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ポートランドで愛されるソース「シークレット・アードバーク」から見る、小さなビジネスの育て方

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。

今回は、ポートランドのレストランやカフェには必備されていると言っても過言ではない大人気のホットソース「シークレット・アードバーク(Secret Aardvark)」ソースをご紹介します。

アマゾンでも一番人気のホットソース

Photo:シークレット・アードバークのオリジナルラインナップ

「シークレット・アードバーク」は、2004年12月にポートランドで、今は亡きスコット・モリス(Scott Moritz)氏が創業したホットソースブランド。市内のファーマーズマーケットで販売を開始し、現在は国内の1000店舗以上というレストランやマーケットで取り扱われています。

また、最近はオンラインでも評判が高く、今年7月末の「ニューヨーカー」誌には、シークレット・アドバークのホットソースが、ECサイト「アマゾン」で最も高評価のホットソースだという記事が掲載されました。小さなホットソースがなぜここまで評判になっているのでしょうか。

辛味と旨味を味わうソース

Photo:色味、辛味の違う3種類

シークレット・アドバークのホットソースは、4種類。うち3本が元々10本あったオリジナルラインの中から選ばれたものです。もう1本は新顔として最近加わりました。今回はオリジナルの3種類を試食してみました。

Photo:大定番のハバネロ・ホット・ソース

このブランドで最も有名なフラッグシップソースが、赤い「ハバネロ・ホットソース(Secret Aardvark Habanero Hot Sauce)」。「カリビアン&テックスメックス・フレイバー」をうたうこちらは、トマトの酸味にハバネロの刺激がガツンとくる辛酸っぱ旨ソースです。

ラベルには、赤いビールベースのカクテル「アードバーク・レッドアイ」のレシピが掲載されていますが、ブラッディマリーはもちろん、ピザ、タコス、ナポリタンなど何でも合いそうです。パッケージには、他の2本に比べてどろっとしたソースだからか、注ぎ口の穴が大きいという工夫もされています。

Photo:オリエンタルなドランクン・ガーリック・ブラックビーン・ソース

続いては、黒い「ドランクン・ガーリック・ブラックビーン・ソース(Drunken Garlic Black Bean Souce)」。インスピレーションを求めたアジアのフレイバーにウィスキーを加えたものだそうです。とろりとしたこのソースは、マイルドでみんなが大好きな中華料理のブラックビーンヌードルの味です。

ヌードルはもちろん、サイトにレシピが掲載されているチキンウィングや野菜炒め、魚料理にも合いそうです。

Photo:ドランクン・ジャーク・ジャマイカン・マリネイド

最後は、黄色の「ドランクン・ジャーク・ジャマイカン・マリネイド(Drunken Jerk Jamaican Marinade)」。こちらはジャマイカのジャークスパイスにダークラムを加えたもの。他の2本に比べてサラサラした液体で、風味豊かな味わいの後にハバネロの辛味が追いかけてきます。マリネと名付けられていますが、ピザ、チキン、サンドイッチなどのソースとしても幅広く使えそうです。

3種類ともそれぞれ全く違う味わいで、どれも少しエキゾチックで素材を引き立てそうな味わいです。

ユニークなネーミングとシンプルなパッケージ

ところで「シークレト・アードバーク」というユニークなブランド名は、創業者、スコット氏の若かりし頃のエピソードに由来しています。

地元紙の「ギャングを判別する9つの方法」という社説を読んだスコットさんと友人たちは、そのあまりの馬鹿らしさに、新しいギャング団「シークレット・アードバーク」をでっち上げ、その一員だと社説を風刺する手紙を送りました。編集部は、その手紙を信じ込み、読者に注意を促すフェイクニュースを掲載したんだとか。このホットソースは、その偽ギャング団の名前に因んでいるそうです。

そんなことから、ラベルには、ソースを吸う青いアードバーク(ツチブタ)のギャング(?)が描かれています。フレイバーごとにキャップの色とラベルの色が違い、とてもシンプルですが、遠くからでもすぐにシークレット・アードバークのソースだと分かります。

容器は、地元メーカーの手によるリサイクル可能な厚めのBPAフリープラスチックでできています。かなり硬くて押し出すことのできないタイプですが、熱いうちにパッケージングするので、これより薄い容器は使えないんだとか。また、軽くて割れないため、ガラス容器よりもサステイナブルだそうです。

小さなビジネスが育った秘訣は、地元愛と接点の多さ

Photo:地元ブランドをアピールするスーパーの陳列棚

私がこのソースを知ったのは、ポートランド市内のレストランだと思います。ハンバーガーショップやピザ屋、パブ、メキシカンレストラン、カフェなど、どこに行ってもポートランドではこのホットソースが置かれているようです。

また、スーパーマーケットはもちろん、空港のお土産物屋さんや地元のアイテムを集めたセレクトショップでも、チョコレートやジャム、ビールなどと一緒に、このホットソースが並んでいます。友人から「ポートランドアイテム詰め合わせギフト」を貰った際にもこのソースが入っていました。

他にもアート、ミュージック、飲食関連イベントにも協賛していて、ポートランドでは、「シークレット・アドバーク」との接点は、例えば大手ブランドのタバスコ以上に多いのです。そのため、ポートランドにしばらく暮らすと、自然とこのホットソースが地元っ子に愛されていることを肌で感じます。

考えてみれば、クラフト感溢れるシンプルでちょっと風変わりなラベル、エキゾチックなフレイバー、GMOフリー、地元のファーマーズマーケットからスタートしたなど、ポートランドの人たちが応援したくなる要素が満載のソースです。実際、ショップで利用すればウエイターに、購入すればレジでと、何度も「このホットソース美味しいよね!」「私も大好きなの」と声をかけられました。

ポートランドが、地元の商品を応援する「小さなビジネスが育ちやすい土壌」であることはもちろん、地元の無数の食事シーンへと戦略的に入り込むマーケティングが功を奏しているようです。

これからもポートランドっ子が知らず知らずに宣伝塔となり、このホットソースの販促を盛り上げて行くのではないでしょうか。

Secret Aardvark
https://secretaardvark.com/

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