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紙パッケージになったキットカットから「脱プラ」の背景をわかりやすく説明する【連載第20回】

画像:packagecollection

こんにちはpackagecollection(以後パケコレ)です。(パケコレのプロフィールページはこちら。)

今回のテーマは「紙パッケージになったキットカット」!

皆さまは、ネスレのキットカットが紙のパッケージになっていたことにお気づきでしょうか?紙パッケージになった菓子商品は、以前から台湾のコンビニなどで見かけることはありましたが、日本ではあまり記憶になく・・・改めて、紙パッケージに「シフト」した商品として取り上げてみようと思います。

Photo:紙パッケージになったキットカットのパッケージ

まず、なぜ「プラスチックから紙になること」がそんなに驚きなのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。キットカットが紙にシフトしたのは「プラスチック製ストローの環境問題」とかなり近いものがあります。

大手各社が、プラスチック製ストローを廃止し紙ストローにチェンジしたニュースの背景には、プラスチックによる環境汚染問題が顕在化され始めてきたことがあります。プラスチックはコストパフォーマンスが高く、耐久性があり、腐敗しない特徴があります。大変便利ではありますが、それゆえにゴミとなった場合は、いつまでも地球に残り、環境を汚染し続けるという側面があるのです。

さぁストローの次は?そうです、フレキシブルパッケージ(軟包装材料=プラスチックフィルムなどの薄くて柔軟性のある材料からできたパッケージ)が注目されるのです。だからこそ、キットカットは先んじて紙パッケージに変えたという背景があるのではないでしょうか。早く手を打たれましたね。驚きました。

それでは、紙のパッケージはどのようなものなのか?キットカットの何がすごいのか?考えてみたいと思います!

1. 色味の再現性が変わる

Photo:台湾のお菓子

以前見つけた台湾のお菓子の印刷のクオリティがあまり高くなく、「紙パッケージにインキをのせるのは難しいのか」と思った記憶があります(品質チェックの問題もあるかもしれませんが)。

Photo:「キットカット」が紙パッケージに変わりました、と大々的に記載。

Photo:テレビCMでも紙パッケージになったことを伝えています。

フィルムと比べると画像の再現性は粗いのですが、上記台湾のパッケージと比べて、今回のキットカットはかなり綺麗に表現されています。

2. シワになりやすい

言わずもがな、これはどうしても避けられない悩みですね。海外だとそんなことで売り上げは左右されないのかしれませんが、クオリティの高い製品に慣れた日本人の消費傾向としては、果たしてどうなんでしょうかね。

ちなみに、パッケージの裏には「紙素材のため、しわや破れのおそれがありますので、丁寧にお取り扱いください。」という表記がありました。

3. 「あたたかみ」のある風合いになる

紙の特性はこれ!とも言える「あたたかみ」のある風合いが、一番の特徴です。紙に変わることで、あたたかみのある、やわらかな風合いを感じられるパッケージになっています。こちらのほうが好きという方もいらっしゃるかもしれませんね。

これからは、紙のパッケージになることでしか伝えられない、紙のもつ「あたたかみ」を活かしたデザインを、グラフィックデザイナーおよびメーカーの企画担当者たちが一緒になって考えていく必要があると思います。

製造と加工ラインの問題

今回このように大手企業が紙パッケージにシフトしたことは、かなりのチャレンジでないかと思います。その背景には、製造ライン、機械、手順など、そのほとんどの刷新(しているかは不明ですが、フィルムと紙は明らかに違います)・・・そう、ストローの材質をチェンジするよりも、数百倍も大変のはず。

この動きはきっと、この先2〜3年かけてようやく日系企業も導入という感じなんでしょうかね。今回はネスレの本気に感動した、筆者でした。

以上、パケコレでした。

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