ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

「生理用品」のパッケージデザインは、ラブリーじゃなくていい!進化に期待しながら考察してみる【連載第34回】

画像:packagecollection

こんにちはpackagecollection(以後パケコレ)です。(パケコレのプロフィールページはこちら。)

今回のテーマは「生理用品」!

今回は、時折話題になる「生理用品」のパッケージデザイン特集を組んでみました!筆者の個人的な女性視点で、パッケージの分解をしていきたいと思います。

生理用品のパッケージデザインを見ていく上で、「どうしてこんな表現なのか?」というポイントに注力したいと思います。「女」という性別で生まれた人であれば回避不可能なこの現象。絶対と言っても過言でないほど使う生理用品なのに、どうしてこんなデザインなのでしょうか。

ルーティンのように何気なく使っていますが、正直・・・ダサくない?と個人的に思っていました。恥ずかしいですよね、持ち歩くの。生理が始まりたての時はとても嫌でした。そんな抵抗感って、実は「現象」に対しての心の抵抗もあると思うのですが、もしも要因が「デザイン」だったなら面白いですよね。

「女性」と一括りで言えども好きなものは人それぞれ。コスメなどを見ていると、いろんな方向性があるものの、生理用品のようなトーンではなく「所有欲」を満たすもデザインですよね。逆にコスメのデザインが生理用品のようなものだったら、どうですか?いらなくない?売れなくない?ねえ?

そんな視点で見ていくと、実は「生理用品」とはステレオタイプでしばられていて、まだまだ発展する可能性を秘めた領域だと思うのです。今回は、手に入ったこの4点を軸に見ていきたいと思います。

花王「ロリエ スリムガード」

「生理用品ってこんな感じよね~!」を、うまく体現しているパッケージデザインだと思ったので手に取りました。「ピンク」「どこかラブリー」そして中身は謎の市松模様風・・・このタイプの表現って、もう10数年変わってないんじゃないだろうかと思うくらいですよね。

Photo:中身はピンクの市松模様風。

ファッションや化粧品のデザインは100歩譲って、確かに10年前、ゴスロリやら、こういうゴテゴテ・べたべたなデザインが多かったかもしれません。いやそれは、20年前なのでは・・・。

そんなことはさておき、きっと「機能性」は変化を遂げているのでしょうね。

しかし、女性のライフスタイルとライフステージも変わってきました。30年前は結婚して家庭に入ることが、子どもを産むことが幸せの象徴だったかもしれませんが、今や男女共働きは当たり前。女性もキャリアをしっかり考えている人が多い時代。そんな、バリバリ頑張る女性!のカバンに、これは。ギャップ萌えを誘発するのでしょうか。

次を見てみましょう。

エリエール「エリス コンパクトガード」

個人的には、比較的好き!選ぶならこっちかな、という心情です。化粧品ブランドの〇ンテグレートのラインにデザインが似通っていて、好感が持てるパッケージです。シンプルでとても手に取りやすく、自宅に置いていても恥ずかしくないのが良いですね。そうです、家での見栄えも重要なのです。

Photo:ラブリーな中身のパッケージ

しかし、しかしながら、やはり中身がとってもラブリーですね。これって、なんの因果なんでしょうかね。世の中の女子は誰も生理のことをラブリーだなんて思ってませんからね。ハートモチーフのナプキンを持つことで、少しでもハッピーに過ごしてほしいなんて願いが込められているのでしょうか。そうであってほしいですね。

ユニ・チャーム「ソフィ 超熟睡ガード 360」

「あなたがいないと安眠できないの!!」とばかりに頼もしい相棒のこの子が、一番の問題作だと私は毎回思っていました。とっても手に取りにくく、レジに持っていくのも勇気がいります。店員さんは女性がいい、そんなことすら願ってしまいます。

「モレ安心」「寝返りモレ」とか、グラフィックがとにかく恥ずかしいんですよね。必要な表現でもあるのですが、もう毎回毎回お世話になっているので、そんなに言わなくても分かってます・・・。ちょっと抑えてくれないかな、なんて思いながら、いつもパッケージを眺めています。本当に頼もしい相棒なんですけどね。

とても主張が激しくて、どこかドリーミーです。夜寝る用ですからね。でも、家に置いておくにはやっぱり恥ずかしい。いっそ、星空だけのシンプルなパッケージとかにしてほしいと切に願います。

大王製紙「ネイチャリス オーガニックコットンナプキン」

この特集を組もうと思ったきっかけの商品がこちら。「マツキヨは私たちのことをわかっている!」と、一瞬SNSで話題になったんです。そうそう、これこれ!!所有していたくなるデザインって!なんて思いながら、ちょっと店頭で泣いたパッケージデザインです。

Photo:中のデザインもシンプル

そう、私たちってもうラブリーじゃなくていいんです。ハートとか無理に使わなくていいんです。因果関係なんて、もうどこにもなくていいのです。とにかくシンプルで、なんなら主張しなくて、スマートで、持っていて恥ずかしくないものが欲しいのです。そう思いながら購入しました。

やっぱり日常的に使うものだからこそ、こういった変化は嬉しいですよね。このパッケージだったらとにかくメリットが多いです。ティッシュペーパーにも見える、インテリアにも馴染む、レジに並ぶ時も恥ずかしくない、袋も別に黒くなくたっていい。こんなメリット、ストレスフリーでしかないですよね。

マツキヨさん、本当に作ってくださってありがとうございます。

「生理用品」にも選択肢がほしい!

私たち女性は、生理用品を日常的に使用するのにもかかわらず選択肢が無い状況が長く続いていたのだと思います。

おそらく、生理という現象に対して解決しなくてはならない問題が多すぎたからというのも、ひとつの理由なのではないでしょうか。ムレや吸水率、ごわつき・・・確かにそこに対する不満は年々進化を遂げているのだとは思いますが、最終的に手に取る部分でストレスがあるのは勿体ないですよね。

長く付き合っていくもの、ずっと一緒に歩んでいくものであるならば、やはり所有していても恥ずかしくない、持っていたい、これが一つのアイデンティティーになってほしい。そんな意味があってもいいと思うのです。ファッションやコスメが大好きな女性が、もっともっと持っていても嬉しい生理用品が増えてくれると嬉しいですね。

「生理用品のデザインを、化粧品に反映してみたら」「化粧品のデザインを、生理用品のデザインに反映してみたら」なんてお遊びもできればよかったかな?なんて思った筆者でした。デザインの置きかえ、スイッチングは広い視野でデザインを見ることができますし、なにより楽しめると思うので、ぜひ読者の皆様もやってみてくださいね!

以上、パケコレでした。

  

▼パケトラおすすめの関連記事

社会の変化を映し出す、北欧の生理用品事情(前編)

社会の変化を映し出す、北欧の生理用品事情(後編)

ドイツのスタートアップが生んだ、メッセージ性のある生理用品

このライターの記事

Top