こんにちはpackagecollection(以後パケコレ)です。(パケコレのプロフィールページはこちら。)
今回のテーマは「立体型マスク」!
以前こちらで、不織布マスクの特集をさせていただきました。
今こそ注目したい!「マスク」のパッケージ特集【連載第27回】
マスクの種類を大きく分けると「ガーゼタイプ」「不織布タイプ」「立体型タイプ」の3パターンになるのではないでしょうか。今回はその中でも比較的歴史が新しく、コロナウイルスの影響で進化している「立体型タイプ」のマスクについて、パッケージ的視点から詳しく見てみたいと思います。
昨今、消費者がマスクを選ぶ際に気になる条件といえば「通気性はいいのか?」「暑くないか?」「コスパは?」「見た目的にもおしゃれか?」ではないかと思います。マスク選びに関して、以前よりも敏感になりましたよね。まずはどんな商品があるのか見てみましょう。
Ikka「ひやマスク」
Ikkaはイオングループのコックスという会社が運営しているブランドのようです。とても涼しそうな見た目のパッケージには氷のグラフィックが施され、ネーミング通り「ひや」っと冷感を表現しています。ぱっと受ける印象は、清涼感があることと、クールタイプのマスクであること。
ネーミングやパッケージから、暑さ対策に対しての配慮やマーケティング力がみられますね。正直、つけた感じは分かりませんでしたが、キシリトール加工によりスースーするようです。布タイプで使いまわしもできるため、コストパフォーマンスも良いですね。
Ikka「ぴたマスク」
こちらは上で紹介した「ひやマスク」と同じブランドで、双子のような立ち位置です。ひやマスクは布素材ですが、「ぴたマスク」は薄いスポンジのような質感でピッタリと顔にフィットする素材です。こちらのほうが個人的に「ひんやり」感がありました。
ひやマスクが先行して「清涼感」「ひんやり感」を訴求しているため、双子ポジションのこちらはピンク色を使用し、バリエーション展開された製品としてパッケージが作られています。パステルピンクなのでかわいらしい印象を抱きました。これらの違いは質感や通気性であり、肌に触れるものなのでどちらが体感で好きかという嗜好に対してニーズが変化する商品です。
マスク本来の目的である「ウイルス対策」「フィルタリング力」といった訴求が一切ないことが、従来のマスクと大きく違う点です。訴求のポイントから、肌ざわりに注力した製品であることが伝わります。
BUTAI PROJECT「ATB-UV+MASK COOL」
「ATB-UV+MASK COOL」はBUTAI PROJECT社から発売され、セブンイレブンなどで取り扱われているようです。こちらも「ひやマスク」「ぴたマスク」と同様に冷感を謳った製品であり、スポーティ感が伝わる透明のパッケージからはファッション性も伝わってきます。マスクも眼鏡同様に、本来の役割に加えて「ファッション」の役割が付与されつつあるのではないかと感じました。
機能の訴求を明確にしているパッケージが印象的で、「COOL」「接触冷感」「抗菌防臭」「UVカット」など、やはり従来のマスクに求められていた機能ではない付加価値訴求が強化されています。
ANYe「DESIGNERS PACK MASK」
先ほどのマスクでお伝えした「ファッション性」をより強調した製品です。本来の機能性に対する訴求はあるものの、パッケージには「ファッションを楽しむマスク」と大きく書かれているのが面白いです。なおかつレディース・メンズと性別が記載されている点は珍しいと思いました。
アラクス「PITTA MASK」
最後はやはりこちらでしょう!マスク牙城の先駆者。立体的でピッタリと肌にフィットし、カラフルなマスクの開拓者である「PITTA MASK」。ウレタンタイプのマスクは発売当初とても革新的でした。
デザインもかなり攻めていたので、使い捨てタイプしか馴染みのない時代は、まさか洗濯できるとは思わず「単価が高いな~」と思っていましたが、今となってはコスパが良いと感じるまでになってきましたね。欠品続きだったこのマスク。ようやく店頭にも少しずつ並ぶようになり、改めて洗練された良い製品だと思いました。
まず、商品名が分かりやすい。ビジュアルがカラフルで革新的。ミシン目でちぎって開けるパッケージも珍しく、開ける楽しみを与えます。個包装のフィルムも美しく、ロゴが印字されているなど今でも他の商品と大きく差別化が図れている、唯一無二の威厳がパッケージからも漂っていますね。
こちらの製品は商品開発のプロセス・市場がコロナ時代よりも随分と前であるため、本来のマスクの役割である「花粉・風邪」に対しての訴求がされているところに、今となっては寧ろ新鮮味を覚えます。
そのパッケージは何を表現し、どんな印象を与えるのか
今回ご紹介した立体型マスクは、従来の必要機能であった「花粉・ウイルス除去率」ではなく、「冷感」「ファッション性」「UVカット」など、新たに生まれたニーズに対して解決している商品が多くみられました。
医療カテゴリーからの逸脱は、眼鏡が機能性からファッション性へ変化していった流れと似ていますが、マスクはよりパッケージが機能していて興味深いです。
そのパッケージは、どんなデザインで表現されているか
パッケージデザインにより、どんな不満に対してコミットするかを潜在的にクリアできている商品が多いと感じました。機能の訴求ではなく、つけたときの心地や質感に対しての意識が高い製品が多く見つかりました。
殆どのパッケージはシンプルにデザインされており、あえて不織布マスクとは一線を画した姿勢をとっているのかもしれません。
もしくは、先駆者であるPITTA MASKが尖っていたものだったからこそ、続いた商品が美しいパッケージになったのかもしれないと個人的には思いました。一つの革新的なパッケージデザインが良い影響を及ぼしたといえる素晴らしい事例ですね。
パッケージの評価軸と文化的背景
前回同様、ウイルス対策が当たり前になった今、「ウイルスカット」「花粉対策」など従来訴求が強化されていた機能は当たり前になってきました。そうでなければ、なんのためにマスクをしているのか分からないですからね。それよりもマスクが生活必需品となった今、「生活に馴染む」「長く使える」「肌に触れても快適」というニーズが浮かび上がってきました。
筆者は、食品以外の全てのものの最終到達点は「快適さ」ではないかと思っています。特に「衣・住」に関する多くの製品は、最終到達点に快適さを求められていることが多いのではないでしょうか。
かつては冷やせることが重要だったエアコンも、より快適に過ごせるようにするための付加価値として「人センサー」であったり「自動クリーニング」であったり、「AIコントロール」みたいなものがついてきたのと同じように・・・。
マスクが開発されてから数百年と経ちますが、ついにマスクにも快適さを求められている流れは、ここへ来て新たな進化の時代とも言えるのではないかと感じました。
これから迎える冬のステージでは、一体どんなマスクやパッケージデザインが生まれるのでしょうか。そんな視点でマスクのパッケージを観察していただけけると、少し日常が楽しくなるのではないかと思いました。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。以上、パケコレでした。
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