こんにちはpackagecollection(以後パケコレ)です。(パケコレのプロフィールページはこちら。)
今回のテーマは「ヨーグルト」!
今回は筆者の中で勝手にブームが来ている「ヨーグルトパッケージ特集」を行わせていただきたいと思います!
なぜヨーグルトブームが来ているかはさておき(腸内環境のため)、世の中的にも「ギリシャヨーグルト」と呼ばれる低脂質・高たんぱく質のヨーグルトブームなんじゃないかしら?と思っています。そういった高たんぱく系ヨーグルトは日々売場で進化を遂げ、なんだかめちゃくちゃかっこいいパッケージも出てきているのですが、今回はそちらではなく、ごく一般的な「ヨーグルト」の深堀を行っていきたいと思います。
明治 ブルガリアヨーグルト LB81 脂肪ゼロ
いわずもがな、デザイン系に携わっている方ならだれもが知っている「佐藤卓」さんの手がけたブルガリアヨーグルトのパッケージですね。「ヨーグルト=ブルガリアヨーグルト」の方も多いのではないでしょうか。もしくは、「ヨーグルト=ブルーと白基調」というイメージを思い出さなかったでしょうか?
この「潜在的にヨーグルトといえば」を醸成しているのがこのパッケージなのか、みんなが思い描くヨーグルトのイメージをけん引しているからこのパッケージなのか、が分からないのですが、とにかく我々の潜在意識に刷り込まれている素晴らしい商品です。
私が一番気になったのは、このキーカラーの「濃いブルーと白」っていったいどこから来たのか、ということです。青い空の下で牛が放牧しているイメージ?ブルガリアにちなんでいるから?もしくは、ブルガリアで販売していたヨーグルトのパッケージが青と白だったから?どなたか教えてくださるととても嬉しいです。
フジッコ カスピ海ヨーグルト
こちらのヨーグルトも安定のブルー×白ですね~。指し色はかわいらしいピンク。とろーんな質感をスプーンで表現して、興味を引かせていますね。
グリコ BifiXヨーグルト
「ケミカル感」「機能性」系で薬品っぽいので買ったことがなかったんですが、めちゃくちゃおいしいです!これはあたり!
ケミカル・医薬品のように感じられるのは、全体的に白ベースで元素記号っぽい素材が使われていることと、書体の選定(しかも縦組み)などが影響しているのではないでしょうか。こちらもやわらかいピンク色を指し色として使用していますね。カスピ海ヨーグルトと似た形状のパッケージなのに、蓋が少し違うだけで全然印象が違うんですね。
ポッカサッポロ 豆乳ヨーグルト
変化球として、「豆乳のヨーグルト」もご紹介。
牛乳ではなく豆乳を使用しているので、ベースカラーとか違ってくるのかな?と思ったのですが、形状が「ヨーグルト」のパッケージのため、パッと見は変わり映えしない印象です。
しかし、やっぱり「植物から」だからなのか、グリーン寄りのキーカラーになっていますね。女性やファミリー、アレルギーの人をメイン層のターゲットにしている商品なのか、やわらかいトーンで構成されていますね。ベージュカラーが使用されていることも特徴的です。
marusan 豆乳グルト
こちらは「豆乳のパッケージがヨーグルトになった」といった印象。MARUSAN豆乳ドリンクのロゴのインパクトと書体に合わせていますね。あくまでも豆乳シリーズのヨーグルト製品というポジショニングなのでしょうか。
デザイン構成の比較
ブルガリアヨーグルトは、太いサンセリフ書体で構成された力強いパッケージです。中心に目が行くように流線形を外周にあしらい、中央にロゴ・訴求文言を配置しています。メインロゴの書体は、おそらく佐藤卓さんのアレンジが入っていると思います。「フォーク」の変形タイプなんでしょうか?よくPOPで使用される馴染みのある書体が使われています。
カスピ海ヨーグルトは、筆文字のロゴと、明朝体・フォーク体の少なくとも3タイプの書体を組み合わせてデザインに使っています。「カスピ海ヨーグルト」は筆文字でブランディングしていますね。
「ねばり」という特徴はしっとり明朝体で訴求し、「脂肪ゼロ」というPOP的な要素はフォークでさっくり訴求といった感じでしょうか。フォークに近い書体を選定することによって、「手書き文字」「明朝体」「フォーク」とバランスをとっているのだと思いました。
デザインの構成はブルガリアヨーグルトが中央に視線を集めるものに対して、カスピ海ヨーグルトはタテの軸で読ませるような画面構成ですね。
グリコBifiXヨーグルトは英字が目立つ商品です。サンセリフの書体を選定し、日本語もゴシックが多めですね。
こちらもタテのラインを使用した導線計画をが見えます。スプーンがさりげなくデザインの要素として使用されていますね。ロゴと、ヨーグルトという訴求まで縦組みというのが斬新です。
ゼロのあしらいも他と違って、「0」のまわりに白フチをつけ、そのまたまわりにブルーのフチをつけているというデザイン。2色ってチラつかない?と少し心配になりましたが、皆さまはどう思われましたか?
ソイビオの豆乳ヨーグルト。このパッケージの好きなところは、「明朝体」というところと、「なめらかなおいしさ」というコピーが大きく打ち出されているところです(今までの商品はさりげなかった)。
ニューカテゴリーに近いため、本来であればもっと訴求するべき情報・したい情報があったはずなのに、シンプルで上手くまとまっていると思います。しかし、売場でこのデザインが良い(売れる)のかというと、少し上品すぎるため一般受けはしないかもしれないと筆者は思いました。グリーンの使い方とかも、なんていうかティファニーブルーに近くて上品ですしね。
最後にmarusanの豆乳グルトです。どちらかというと、こういったパッケージのほうが一般受けしやすいと思います。こちらのパッケージは、惜しむことなく商品の特徴を盛りにモリモリ。ここは家電量販店かしら?というくらい訴求が多いです。
色味も強く、書体も太くて視認性が高いです。
上蓋比較
上蓋と正面のデザイン性は、もちろんリンクしているものが多いですね。読ませる導線の軸もほとんど一緒です。
BifiXヨーグルトだけ、正面から見たときのトーンと上蓋だけ見たトーンが違うのがまた新しい発見です。こんなに商品パッケージのパーツによって温度感が違うというのは、新しいチャレンジですね。
中蓋比較
中蓋もそれぞれの個性が出ていて好きなんです。
ブルガリアヨーグルトは、キャンペーンの告知。カスピ海ヨーグルトは、食べ方・パッケージのこだわりの訴求。BifiXは、上蓋デザインと同様、ある意味こちらも顔となる部分にしていますね。豆乳ヨーグルトは、比較的新しいカテゴリーの商品なはずなのに、訴求はあっさりで逆に上品さを演出していますね、むしろここをデザインしていないのは、敢えてかもしれません。豆乳グルトは、ブルガリアヨーグルト同様、キャンペーン情報をメインに入れています。
まとめ
ヨーグルトのパッケージや、普段何気なく消費しているものってあるじゃないですか。納豆のパッケージとか、ペットボトルやおにぎり、パンとかもそうですね。
そういったデザインって、「生活の一部」である消費物のために、意外と記録や記憶からすっぽりと抜け落ちちゃったりするんです。ただこれは一つの正しい姿で、それが人々の当たり前であり、生活の象徴であり、文化へと形成されてくるのだと思います。
ヨーグルトひとつにしても、メジャー商品であるブルガリアヨーグルトと、ニューカテゴリーである豆乳ヨーグルトでは大きくデザインの方向性が違うのも、人々の生活や思考が変化している証拠。女性的でやさしいトーンのデザインになるということは、この消費の大半は女性なんだろうか?その背景には女性の社会進出が関係しているのだろうか?・・・と、想いを巡らせてみたりもするのですが、好まれるデザインには理由があり、文化や時代が背景としてあると考えています。
さて!後編の「ギリシャヨーグルト」特集では、よりそういった部分にフォーカスした特集が組めたらと思っております。乞うご期待!
以上、パケコレでした。
▼後編
こんなにも違うのか?徹底比較!ヨーグルトのパッケージデザイン(後編)【連載第9回】
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ロンドンの愛される朝ごはん「ヨーグルト」の、パッケージ事情。
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