今回は、フィンランドのピンクリボンの取り組み (Roosa nauha=ローサ・ナウハ(フィンランド語で、ローサはピンク、ナウハはリボンの意味)についてです。
10月はピンクリボン月間として、乳がんの(全てのがんに対して)正しい知識を広め、定期検診の推奨、早期発見・早期治療の大切さを伝える取り組みがフィンランド全国で実施されています。
フィンランドでも、約8人に1人の女性が乳がんにかかると言われており、決して他人事ではなく、自分ごととして捉えること、そして改めて定期検診の大切さを呼びかけています。
乳がんだけに関わらず、全てのがんに対する支援としてピンクリボンのロゴをまとったさまざまな商品が店頭に並びます。その商品のラインナップは、食品から文房具、花、日用品まで多岐に渡ります。
また、各社ブランドからはピンクリボン向けに商品をデザイン・発売したり、ヘルシンキのレストランでは一部のメニューを頼むと、これら売上の一部を、がん研究協会に寄付し研究費用などに使われています。
この時期、ヘルシンキの街を歩くと老若男女、多くの人が胸元にピンクリボンを着けています。この取り組みは特別なことではなくごく身近なことです。
毎年、著名人をはじめ各業界で活躍する人が、自身の経験を踏まえてリボンのデザインを手掛けます。
2022年は、ジャーナリストのMaria Veitola(マリア・ヴェイトラ)さん。彼女自身も父親を膵臓がんで亡くしました。その辛い経験をメディアでも語っており、がんの支援に対する活動に力を入れています。
期間中、フィンランド国内のスーパーマーケットには、ピンクリボンの商品が多く並びます。専用の棚も設けられるほど、売り場に浸透しています。
いつも買う花や、野菜のトマトやキノコ、トイレットペーパーに至るまで、商品を手に取るときに多くの人がピンクリボン商品を率先して選びます。
毎日必要な食料品や生活用品を購入することで少しでも誰かのサポートになるのであればそれは素晴らしいことだと思います。
ピンク色であふれるスーパーマーケットの売り場
実際にどのような商品が並んでいるのか、見ていきましょう。
ピンクベースの綺麗なガーベラのブーケをはじめ、バラや菊などがこの時期に並びます。
マッシュルームやプチトマトも隣の通常パッケージと並んでいると迷わずピンクのパッケージを手に取ります。
フィンランド人が大好きなパン菓子、シナモンロールまでピンク色の粒砂糖をまとっています。
フィンランドの国民食、ライ麦パンを1つ買うと0.10€が寄付されます。
ゴミ袋からトイレットペーパーまで、一眼見てわかるデザインになっているので売り場でも見つけやすいですね。
2023年のカレンダーも出ています。
ピンクリボン商品コーナーも設けられています。
アラビア社のピンクリボン、2022年新作マグカップ
フィンランドを代表する陶器ブランドArabia(アラビア社)からは、毎年ピンクリボンのマグカップが発売されます。これを待ち望んでいるコレクターもいるほど人気です。
マグカップの値段は、各21.90€。2022 年 9 月 1 日から 12 月 31 日までの期間に購入すると1€が、がん研究協会に寄付されます。
アラビアがピンクリボンに参加するのは今年で5回目、フィンランドのがんの研究を積極的に支援しています。一人の小さな行動が、多くの人が参加することで大きな影響力を持ちます。私たちはお互いを思いやり、分かち合うことで、自分たちの周りに良いものを生み出すことができます。誰かが困難なときは、共感すること、そして支え合い、希望を持つことが大事です。もっと良い世界にしていきたいです。というメッセージを発信しています。
2種類のデザインを展開。マグカップ左が、Pajazzo(パヤッツォ)。Loved Patterns シリーズの続編で1950年代にRaija Uosikkinen(ライヤ・ウオシッキネン)によってデザインされたもの。子供の頃のサーカスを思い出させる幾何学的で楽しいデザイン。
右は、Kielo(キエロ=すずらんの花)。1960年代に同じくRaija Uosikkinen(ライヤ・ウオシッキネン)がデザインしたもの。フィンランドの国花である、すずらんの花からインスピレーションを得て、繊細で控えめだけど洗練されたデザインに仕上がっています。みなさんはどちらがお好みですか?
シンプルかつキュートな箱のデザインも素敵ですね。
フィンランドのピンクリボンの取り組み、いかがでしたでしょうか?
私自身も、自分ごととして捉え、これからもピンクリボンの取り組みを微力ではありますが、サポートできたらいいなと思います。
▼参考サイト
Roosa nauha:https://roosanauha.syopasaatio.fi
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