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“インスタ映え”ありき、ファッション化するベーカリーがブレーク中!

今、サンフランシスコではインスタ映えするポップなベーカリーが若者に人気沸騰中!スタートアップ企業が多いサンフランシスコ市内では、飲食業界でもSNSやインスタを狙った商品開発がトレンド生み出しています。お目当の店に訪れる客は、ヒット商品をスマホで撮り即SNSにアップするーーそんな光景が日常的です。クロワッサンやドーナッツも彼らのライフページを鮮やかに演出するアイテムの一つ。この現象はもはや「食べる」より「ファッション」感覚です。

写真:ショーケースに並べられた色とりどりのペストリーはクリームの味もそれぞれ違います。

写真:少量生産とローカル感がウケています。

写真:焼き上がり9時前後に若い人達が訪れインスタにあげています。

 

サンフランシスコで治安が悪くトレンドとは無縁だったテンダーロイン地区付近に、“インスタ現象”を起こしている話題のベーカリーがあると聞いて出かけました。そのストリートは昔からのドーナッツ屋やベーグル、タコスなどが並び、シニア層がマッタリコーヒーを飲んでいる姿が見られ、いかにもオールドサンフランシスコのイメージですが、有名な老舗が多い地区でもあります。そんな通りを1ブロックすぎたところに若者達が並んでいる噂の店、「Mr. Holms Baled Shop」を発見しました。とても小さな店ですが、足を踏み入れるとピンクのネオンサインが現代的で、ショーケースにはインスタユーザーを魅了するフルーツやクリームで飾られたカラフルなクロワッサンやドーナッツがアートのように並んでいます。午前9時近くになると次々と若いビジネスピープルたちがウーバー(サンフランシスコ発祥の個人タクシーアプリ)で店に乗り付けます。1日80個限定のヒット商品、「Croffin」(クロフィンと呼ぶクロワッサンとマフィンが合体したパン)が焼きあがる時間を知っている常連客です。

写真:一番人気の「クロッフィン」。サクサク感とマフィンというよりもっちりしたドーナッツの食感。

写真:色の配色や背景も考慮しインスタやSNSにアップします。

 

訪れた客はまずペストリーとのベストショットをSNSにあげようと同店の白いタイル壁に「 I got baked in San Franciso」(サンフランシスコで焼かれた)と書かれたピンクのネオンサインを背景にスマホ撮影します。その下の“イイネ”ならぬ、ピースサインがインスタユーザーのハートをくすぐります。そして店の白を基調とした人気のお持ち帰り用のボックスに6個のペストリー(6個以上の購入でボックスが貰える)を入れてウーバーで持ち帰ります。実はこのファッショナブルなパッケージもまたインスタツール。ボックスに詰まった可愛いペストリーとデザイン性の高いパッケージがインスタ映えを引き立てます。私も6個のペストリーを買ってみました。
フレッシュでクリームも高品質、ドーナッツは通常のアメリカンドーナッツに比べ甘すぎずもっちりとした食感です。ボックスは蓋の部分が内側に織り込む2重構造になっているため、安定し持ち運びができます。友達とのパーティに持っていけば、モテそうなデザインです。

写真:ボックスパッケージに詰めた色とりどりのペストリーをストアロゴと一緒にインスタへ投稿します。

写真:オリジナルのスタイリッシュなボックスパッケージをもらうために皆6個のペストリーを買います。

写真:白いタイルの壁とパッケージでオシャレな組み合わせで店内を明るくしています。

 

Mr. Holms baked shop が一躍注目を浴びたのは、去年12月まで販売していた「クロッスシ」の登場でした。なんと、寿司とクロワッサンが合体した奇想天外なクリエーションで、クロワッサンの中にサーモン、山葵、海苔などが入って、醤油をつけて食べるという発想です。「クロッスシ」という呼び名まで流行し、インスタユーザー達を炎上させました。現在は「クロッスシ」の販売は終了してしまいましたが、相変わらず人気の「クロフィン」は日替わりでフィリング(中に詰めるクリーム)で、飽きない美味しさを提供し常連インスタ客とそのインスタを見て来た人たちで賑わっています。

写真:狭いお店ですが、白いタイルや白いボックスパッケージとネオンでデザインされています。

写真:フィリングのクリームはマイヤーレモンをたっぷり使ったアッサリした甘さ。

 

奇想天外な発想の「タクロ」がインスタで炎上

写真:ViVe la Tarte の名物、「タクロ」。美しい盛り付けでインスタ映え。

 

もう一件のインスタ映え商品といえば、SOMAの外れにある若者に人気のクラフトベーカリーカフェ「Live La Tarte」が生み出した「タクロ」が大ヒット中です。
「タクロ」は、タコスとクロワッサンが合体した“ハイブリットグルメ”とも呼ばれるクリエーション。一見合わないように思えるフレンチとエスニックの組み合わせですが、フレッシュな野菜がタップリ盛られ、辛さと甘さが程よく交差し上質のクロワッサンのサクサクした食感が特徴です。その人気ぶりにとうとう今年、オーガニックグルメの登竜門であるフェリービルディングのキオスクにデビューしました。ローカルオーガニックが集結するビルに抜擢されたとあり、野菜も新鮮なオーガニックを使用しています。通常バター風味で不健康なイメージのクロワッサンも巧みなアイディアによりセイボリー(栄養的)で見た目もおしゃれに変身しました。「タクロ」は、ヘルシー、美味しい、インスタ映えをキーワードにインスタユーザーのみならず、このビルを訪れる多くの観光客や、金融街のワーカー達から人気を集めています。

写真:多くの人が集まるフェリービルディングで「タクロ」が大人気。

 

タクロはオリジナルカラーであるビビットなオレンジ色が基調で、ストア信条である、「Contemporary Homebaked」と書いたペーパーボックスに入ってきます。ペストリーながら野菜が多くランチにもピッタリのボリュームなので、フェリービル周辺のランチタイムはますます激戦区になっています。

写真:本店は広々とした自由空間でスタートアップ系若者が出入りしています。

 

一方、SOMA地区にある本店は、”インストリアルチック”(パンを焼く工場とカフェが同居する空間)で今風アーバンライフを象徴しています。創業は2011年、ベルギー出身のベーカーがご夫婦でオレンジのワーゲン車に乗りクロワッサンを販売することから始まりました。少量生産、高品質でクラフティ(手作りの)のクロワッサンはたちまち地元の若者にを支持され2015年に独立店舗をオープン(現在のHQ)、今年フェリービルディングでの出店と急成長しました。ご夫婦の目的はヨーロッパ仕込みの本格的なペストリーをアメリカで展開すること。コミュニティーと美味しい食べ物をつなぐことが店作りのテーマです。本店には「タクロ」はありませんが、朝にはショーケース一面にマイヤーレモンやブラッドオレンジ、イチジクなど「季節のフルーツ」が飾られたカラフルなクロワッサンが一面に並び、朝からスマホを持ったインスタユーザー達が列を作っています。また、同店はサンフランシスコのサードウェーブコーヒーを代表する「サイトグラスコーヒー」とのコラボで、コーヒーもまた想像的なメニューを提供しています。小さなスタートアップ企業が集まる同地区では、多くのエンジニア系の若者がコンピュータとスマホを忙しそうに操作しながら広々とした自由空間でそれぞれの時間を過ごしています。

写真:ワーゲン車でデリバリーを始めた頃は、正統派のクロワッサンを売っていました。

 

インスタ映えを狙う食品メーカーや外食企業のパッケージ戦略

 

消費者に好感度を与える食ファッションは瞬時で世界を駆け巡ります。流行に敏感な若者たちの食生活にインスタが加わったことで、食が彼らのアイデンティティをも表現するツールになっているようです。食品メーカーや外食企業にとってもインスタの拡散は大きな影響力を持つマーケティング。商品開発とパッケージ戦略も”インスタありき”の新しい局面を迎えています。

 

 

 

店舗案内

Vive La Tarte (本店)

1160 Howard Street, , CA 94103

(415) 634-5444

 

キオスク

166 The Embarcadero

Ste 50/ Kiosk 1

http://vivelatarte.com/

 

Mr. Holmes Bakehouse

 1042 Larkin St, San Francisco, CA

http://mrholmesbakehouse.com/locations/SF

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