世界の街角を旅する感覚で、商品開発やマーケティングの”虎の巻”的パッケージ&プロモーションネタが収集できるサイトです。

ニューヨークで起業し、100年企業を目指す——日本人が営むドレッシングメーカーが大切にしていること

今回は、良質な食生活を支持するニューヨーカーに人気の高い、メイド イン ブルックリンのドレッシングメーカー「MOMO dressing(モモドレッシング)」をご紹介します。

Photo:最初の商品は写真中央のジンジャードレッシング。製品のモットーは「フレッシュ、ローカル、セーフ」

オーナーは、百瀬まさきさんとゆきみさんご夫妻。2013年に自宅キッチンで製造をスタートして、今年で起業7年目。現在は、7名の従業員とともに製造・販売しています。販売方法は、グリーンマーケット、ニューヨーク市内外のホールフーズ各店、通販サイト、レストランなど、約45箇所。

Photo:グリーンマーケットの販売ブース。テイスティング用にお椀を並べて。

Photo:写真奥、左がまさきさん。同じ並びの右から2番目がゆきみさん。

起業当初から、ローカルで安全な野菜や材料をふんだんに使い、野菜嫌いな成長期の子どもを持つお母さんたちや子どもたちにもファンが多いモモドレッシング。ドレッシングと言っても、サラダ用としてだけでなく、マリネなど調理にも幅広く使える点も人気。現在は6種類のドレッシングと2つのディップをベースに、季節限定品や他企業とのコラボ製品を手がけています。

Photo:バジルドレッシングに使用しているフレッシュなバジル。

Photo:モモドレッシングファンの子どもたちが、出展先のファーマーズマーケットに来てくれました。

Photo:ヒット商品のひとつ「枝豆ディップ」は、枝豆の香りと食感がフレッシュさを物語ります。

Photo:ブルックリンの工場で、ひとつひとつ手作業で瓶詰めされている商品。

手仕事の意義とこれからのこと

「モモドレッシングは、大量の野菜、果物を原料に使います。季節ごとに取り扱いの違う生の原料は、自分たち手作り工房の良さが最大限に活かされていると思います。商品一つ一つに作り手の愛情がこもっていると信じてやっています。」

手仕事で作業を行う意義を話してくれた百瀬さんは、一方で「今のように製造工程の多くを手作業でこなしている事に重きを置いてはいません。重いバケツを何度も持ち上げているスタッフの姿をみると、適切な機械を導入して、もっと従業員が働きやすい環境にしようと強く感じています」と言います。

企業モットーは『アクテッブ、ポジティブ、ネバーギブアップ』。多忙期の商品生産量が毎週7〜8000ユニットという現状に、手仕事による商品の質を落とさず、機械導入も思案中です。

MOMO TEST KITCHEN(モモ・テストキッチン)

不定期に工場内で開催されるモモ・テストキッチンは、シェフの資格を持つゆきみさんが、毎回違ったテーマのメニューで小グループをもてなすテイスティング・エクスペリエンス(有料)。

Photo:8名程度の小グループで、シェフを囲みながら料理を楽しみます。華美なセッティングはせず、かえってそれが特別感を生んでいます。

Photo:ゆきみシェフ

「モモドレッシングが色々な形で楽しめるということを、もっと知ってもらいたい。商品化する前のレシピを実際にテストキッチンで出させてもらって、お客さんのフィードバックを取りたい。それがモモ・テストキッチンをはじめた趣旨です」

Photo:季節によって内容がガラッと変わるメニュー。見た目も美しく味わい深い料理の情報は、SNSや口コミで広がっています。

料理と、シェフとの対話を楽しみながら、モモドレッシングの使い方のアイデアを教われるこの企画は、キッチンという気軽なシチュエーションがキーポイント。ニューヨークのレストラン業界でも「シェフズ キッチン」と呼ばれ、わざわざテーブルをキッチンに設けて特別メニューを食すのは、グルメな人たちに人気があります。

「お客さんの反応が良いのをキッカケに、今モモドレッシング工場の下の階に、テストキッチン専用の小さなレストランスペースを準備しています。2020年3月オープン予定です」とゆきみさん。こちらの申し込みはウェブサイトからできるようです。

100年企業を目指して

「会社を作ってから100年と言い続けているのは、単純に切りのいい数字が好きだからですが、地元密着、地域に根付いた企業を作ることが、ふたりの創業からの夢です。これは、僕たち2人が共に日本で生まれ育った日本人だから、このような価値観を持っているのかもしれません。

自分たちが時代のトレンドに乗ることはないかもしれませんが、地元のみんなから愛される商品をコツコツ一生懸命作っていきます。今マーケットに買いにくる常連の子供たちが大人になったら入社したいと言ってもらえる会社にしたいです。100年生き残ることを考えると、ある程度の会社規模も必要になります。それらを念頭におきながら、自分たちのペースで従業員や仲間を増やしています。」

Photo:ホールフーズ内のモモドレッシング紹介タグ。

アメリカの起業家は、起業する前から会社を売る事を念頭に置くと言います。起業セミナーでも、会社を売るタイミングを内容に組み込んでいるケースが多いそうです。モモドレッシングは、そんなアメリカのビジネス土壌に逆行しているのかもしれません。でも独自のアイデンティティを持つことは「右に倣え」じゃなくてもいいのです。

「ニューヨークには、沢山の人種、ライフスタイルの方がいます。ビジネス面でも多様なニッチマーケットが存在し、人々が異文化の製品にもオープンマインドです。それがニューヨークで起業した理由です」という、まさきさんの言葉も、印象に残っています。

写真提供:MOMO dressing
MOMO dressing 公式サイト:http://www.momodressing.com

▼パケトラおすすめの関連記事

ポートランドで愛されるソース「シークレット・アードバーク」から見る、小さなビジネスの育て方

時代をリードする老舗ホテル「ペニンシュラ香港」のラグジュアリーなPRイベント体験レポート

このライターの記事

Top