お土産にもぴったりの、素敵なフランスのチョコレート。街にはたくさんのショコラティエ(チョコレート専門店)があり、首都パリに至っては「ショコラの激戦区」と言えるほどです。
そんなパリには、新旧さまざまなショコラティエがあります。なかには1700年代創業のお店があったり、2023年にオープンを果たした最新のショコラティエがあったり。三世紀近い歴史のなかで、その味、およびパッケージデザインはどのように変化したのでしょうか。
パリにある最新・最古のショップをご紹介しながら、見ていきましょう。
1761年創業、パリ最古のショコラティエ「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」
パリで最も古いショコラティエといえば、「ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ(À la Mère de Famille)」です。こちらはなんと1761年創業、今年で262周年を迎えます。
「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」はまた、ショコラティエでありながら“コンフィズリー”でもあります。
コンフィズリーとはフランス語で「駄菓子屋さん」のことです。そのためショップにはチョコレートの他にキャンディや練り菓子、フルーツゼリーなどが、伝統的なスタイルでずらっと並んでいます。
広い店内には、自家製のチョコレートがたくさん置かれています。「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」では奇をてらわない、クラシックなチョコレートを提供していますが、革新的なフレーバーに挑んでいるところも大きな魅力の一つです。近年ではピスタチオやゴマ風味といったチョコレートも仲間入りを果たしました。
そのなかでも「老舗らしい」と感じたのは、こちらのコフレ・パッケージ「レ・キャロ・デュ・フォーブル」です。
描かれているのは、歴史的建造物に指定されている店舗の姿。深緑の壁面にゴールドで刻まれた店名が、歴史の重みを感じさせます。
クリスマス時期には特別な商品も登場します。その名は「アドベント・カレンダー」。
クリスマス前の12月1日から24日にかけて、日めくりカレンダーのようにBOXの箱を開けると、なかから様々なアイテムが飛び出してくる・・・というギフト商品です。
「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」では毎年恒例のアイテムとなっていますが、今年2023年は「カカオの木」がテーマなのだそうです。
カカオの木が主役で、いたずら好きな虫たちがそこに集まってくるという可愛らしいデザインでした。
気になる中身はほとんどがチョコレートで、コンフィズリーもちょっとだけ含まれているそうです。フランスの人々はこうしたお菓子のアドベント・カレンダーが、「子どもの頃の楽しみだった」と言います。
モダンアートのようなデザインの「ル・ショコラ・デ・フランセ」
今までになかったタイプのパッケージデザインとしては、「ル・ショコラ・デ・フランセ(Le Chocolat des Français)」があります。
「フランスのチョコレート」を意味する「ル・ショコラ・デ・フランセ」は、2014年にパリで誕生しました。
こちらはその名の通り100%メイド・イン・フランスのチョコレートで、目を引くポップなパッケージデザインが魅力です。
フランスのイラストレーターや漫画家など、さまざまなアーティストに依頼したという「ル・ショコラ・デ・フランセ」のパッケージデザイン。
ナポレオンやモナリザ、エッフェル塔やマリー・アントワネットなど、フランスらしいキャッチーなイラストが揃います。
これまでは板チョコのみだったのですが、2019年からは缶入りのチョコレートも登場しました。缶入りのアイテムにはチョコレート以外にも、チョコでコーティングされたビスケットなどがあります。パッケージを捨てずに取っておきたい、という方にもおすすめです。
また「ル・ショコラ・デ・フランセ」のチョコレートは保存料を使用しておらず、オーガニック仕様です。
このように目を引く華やかなデザインで、味も美味しく、身体にやさしい「ル・ショコラ・デ・フランセ」は2014年、アートスクールで出会った2人の若きパリジャンによって立ち上げられました。現在ではパリのセレクトショップや雑貨屋さんなどでも置かれているのを見かけます。
パリの最新ショコラティエは女性がオーナー!ミニマリストなデザインで登場
さて、2022年からはパリのチョコレートショップに新しい風が吹くようになりました。
これまで男性ショコラティエが主流だったパリにおいて、女性ショコラティエが次々と誕生し、自身の名を冠したお店をオープンさせているのです。
その一つに「ジャッド・ジュナン(JADE GENIN)」があります。こちらはパリの有名ショコラティエであるジャック・ジュナン氏の長女、ジャッド・ジュナン氏が2022年に立ち上げたお店です。
すっきりとした内観に、無駄を省いたシンプルなパッケージデザイン。近年のパリでは紙タイプのパッケージもしくは缶タイプのパッケージ、この二極化が進んでおり、いずれもリサイクルを強く意識した内容になっています。
パリで一番新しいチョコレートショップも女性がオーナーです。
2023年4月に誕生したのは「マダム・カカオ(MADAME CACAO)」、女性ショコラティエであるクリステル・ブリュア氏のお店です。
ブリュア氏は以前、エリゼ宮(大統領府)のパティスリー部門の最高責任者として働いていました。彼女はそこで、大統領夫人のブリジット・マクロンさんにチョコレートの才能を見出されたそうです。(大統領夫人の実家はチョコレートショップです)
「自分の店を持つ」という長年の夢を叶えたブリュア氏。店名を「マダム・カカオ」とし、シンボルカラーの黄色をバックにパリの中心部でチョコレートショップを始めました。
そしてその内装とパッケージデザインは、「ジャッド・ジュナン」のコンセプトと近いものがあります。
華美な装飾は行わず、パッケージは極力シンプルに。パリの最新ショコラティエでは、こうしたミニマリスト的な要素があちこちに散りばめられています。
しかしその分、味には徹底的にこだわっているという印象を受けました。事実、「マダム・カカオ」の板チョコにはナッツや季節のフルーツ・コンフィなどが贅沢にあしらわれています。
パティシエやショコラティエの仕事は重労働で、朝も早く、クリスマスや母の日も休まず働かなくてはなりません。そのため職人になるには「家庭を持つ女性には難しい」とフランスでも言われてきました。
しかし時代は変わり、今年は世界最高のパティシエにパリジェンヌの女性が選ばれたりもしています。このように、女性の活躍が目覚ましいのが現パリのスイーツ事情です。
新旧ありとあらゆるチョコレートが存在するパリは、まさにショコラの「激戦区」と言えるでしょう。
伝統的なショップのパッケージデザインには歴史が感じられますし、現代のものはパリらしいアートと遊び心に溢れながら、どんどんミニマルになっています。
どちらも素敵なのですが、「丁寧」で「目を引く」という点においては、両者に共通したものがあると思います。
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