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シンガポールから世界へ。世界規模で飛躍を遂げるシンガポール発祥のベーカリー「BreadTalk」

本日ご紹介するのは、シンガポール国内で知らない人はいない程メジャーなベーカリー「BreadTalk(ブレッドトーク)」。
島内に数多く支店を持ち、国際的にも高く評価されているシンガポール発祥のベーカリーです。国を代表するブランドの本店舗では、メインのカスタマーをローカルの人々と想定して地元に根ざした商品を取り扱っておりますが、海外展開も幅広く行っており現在(2024年12月)は15カ国に拠点を持つなど広く活躍の場を伸ばしています。
日本未上陸ですが東南アジア全域にあるため、アジアでの知名度は群を抜いています。

他国の企業を多く国に入れる反面、自国のブランドを海外に進出させることも積極的に行っているシンガポール。その代表格が本国発祥のグローバル企業BreadTalkの存在でもあります。そんな世界規模で飛躍を遂げているBreadTalkのブランディングやマーケティング事情を本稿ではお伝えしていこうと思います。

2000年に設立したBreadTalkは東南アジアを中心に400店舗以上を経営(2024年12月現在)。そうした国の中にはクウェートやサウジアラビアといった中東圏も含まれており、幅広い国々に進出していることがわかります。同店の特徴の一つが高級志向のベーカリーではなく、日本で言う「街のパン屋さん」のような親しみやすさ。
一度買うだけで終わってしまうのではなく、毎日利用しても飽きのこない味や価格を意識するなど、多くの人が来店しやすい環境づくりに尽力しています。

下記からは写真とともに、実際の店舗の様子についてお伝えしていきます。
オレンジ色の「Bread」という文字が目立つ外観は、明るく温かみのある雰囲気です。

BreadTalkの外観
ショーケースには多くの商品が並んでおり、店内には焼きたてのパンの良い香りが漂います。オーダーは日本のパン屋さんと同様にトレーとトングを持って自分でパンをとってお会計をするスタイルです。お店の方にパンをとってもらう西洋式のスタイルではなく、日本式である点は日本人にも親しみやすいポイントです。

購入のスタイルに加え、ハムとチーズやソーセージ、動物や虫に見立てたパンなど、日本のパン屋さんでよく目にするような商品が売られているのも身近に感じる点です。
日本でも動物やキャラクターに見立てたパンは子供達に人気ですが、シンガポールでもこれらのメニューは子供たちに好評です。こうした万人受けする商品が売られているのもBreadTalkが多くの人に愛用されている所以のように思います。

HAM&CHEESE
THREE MUSKETEERS
子供向けのパン
日本風のパン以外にもクイニーアマンやピザ、ナンなど西洋諸国の人々が好む商品もあります。シンガポールは多くの外国人が住み、観光客もたくさん来る国であるため、このように各国の人々に配慮したメニューを設けています。

クイニーアマン
カレーナン
パンだけでなく、ドーナツや蒸しパン、パンケーキなどの提供もしています。ドーナツはカラースプレーがかかっており、見映えもよいので子供はもちろん、会社などのパーティーに用意されることも多々あります。蒸しパンもプレーンの他に抹茶やイチゴ味など色や味のバリエーションも豊富です。

カラースプレーが掛かったドーナツ
抹茶やイチゴ味の蒸しパン
流行りもののクロッフルなどの販売もされていました。クロッフルとは、クロワッサンとワッフルを組み合わせた韓国発祥の進化系スイーツです。クロワッサン生地をワッフルメーカーで焼き、サクサクとした表面と中のもちもちとした食感が特徴です。流行に敏感で常に最先端のモノを取り入れているシンガポール。こうした商品が販売されていることにも、時代の流れにアンテナを張る一面を感じます。

クロッフル
中華系の人々が食べる伝統的なパイ生地のお菓子やエッグヨーク(アヒルの卵黄)を使ったエッグタルト、東南アジアらしいパンダンとココナッツのパンが販売されている点はシンガポールならではの光景です。

SALTY TAU SAR PIAH
エッグタルト
PANDAN COCONUT BUN
下記からは、実際に試したいくつかの商品をご紹介したいと思います。

まず最初にご紹介するのは、オープン以来一番人気かつ目玉商品となっているポークフロスパン(正式名称はFlosss)です。ポークフロスと言う乾燥させた豚肉を繊維状にし、卵クリームを塗った柔らかめのパンにふりかけた本商品。ポークフロスは甘辛く味付けしてあり、シンガポールでは通常ご飯やお粥にかけて食べます。ご飯と食べるのが定番だったポークフロスを、最初にパンと組み合わせたのが同店だと言われています。

ダントツの人気商品のため、お店の公式キャラクターとなっているのもこのポークフロスパン。まさにBreadTalkを語る上で、なくてはならない存在です。Flosssはオリジナルに加え、辛味の効いたスパイシーフレーバーも用意されています。

ポークフロス自体がシンガポールでは馴染み深い食品なだけに、ローカルの方に「BreadTalkで最も好きなパンは?」と問うと、本商品を挙げる方が多くいます。その反面、馴染みのない日本人の中ではどちらかと言うと苦手という方が多いのですが、これは食文化の違いがあればこそ。筆者も一度試したことがありますが、ポークフロスのふわふわした食感と甘じょっぱい味が独特の一品です。しかし、ローカルの方の好みを知るには最も適した商品だと思いますし、日本では出会うことのない味わいなのでシンガポールにきた際には一度は試してみるとよいかと思います。

FLOSSS
FLOSSSの写真
ポークフロスは瓶詰めでも売られています。この光景からも本商品が国民食であることがわかります。こちらもパンのメニュー同様にオリジナルと辛いスパイシーフレーバーが販売されています。

瓶詰のポークフロス
筆者のお気に入りは「Peanut Mochi」というピーナッツとお餅のパンです。ピーナッツのまぶされたパンの中には、名称にある通りお餅が入っています。

PEANUT MOCHI
パンにまぶしてある粗く砕かれたピーナッツは香ばしく、ほんのり甘いパンや中に入ったお餅との相性も抜群です。柔らかなお餅とふわふわのパン、カリッとした食感のピーナッツを一緒にいただくと食感も楽しく、味のバランスも絶妙でとてもおいしいです。

チャイニーズデザートの代表的なものにピーナッツの入ったお餅があるのですが、それをモチーフにつくられたのが本商品。このレシピも中華系国民が多く暮らすシンガポールならではの発想です。日本では絶対にないアイディアや新たなおいしさを知った一品でした。

PEANUT MOCHIの写真
パン以外に筆者一押しなのが、同店が出しているカヤジャムです。お店ではパンに合わせるようにジャム類も売られているのですが、こちらはBreadTalkが出しているオリジナルブランドの商品です。

カヤジャム
カヤジャムには緑色と茶色の2種類があります。色の違いは原料やスタイルだと言われており、ブラウンはブラウンシュガーで作られた海南(ハイナン)スタイル、グリーンはパンダンの味を活かしたニョニャスタイルだと言われています。

どちらも試したことがありますが、筆者は断然ブラウン派です。茶色はブラウンシュガーのコクと濃厚な味わいがたまらなくおいしく、それが個人的に好きなポイントです。そのままパンに塗って食べてもおいしいですが、おすすめの食べ方はやはりカヤトースト。こんがりトーストしたパンに塗り、バターをサンドするとホームメイドカヤトーストの完成です。自宅でジャムやバターの量を調整してつくった自分好みのカヤトーストはお味も格別ですし、ぜひ試していただきたいメニューです。

ブラウンのカヤジャム
どの商品を食べてもハズレがなく、身近に感じられるのが同店の魅力の一つです。「毎日食べても飽きない味や価格」、「万人にとって親しみやすい店づくり」を追求したからこそ、様々な国で多くの人に愛されるようになった同店。こうしたBreadTalkの取り組みから、企業がグローバルに展開をしていくための様々な要素を学びとることができます。

▼参考資料(URLは外部リンクへ飛びます)

BreadTalk公式ホームページ
https://www.breadtalk.com/be-our-partner/

BreadTalk公式Instagram
https://www.instagram.com/breadtalksg/

 

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