ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

手のひらサイズの虫刺され対策グッズ。ドイツ生まれの「heat it」

薬を使わない虫刺され対策

虫刺され対策アイテム「heat it」
ドイツで暮らし始めた頃、友人が使っていた「heat it(ヒートイット)」という商品が気になっていました。「heat it」は、スマートフォンに接続して使う虫刺され対策用の商品です。薬を塗るのではなく、熱を利用してかゆみを和らげることを目的としたもので、「薬を使わずに対処できる」という点に興味を持っていました。
そこで、実際に購入してみることに。「heat it」はどのような特徴や価値があるのか、パッケージやデザインから探ってみたいと思います。

まず目を引いたのは、その小ささ

手のひらに収まるサイズ感
「heat it」が届いて最初に驚いたのは、本体のサイズでした。手のひらに乗せてみると、虫刺され対策グッズというより、小さなキーホルダーやスマホアクセサリーのようにも見えます。

一般的な虫刺され対策グッズといえば、塗り薬やスプレー、あるいは電池式の機器を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし「heat it」には電池も液晶もなく、本体にはボタンすら付いていません。その理由は、スマートフォンと接続して使用するためです。熱の強さや使用時間の設定は専用アプリで行い、本体は熱を発生させるための最小限のパーツだけで構成されています。スマートフォンの機能を活用することで、本体そのものを非常にコンパクトにまとめた設計と言えそうです。実際に手に取ってみると、「スマートフォンと一緒に持ち歩くガジェット」という印象を受けました。

パッケージが伝えたいこと

「heat it」のパッケージ(表面)
「heat it」のパッケージ(裏面)
続いて、「heat it」のパッケージを見てみます。全体はクラフト紙を使ったシンプルなデザインで、商品の使い方や特徴が分かりやすくまとめられています。興味深かったのは、パッケージに書かれている言葉です。

例えば、下記のような表記が目に入ります。

  • Chemical-free(薬剤不使用)
  • Child mode(子ども向けモード)
  • Made in Germany(ドイツ製)

これらを見ていると、「heat it」は「虫刺されのかゆみを和らげる商品」としてだけではなく、使いやすさや安全性にも配慮した商品として紹介されているように感じました。

特に印象的だったのが「Chemical-free(薬剤不使用)」という言葉です。虫刺され対策では、薬やクリームを使う方が多いかもしれません。しかし「heat it」は、薬剤を使わないことを特徴の一つとして伝えています。こうしてパッケージを眺めてみると、「heat it」が伝えたいのは熱を使うという仕組みそのものよりも、「薬を使わないこと」「安心して使えること」なのかもしれません。

ドイツでは熱を利用した虫刺され対策商品が一つの市場を形成している

ドイツのAmazonで見つけた虫刺され対策アイテム
虫刺され対策アイテムの使用イメージ
「heat it」について調べてみると、熱を利用して虫刺されの不快感を和らげる商品は、これだけではありませんでした。ドイツのAmazonを見てみると、Beurerの「BR60」など、同じようなコンセプトの商品が複数販売されています。

最初は「熱でかゆみを和らげる」という発想そのものが珍しく感じられましたが、実際には一つの商品だけのユニークなアイデアではなく、ドイツでは一定の市場が存在していることが分かりました。同じカテゴリーの商品であっても、デザインや使い方には違いがあります。そうした違いを見比べてみると、「heat it」ならではの特徴も見えてきます。

スマートフォンを活用するという発想

「heat it」をスマホに接続している様子
実際に、私が「heat it」を購入する決め手となったポイントはスマートフォンと接続して使う仕組みです。同じように熱を利用した虫刺され対策商品には、Amazonでも見かけたような電池を入れて使うタイプもあります。しかし「heat it」はスマートフォンから電源を供給するため、本体に電池は必要ありません。いざ使おうと思った時に電池切れになっていたり、交換用の電池を用意したりする手間がないのは大きな魅力でした。

また、本体が小さいことも購入を決めた理由の一つです。虫刺され対策グッズは、必要な時にすぐ使いたいもの。しかし大きな機器だと持ち歩かなくなってしまうこともあります。その点、「heat it」はキーホルダー感覚で持ち歩けるサイズです。

もちろん、スマートフォンがなければ使えないというデメリットもあります。しかし普段からスマートフォンを持ち歩く人にとっては、その弱点以上にメリットの方が大きいのかもしれません。熱を利用するというアイデアだけでなく、スマートフォンを活用することで電池を不要にし、本体を小さくする。そんな発想にも、「heat it」ならではの特徴を感じました。

商品デザインから見えたドイツらしさ

「heat it」のパッケージの中身と説明書
小さな虫刺され対策グッズですが、見ているうちに「なんだかドイツらしい商品だな」と感じるようになりました。例えば、パッケージには「Chemical-free(薬剤不使用)」という言葉が大きく書かれており、「薬を使わない」ことが商品の特徴として伝えられています。ドイツでは自然派コスメやハーブティー、植物由来の商品などを見かける機会も多く、私自身も「できるだけ自然な方法で体をケアする」という考え方に触れることがよくあります。「heat it」も、そうしたセルフケア文化の延長線上にある商品の一つなのかもしれません。

また、パッケージそのものも印象的です。外箱にはプラスチック製のケースなどは使われておらず、クラフト紙を中心としたシンプルな作りになっています。派手な装飾はなく、必要な情報だけを分かりやすく伝えるデザインです。最近では環境への配慮をアピールする商品も増えていますが、「heat it」のパッケージは「エコ」を前面に打ち出しているわけではありません。それでも、プラスチックの使用を抑えたパッケージからは、環境面にも配慮しようとする姿勢がうかがえます。

さらに商品本体は、スマートフォンの機能を活用することで手のひらサイズを実現しています。パッケージも商品も、「余計なものを加える」のではなく、「必要なものだけを残す」という考え方で作られているようでした。

薬を使わないこと。無駄を減らすこと。必要な機能をシンプルにまとめること。「heat it」のパッケージや商品デザインには、そんな価値観が表れているように思いました。

ドイツ人に聞いてみた

「heat it」のパッケージ側面
実際にドイツ人の友人にも、「heat it」について話を聞いてみました。友人自身は使ったことがないそうですが、商品自体は知っており、「アフリカへ旅行した友人が持って行っていて、とても便利だったと聞いたことがある」と話してくれました。一方で、ドイツ国内で虫に刺された場合は、「基本的には何もしないで、かゆみが治まるのを待つことが多い」とのことでした。それでも、「熱を使ってかゆみを和らげるというアイデアはとても良いと思う。薬を持ち歩かなくて済むし、薬を使い切って困る心配も少ないから」と、商品のコンセプトには好意的な印象を持っているようでした。

また、パッケージについては、「エコフレンドリーを意識しているようには見えるけれど、本体にはプラスチックが使われているので、少し一貫性がないようにも感じる」という率直な意見もありました。さらに、「小さくて電池が不要な点は魅力的。アジアなど蚊が多い地域へ行く時には持って行きたい」と話す一方で、「キャップと本体が完全に分かれる構造なので、キーホルダーに付けていると、本体だけをなくしてしまいそう」と、デザイン面で気になる点も挙げていました。実際に使ったことがない人でも、商品のコンセプトやデザインからさまざまな印象を持つ点を興味深く感じました。

まとめ

コンパクトな「heat it」本体
「heat it」は、単なる虫刺され対策グッズではなく、パッケージや商品デザインを通してブランドの考え方が伝わってくるアイテムでした。薬を使わないというコンセプトや、スマートフォンを活用した仕組み、無駄を省いたシンプルなデザイン。小さなアイテムですが、そこにはさまざまな工夫が詰まっています。身近な商品のパッケージをじっくり観察してみると、その国らしい価値観やブランドの個性が見えてくるのかもしれません。

▼編集部おすすめ記事

タイの蚊よけ対策グッズとパッケージ

このライターの記事

Top