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シンガポールの健康とおいしさを考えた、サワードウ×ボンボローニのマッシュアップドーナッツ

近年、日本で話題となっているドーナツ。シンガポールでは一足早くブームが来ていました。グローバルかつ常に最新の情報を追うシンガポールでは、他国で流行しているものやそれらを改良したハイブリッド製品をいち早く提供する場所も多く、街を歩くと魅力的な商品に出会うことがしばしばあります。例に漏れず、ドーナツも各店舗からさまざまな種類が販売されています。

本日はその中でも、健康とおいしさを考えた新たなタイプのドーナツを提供する「Sourbombe Artisanal Bakery(サワーボンブ アーティザナル ベーカリー)」についてご紹介していきます。

シンガポールでメジャーなドーナツ

シンガポールでよく見かけるドーナツは、穴の空いたタイプではなく丸い形のものです。世界のメジャーなドーナツの中では、シンガポールはイタリアのボンボローニタイプが多く出回っているように思います。

見た目が似ているマラサダとは、産地、中身、食べる際の温度が異なります。ボンボローニは、イタリアのトスカーナ州を代表するお菓子で、揚げた発酵生地の中にクリームやジャムを詰め、仕上げに砂糖をまぶし、冷めた状態で食べます。マラサダはポルトガル生まれのお菓子で、同じく発酵させた生地を油で揚げて表面に砂糖をまぶしたものです。ボンボローニとの違いは、オーソドックスなものはクリームを入れず、熱々のまま食べるという点です。

ちなみに、日本で話題の「生ドーナツ」は、小麦粉を主原料とし、水・砂糖・バター・卵などを加えて練り込んだ生地を油で揚げた菓子を指すようです。先に挙げた二つとの大きな違いはイーストなどで発酵させない点で、生ドーナツはふんわりと食感が軽く、ボンボローニやマラサダよりも生地が軽く柔らかいことだと言われています。

Sourbombe Artisanal Bakery(サワーボンブ アーティザナル ベーカリー)

数あるドーナツ店の中で今回取り上げるのは、「Sourbombe Artisanal Bakery」というお店です。同店で特記すべきは、生地にサワードウ種を使用していることです。
サワードウとは小麦粉やライ麦粉に水を混ぜ合わせ、自然発酵させた天然酵母で、通常はこれを元にパンを作ります。サワードウで作ったパンはほんのりとした酸味があり、小麦そのものの味をより深く味わうことができると言われています。加えて、サワードウブレッドには消化しやすい、ぶどう糖が少ないなどの健康面でのメリットもあります。※1

シンガポールでは健康志向の方や欧米人の駐在の方が多いためか、サワードウパンを売るベーカリーが多くあります。ヨーロッパで一般的なサワードウブレッドはもちろん、他ではなかなか見ないサワードウ種のクロワッサンなどを提供する店舗もあります。こうしたお店が増加傾向にあるのは、「スイーツやパンを食べたいけれど、罪悪感なく少しでも体に良い商品を買いたい。」という方が多いことに起因しているように思います。

このサワードウとイタリアのボンボローニを融合させたドーナッツをSOUR BOMBE(サワーボンブ)という名前で販売しているのが本店舗です。当初はオンライン限定の販売でしたが、人気が出たことにより店舗をオープンしました。このことからも、美味しいスイーツを食べたいけれど、健康にも良いものを取り入れたいと考える人々の需要の高さを感じます。パン屋では多く扱われるサワードウですが、お菓子として使用しているところは珍しいため、新たなブランドの展開を見る上でも本店舗の存在は面白いと考えました。

お店はテイクアウト専門のため、こぢんまりした造りになっています。内装は白が基調のクリーンで洗練された雰囲気です。販売方法は店内で好きなものをオーダーする対面式か、オンライン注文もしくはデリバリーでの購入となります。

「Sourbombe Artisanal Bakery」の店内の様子

目をひくパッケージデザインと華やかでクリエイティブな組み合わせのドーナツ

購入してまず驚いたのは、ポップで可愛らしいパッケージのデザインです。手提げ袋、ドーナツのボックスともに色鮮やかで目を惹くデザインは、箱を開ける前からわくわくした気持ちにさせてくれます。商品だけでなく、こうした装飾へのこだわりも、カスタマーの満足度に繋がっているように思います。購入すると写真付きのメニューも添えてくれるので、自分が頼んだ商品について詳しく知ることができます。

ドーナツボックスと手提げ袋
ポップで可愛いドーナツボックス
実際に試した商品を下記にてご紹介いたします。
フレーバーは左上から、シナモン、抹茶+烏龍茶、タイミルクティー+マンゴー、ブルーベリー+レモンと紫蘇のクリーム、ラベンダーライム+マスカルポーネ、ほうじ茶+キャラメルクランチ、ピーナッツバター+ストロベリージャム、パッションフルーツ+キャラメライズドバナナ、バスクチーズケーキです。抹茶+烏龍茶はお茶のクリームの中に小豆が入っており、バスクチーズケーキのクリームにはブルーチーズが使われています。

「Sourbombe Artisanal Bakery」のドーナツ
上から眺めると宝石が並んでいるようです。どのドーナツも色鮮やかで可愛らしく、目でも楽しむことができます。

可愛らしく目でも楽しめるドーナツ
別の日には、前回試して特に気に入ったラベンダーライム+マスカルポーネ(左)と新登場のハニー+セージ+くるみ(右)を購入しました。

「ラベンダーライム+マスカルポーネ」と「ハニー+セージ+くるみ」のドーナツ
食べてみて、何より感動したのはドーナツの生地です。通常サワードウパンはハード系のものが多いので、歯応えのある生地を想像していたのですが、食感はその逆でふわふわもちもちです。柔らかく食感が良いことに加え、薄皮で軽いのが特徴です。ソフトな生地は手に持つと崩れてしまいそうなほどです。
私は実際にイタリアでボンボローニをいただいたことがありますが、生地は厚めでクリームは少なめでした。それに比べ、「Sourbombe Artisanal Bakery」のドーナツは薄皮で柔らかく、中のクリームもたっぷりです。生地の柔らかさや厚みだけで見ると、同店の商品は日本の生ドーナツに近いような気がします。このことからも、本商品が進化した唯一無二のドーナツであることがわかります。

一度目に購入した際は数が多かったので数日かけて食べましたが、サワードウ種のおかげなのか生地はずっともちもちで柔らかく、美味しく食べることができました。実は筆者はドーナツ特有の油っこさや重たさが得意でなく、スイーツでいうとどちらかというと苦手な部類でした。しかし、同店の商品は全く油っこさや重たさも感じず、むしろ柔らかく軽い食感の大ファンになってしまいました。不得意だったスイーツを大好きにしてくれたという意味でも思い入れの強いお店です。

「Sourbombe Artisanal Bakery」のもう一つの特徴が、その国の名物や特産物を掛け合わせて新たな美味しさを生み出す点です。自身で試した中で例を挙げると、「タイミルクティー+マンゴー」といったタイ名物のタイミルクティーとマンゴーの組み合わせや、「抹茶+烏龍茶」など、日本と中国のお茶をコラボさせた商品などがあります。食材や味のコンビネーションに独創性を感じることに加え、他にないフレーバーがある点がファンが多い理由の一つであるように思います。

美味しいのはもちろん、多様な食材を使用しているため香りのハーモニーが素晴らしく、一口食べるごとに口の中にさまざまな良い香りが広がるのも他にない点です。お茶やレモン、紫蘇やラベンダー、ライムやセージなど、各食材の香りもさることながら、それらが合わさるとこんなにも芳醇で良い香りが生まれるのだと感動しました。一つ一つの色合いも美しいので、視覚、味覚、嗅覚など五感で楽しめる一品でした。

日本でも流行しているドーナツには関心が高い方も多いはず。また、身体にもよいサワードウ種を使用して健康面も考えて作られているため、美味しいスイーツを食べつつ罪悪感を感じないというメリットもあります。シンガポールで「Sourbombe Artisanal Bakery」を発見した際には、健康面も美味しさも兼ね備えたドーナツで特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

▼参考資料(URLは外部リンクへ飛びます)

「Sourbombe Artisanal Bakery」公式SNS
https://www.instagram.com/sourbombebakery/https://www.sourbombebakery.com/

注釈※1
Harper’s Bazaar『栄養士が教える、「サワードウブレッド」の健康効果』2020/08/18
https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/health-food/a33639507/sourdough-bread-200819-lift2/

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