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時代をリードする老舗ホテル「ペニンシュラ香港」のラグジュアリーなPRイベント体験レポート

PRイベントの多い香港

「ご飯はもう食べた?」というフレーズが挨拶になっているほど、食べることに熱心な喰い倒れの街・香港。食関係のPRイベントが非常に盛んで、毎日のように試食会などが催されています。

新オープンであればもちろん熱心にPRしますが、競争が激しく、新しいもの好きなのが香港人。話題の新店であれば客足は途絶えませんが、それに安住していると、すぐにさらに新しい店ができてきますから、とつぜん客足が途絶えて「あんなに話題だったのに2年後にはクローズ」というのは、よくある話なのです。

ですから新店以外でも、新メニューのお披露目、ゲストシェフを招いたコラボディナーなどの試食イベントが同時多発で開催されていて、出席するメディアやインフルエンサーを確保するのにプロモーションが苦心しているのもまた、よくある話です。そんな環境下では、何の工夫もないイベントでは注目されづらいため、どのPRイベントも常に知恵を絞っています。

長年愛されている老舗であっても、時代を一歩リードしていきたいブランドであれば、やはりPRイベントを重要視しています。その好例がペニンシュラ香港。季節の行事を通して、香港の文化を伝えるメディア向けイベントを、折々に開催しています。

Photo:「東洋の貴婦人」と称される、アジア最古の国際ホテル、ペニンシュラ香港。

ペニンシュラ香港のカスタード月餅が大変人気であることは、こちらのレポートでお話しました。

伝統×ブランディングで競い合う、香港「月餅」の華麗なるパッケージデザイン合戦(前編)

伝統×ブランディングで競い合う、香港「月餅」の華麗なるパッケージデザイン合戦(後編)

月餅の話題がのぼり始めたばかりの6月に、メディア向け月餅ワークショップが開催されるということで、張り切って出席して来ました。

ペニンシュラ香港のPRイベント体験レポート

会場になるのは、ペニンシュラ香港の広東料理店「スプリングムーン」内にある広めの個室。出席者は30人ほどでした。

各テーブルは5人ずつのワークステーションになっていて、出席者のネームホルダー、ペニンシュラのオリジナルエプロン、月餅型、型にふりかける小麦粉が用意されています。

Photo: 参加者のためのテーブルセッティング。ワークショップでもエレガントなセッティングは欠かせない。小麦粉のボールも存在感のある純銀製。

特に、特別感があるのがネームホルダー。ペニンシュラ香港と言えば、ラウンジでのアフタヌーンティーが人気ですが、そこで使われるすべての食器と同じく、長年使い込まれて、少し形が歪んだりしながら大切に磨かれている純銀製なのです。自分の名前がここに書かれていると、単純かもしれませんが、ゲストとして大切にされているという印象が生まれるものだな、と毎回感心してしまいます。

コーナーには、月餅に使う主な材料が展示してありました。基本のカスタードの他に、クルミや龍眼入りのものが今年の風味ということで、それが分かりやすく示されています。

Photo: カスタード月餅の材料展示。アヒルの塩漬け卵やコンデンスミルクも使用されている。

Photo:龍眼とクルミバージョンの材料も別途展示。

いよいよワークショップが始まりました。まずはシェフのデモンストレーションで、タネを作るところを見せてくれました。手際よく材料をきり混ぜてタネを作っていきます。

Photo: タネ作りはデモンストレーションのみ。

Photo:あっという間に見事なタネが出来上がる。

タネを延ばして円盤にしてから、中に入る餡を載せて包み込んでいきます。餡のタイプによって色が異なり、シェフが持っているのはクルミ味。

Photo: 皮部分を延ばしながら餡をキレイに包むのにコツがいる。

伝統的な月餅型に丸めたタネを入れて、よく押し込んでから、型の両側を順番に叩くと、自然に抜けて来ます。

Photo: 型を振って包丁叩きつけて、タネと型の間に隙間を作ると、ストンと落ちて来る。

手慣れたシェフは、いとも簡単に次々と月餅を作っていきます。料理教室であれば、タネを作るところから実践しますが、雰囲気を味わうための短時間のワークショップでは、タネはすでに出来ているものを使い、型に入れて抜くところだけを体験するのが一般的です。

Photo: 型から抜けた月餅には、驚くほど繊細に柄が浮き上がっている。

実はこちらの月餅型、標準のロゴ入りではなくて、漢字が一字入っています。香港人は名字が漢字一字なので、陳さん、梁さん、王さんなど、主な名字の型が一通り揃えてあって、その人の名字の型が、各席に置かれているのです。

私とイギリス人のジャーナリストには、最初は標準の「半島(ペニンシュラのこと)」と入った型が置かれていました。「私の名前も漢字で書けますよ」と担当者に漢字で名前を書いて見せたら、「それならあるわ!」と探してきてくれたのが、甲斐の「甲」という文字の型だったのです。やはりこれは楽しさが増しますね。

Photo: 「甲」の字が刻まれた月餅型。奥はカスタード、龍眼、クルミの餡。

同席者と語らいながら、さっそくたっぷり月餅を作りました。香港人であっても、月餅を自宅で作る人はほとんどいないので、皆が初心者。型を思い切り机に打ち付ける音と歓声が響き渡り、多少出来が悪くても、それもまた一興なのです。

途中でシェフも巡回して来て、いろいろと指導してくれました。

Photo: きれいに型から抜けた月餅。焼く前の状態もすっきりとして美しい。

出来上がった月餅は、キッチンのオーブンで焼かれます。待っている間に、スプリングムーン名物の点心をどうぞと案内されました。

Photo: スプリングムーンの名物点心は、あっという間に消えていきました。

Photo:エッグタルトや叉焼パイなど、どれも一流の味。

もちろん点心には、美味しい中国茶が欠かせません。脇に控えていたティーマスターが優雅に美味しく、目の前でどんどん入れてくれます。

Photo: 烏龍茶や中国紅茶の豊かな香りが漂うティーステーション。スーツ姿で中国茶を入れるティーマスターというのも斬新です。

待機中に、スプリングムーンの月餅も出てきました。まだ発売前だったので「外部の人でこれを今年食べたのは、あなたたちが最初よ」と広報の方。まさに焼き立てホヤホヤですので、美味しさが格別です。

Photo: スプリングムーンのロゴ入りカスタード月餅。

自作の月餅はと言えば待つこと30分ほどで、ついに焼き上がりました。大きなトレイにずらりと並べられています。

Photo: 参加者全員分の月餅がキッチンから運ばれて来る。

Photo:きれいに焼き上がっています。

「甲」の月餅もきれいに出来上がりました。これらは各自ボックスに入れてもらい、自宅に持ち帰ることが出来ました。家に帰ってからのティータイムも楽しみです。

Photo: 私の月餅もこんな風に。ミニサイズの月餅ではこのように1~2文字、クラシックタイプの大型月餅だと4文字というのが一般的。

参加者として純粋に楽しみながら、土地の文化を体感し、上品で親しみやすいペニンシュラブランドの雰囲気に浸りつつ、今年の新製品も体験して頭にしっかり刻まれる―豊かな気持ちを味わう機会になった、素晴らしいPRイベントになりました。

単発のイベントであっても、歴史を物語るネームホルダーに自分の名前が入っていたり、名字の一文字を使った型を使ったりできると、記憶への残り方が違うものだと実感しました。日本だと名前に使う漢字の数が膨大なので同じようにはしづらいと思いますが、イベント企画者の方は、ぜひパーソナライズの要素を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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