なることです。こういったパッケージに描かれたイメージ図と実際の中身に違いがあることはよく有ります。このパッケージにはウサギのイラストの包み紙とチョコのシズルカットの両方が載っていて、購入前に別物であることがわかるだけ良心的です。実際に購入して中身を見るまで違いがわからないことも多々ありますからね。私はそういう違いがあると結構がっかりしたものですが、アメリカの人たちはそれほど気にならないのかもしれません。私も何度か落胆しているうちに慣れてきて、最近ではおおらかになってきました。

最後に

イースターのデザインといえば、私はウサギやたまごくらいのイメージしか持っていませんでしたが、商品を色々観察すると想像以上に多彩なモチーフが用いられていることに驚きました。また、春のパステルカラーがイースターのイメージカラーとして一般的である一方で、パッケージには黄色がよく使われていることもなかなか興味深く感じました。

厳しい寒さに耐えた後の春の喜びが、宗教的な祝いの意味合いと共にミックスされ、とても明るく楽しいデザインの商品が多くなっているようです。

 

▼編集部おすすめ記事

ここまでできる! オランダスーパーのプライベートブランド

イギリスは子供の肥満をパッケージで防止している?

このライターの記事

Top