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フィンランドの紙や布製のエコバッグ事情

※この情報は2024年4月9日時点のものです。1ユーロ=164円 換算2024年4月9日付

 

今回は、フィンランドのエコバッグ(ショッピングバッグ)事情についてご紹介します。

フィンランドは、森林資源が豊富で、国土面積に占める森林割合森林率)は約74%にもなります。主な産業は、林業や製紙業が盛んです。

そのため、暮らしていて日々感じるのは、紙の質がとても良いということです。トイレットペーパーをはじめ、文房具やポストカードなどの紙質が、丈夫で上質です。

フィンランドのスーパーマーケットをはじめ、企業やブランドは、環境面での配慮からプラスチックの削減を熱心に取り組み、サステナブルでデザイン性の高いエコバッグを消費者に提供しています。

さまざまな素材のエコバッグがありますが、主流は、紙製、コットン製(綿100%)です。フィンランドらしい素敵なデザインのものが多いです。

プラスチック製のエコバッグに関しては、新しいプラスチックではなく、ペットボトルなど既存の廃棄物を再利用した100%リサイクルプラスチックを使用しています。

 

スーパーマーケット

フィンランドのスーパーマーケットには、KグループとSグループの2社があります。スーパーマーケットのレジ横には、リサイクル素材からできたビニール袋1枚0,20€〜(約33円〜)をはじめ、100%リサイクルプラスチックから作られた、プラスチック製や紙製のエコバッグが販売されています。用途にあわせて好みのものが選べるように、さまざまな素材とサイズを取り揃えています。

なかでも、フィンランド人に人気のアイテムは、大容量が入る大きなサイズのもので、肩からかけられるタイプのエコバックです。

デザインは、企業のブランドロゴをはじめ、メッセージが書かれたもの、フィンランドらしい自然をモチーフにした素敵なデザインなどがあります。サステナブルでシンプル、機能的で、デザインにもこだわりが感じられます。

Kグループは、遊び心のあるカラフルな色地にムーミンキャラクターが描かれたデザインが定番化されており、多くの人々が日常使いで持ち歩いています。年に数回新しいデザインが発売されるので、次はどんなデザインか出るか、楽しみにしている人も多いようです。

Sグループは、ベリーや白樺の木などフィンランドの自然をモチーフにしたデザインが、好評です。また、フィンランドの国のPRにもなる豊富なデザインエコバッグは、お土産としても観光客に人気です。軽くてかさばらず、値段もお手頃なのが魅力だと思います。

フィンランドでは、スーパーマーケットの魚や肉の量り売りコーナーでは、サーモンなど魚を買う際、商品をそのまま紙にクルッと包んで渡されます。ビニール袋などは使用せず、至ってシンプルでエコロジカルな包装です。

エコバッグ

左からフィンランドの大手デパート、ストックマン(Stockmann)の食料品売り場のロゴ入りエコバッグ。真ん中は、フィンランドを代表するブランド、イッタラ(iittala)のデザイン。右は、Sグループの白樺の木が描かれたクラシックなバッグ。さまざまなサイズで、素材はいずれも、100%リサイクルプラスチック製、頑丈で長く使用できます。

Sグループのエコバッグはアルファベットと食材のイラスト付き

 Sグループから、フィンランド語のアルファベット文字と、食材の絵が描かれたエコバッグは、フィンランド語の単語の勉強にもなりそう!小さめのサイズ感が日常使いにとても重宝します。

フィンランドのデザイン企業

マリメッコ(Marimekko)では、紙製のショッピングバッグを使用しています。商品を購入すると紙袋に無料で入れてくれます。

マリメッコの紙袋とショッピングバッグ

左は、しっかりとした紙製のショッピングバッグ。右はやや薄い紙製。

マリメッコは、オンラインショッピングをすると、箱で届きますが、中を開けると洋服などの商品は、そのまま入っています。紙やビニール袋で包装はされず、緩衝材もなしです。無駄な梱包は徹底削減という企業のポリシーが伝わってきます。

しかし、配送途中にもし箱が濡れてしまったり、壊れたりしたらどうなるのか、と少し気になるところですが、これまでの経験からは、商品は綺麗な状態で届いており問題ありません。受け取る側の、開梱作業も簡単で捨てるゴミも少ないので助かっています。

また、マリメッコでは、不定期で開催されるキャンペーン期間中に100€以上の商品を購入すると、布製(コットン100%)のマリメッコ・ロゴバッグが無料でもらえるというプロモーションが大人気です。

布製のロゴバッグには、marimekkoの文字色を変えた、さまざまなバージョンが登場しています。その時々でどんなデザインや色になるかはおたのしみ、というワクワク感があるキャンペーンです。せっかくお買い物をするなら、この布製バッグがもらえる期間中に購入する、という方も多いようです。

ヘルシンキの街を歩くと、若い人を中心に、このマリメッコの布製エコバッグを持って歩いている人々を多く見かけます。布製エコバッグは、とても丈夫なので、「カバン」として使われており、マリメッコのブランド・マーケティング効果は絶大です。

イッタラとアラビアのラッピング

イッタラ(iittala)やアラビア(Arabia)の紙製のラッピング。ギフト用ラッピングは無料で対応してくれます。

有料のショッピングバッグは、好きな素材を選ぶことができ、イッタラのロゴ入り紙製は3サイズあり、0,90€〜1,5€(約148円〜246円)ほど。布製は7€〜20€(約1148円〜3280円)ほどで、販売しています。

カフェやベーカリー

ヘルシンキの老舗ベーカリーカフェ、エクベリ(Ekberg)も紙製のショッピングバッグを採用しており、有料です。サンドイッチなどもそのまま紙製の小さな袋に入れて渡されます。紙袋に、食材の油がついて滲んだりすることもありますが、プラスチック袋は、使用していません。

エクベリの紙袋

エクベリの紙袋

ヘルシンキの人気ベーカリーgateauでは、布製のエコバッグが販売されています。手提げ、または肩掛けの両方使いができる2ウェイの取っ手がついているのも、うれしいポイントです。ロゴやイラストもかわいくて、つい欲しくなりますね。

コットンバッグ

2本の持ち手がついたコットン100%のトートバッグは16€(約2624円)。

フィンランドブランドのお店で買い物をすると、やはり紙製と布製のエコバッグが圧倒的に多いです。企業側もさまざまな工夫をして、エコバックの販売、利用促進に取り組んでいます。

 

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