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独自に進化し続ける、韓国「フェイスパック」の世界

初めまして。韓国・ソウル在住のライター二俣愛子と申します。韓国の方と結婚して、2018年12月からソウルで旦那さんと2人仲良く暮らしています。今は、日本のメディアで韓国に関する記事を寄稿したり、企業とブランドを繋げる仕事などをしています。

さて、「パケトラ」初となる今回は、韓国のマスクパックを取り上げてみようと思います。

見た目が就職や出世にも響くとも言われている美容大国・韓国では、一歩街に出ると毛穴レスでつるんと輝く“美肌”を持つ人が、男女ともに多いことにとても驚かされます。 「1日1回パック」が基本でもあるので、コスメストアでは「パック」の専門コーナーができているほど人気だということは、想像にたやすいかと思います。だからこそ、そのパッケージも多様に進化を遂げているわけです。

今回は、私が実際につい“パケ買い”をしてしまった、心ひかれた韓国のパックをご紹介します。

パッケージの説明が読めない?デザイン重視の「Abib(アビブ)」

写真:マスクパック「Abib」。パッケージは、大きく分けて透明なタイプ(写真手前)と白・黒タイプ(写真後ろ)の2種。

スタイリッシュなデザインが印象的で、コスメストアでもひときわ目を惹くパックが「Abib(アビブ)」です。表面には、効果・効能によって、配合されている成分のイメージがそれぞれデザインされています。

写真:鎮静ケア用の酸性pHマスクには、肌荒れに有効な「ハートリーフ(どくだみ)」のイラストが描かれています。

透明なパッケージのほうは、裏面の説明書を読もうと見ましたが、透明なベースであるのに白地でプリントされているため、ほぼ読めません。 それでもマスクパックの使い方は、一般的なものであればほぼ変わらないので全く問題はなかったのですが、日本では“説明が読めない”パッケージは見かけたことがなかったので、純粋に驚き、“見た目に重きを置く韓国ならではの発想だな”と感じました。

パックは、一枚約400円とマスクパックにしては割高ですが、韓国最大の口コミコスメアプリ「ファフェ」や「GLOWPICK」でもランキング上位にいて評価されていることから、“モノが良ければデザインは何でもOK”なのかもしれません。 このパックは、個人的にも効果を実感できてかなり気に入っているのと、デザインも素敵なので、日本の友人・知人に合うときの鉄板のお土産です。今では追加で購入するリピーターも続出しています。

最後まで残さず使える!新作の「メディヒール」

写真:こちらは「ハイドラドロップマスク」という保湿に特化したアイテムになります。

韓国パックの雄とも称されるのが「メディヒール」というドクターズコスメブランドです。お手頃な価格でありながら、美容の専門家たちによって開発された最新のテクノロジーを使って効果が実感できるマスクパックを多く展開しています。

こちらから、20194月に登場した新作のパックのひとつが「バイオカプセルイン」シリーズです。

写真:紙のパッケージを破り、取り出したところです。

写真:ドロップという名にふさわしい雫のようなプラスチックパッケージは、インパクト抜群です。

写真:パッケージはヨーグルトなどを開封するようなタイプ。中には、柔らかいのにしっかりと弾力のあるセルロースマスクが、蛇のように丸まって入っています。

写真:広げてみると、一般的なマスクパックに多く見られる折りジワがありませんでした。この特殊な丸め方にポイントがありそうです。

写真:この形状のおかげで、残った美容液が最後まで余すことなく使えるのも魅力的。

普通は、マスクパックをし終えた後、パッケージを丸めて絞り出すようにして手に出しますが、美容液をすべて取り出すことは難しく、手間もかかります。これは画期的だなと思いました。

このブルーのパッケージのほか、鎮静に特化したミドリ色でリーフの形をしているもの、艶出しに特化したピンク色でダイヤの形をしているもの、人気アイドルBTS(防弾少年団)とコラボしたハート形の限定パッケージも登場しています。

フタ付きで衛生的!「メディヒール」の塗るパック

写真:メディヒール「マスキング レイヤリング アンプル」全3種。箱から取り出したものです。

もうひとつメディヒールから個性的なパックをご紹介します。こちらは、“塗るマスクパック”とも言われている「マスキング レイヤリング アンプル」です。 アンプル3~4滴を3回に分けて重ねて塗り込むもので、1本で約5日間~1週間ほど持ちます。

写真:全3種類。毛穴に有効なムラサキ、集中保湿用のブルー、荒れた肌を鎮静するグリーン。

1箱の中に3本入っています。価格は定価で約1,000円ほどですが、街中のコスメストアや免税店でも取り扱いがあり、セールを頻繁にやっているので、約半額ほどで手に入ることもしばしばです。

写真:上部はフタになっていて、回して外すと上の写真のようになります。

写真:アンプルを出す時は傾けるだけで自然に空気が入っていき、1滴ずつ出てくるようになっています。

塗る際は、わざわざ手に取ることなく、直接顔に数滴ずつたらせるので、美容液が手に浸透してしまうのを避けることができ無駄がありません。また、手からの殺菌がアンプルに移ることなく衛生的です。フタ付きなので、持ち運びにも非常に便利で、外出先で化粧直しの際に使ったり、旅行に持っていくのにもぴったりと、ライフスタイルに合わせて使うことができるのも嬉しい点です。

ボトル容器を使って自分でパックを作る!「23 years old」

写真:23 years old「アクア バブ モデリングマスク」。

「23 years old(23 イヤーズ オールド)」は、自宅で簡単に高級エステのケアができるスキンケアコスメを展開するブランドです。

このブランドを代表する人気のマスクパックがこの「アクア バブ モデリングマスク」。モデリングマスクとは、エステで仕上げのパックとして、ジェル状の美容液を顔に塗って固めてはがすタイプのものです。

写真:このコロンとしたボトルの中には、4回分のマスクパックの材料(ジェル状の1剤・粉状の2剤・かき混ぜるための木製のスパチュラ)が、ぎゅうぎゅうに入っています。

写真:ジェル状の1剤をボトルの中に入れ、手前にある粉状の2剤と混ぜ合わせます。

写真:1剤と2剤を木製のスパチュラで混ぜ合わせているところです。

ボトルはただの容器としてだけではなく、これを使ってモデリングマスクを作っていきます。

写真:出来上がったジェル状のモデリングマスク。ジェルなので、コットンなどのマスクシートとは異なり、それぞれの顔の凹凸にも確実にフィットします。

出来上がったジェルを顔に乗せてパックをするタイプのものですが、自分で混ぜる道具をいちいち揃えることなく、これさえ買えば自宅で簡単に作れるというのが魅力でした。また、自分で作るというエンタメ性もあり、“このパックにはどんな効果があるのかな?”と期待しながらワクワクできたのもよかった点です。

さらに、実際にこの商品は、免税店・街中のコスメストアでも品切れが出ている人気商品です。肌の保湿力がぐっと高めてくれるためか、肌色がワントーンあがります。リピーターも多いアイテムです。

注射器型が面白い!「23 years old」の炭酸マスク

写真:23 years old「エア レイリング ポア マスク」

またまた23 years oldから、毛穴対策用の炭酸パック「エア レイリング ポア マスク」をご紹介します。色鮮やかなティファニーブルーのカラーが目を惹くパッケージの中には、炭酸ジェルが入った注射器と、通称“バタフライシート”と呼ばれる、毛穴が気になる鼻・頬周りをカバーしてくれるマスクシートが入っています。 

写真:本当に注射器のようなデザイン。女性が片手で扱える、ほどよいサイズです。

写真:注射器の先端にはフタが。こちらを外して押し出せるようになっています。

写真:毛穴が気になる部分に合わせて、シートの上に炭酸ジェルをまんべんなく広げていきます。

シートに対してジェルの容量が少ないため、“ここからここまで塗りましょう”という決まりがないことに少し戸惑いました。例えば、“鼻はこのあたり、頬はこのあたりにきます”というガイドのような印があると、もっと親切だと思いました。

写真:ジェルを塗り付けたマスクを実際に貼った様子。サイズが合わなくて切り込み部分もほぼ無用に終わってしまいました。

 肌に乗せた瞬間からパチパチと炭酸が発生しては弾けていき、マスクの上から軽くたたくとさらに炭酸反応が激しくなりました。実際の効果としてはとてもよくて、はがして水で洗い流したあとは、毛穴が小さく見えただけではなく、自然な血色感が出たのを実感できました。

 ジップ付きで持ち運びもできる!保管にも優れた「SUMANO」

写真:SUMANO「リチャージング エッセンス マスク / マスク トゥ ゴー」

最後にご紹介するのは、「SUMANO」のマスクパック「マスク トゥ ゴー」です。このブランドは、水に焦点を当て、肌が持つ本来のターンオーバーシステムを正しく調整する手助けをしてくれるスキンケアブランドです。

写真:このパックは、サイドを切り取ると、ジップタイプで開閉することができるようになっています。

名前に「トゥー ゴー」とあることからもわかるように、持ち運びを前提に作られたもののようです。

写真:ほかとは異なる円形のパッド型のパック。

美容液がたっぷりしみ込んだパッドは、外出先で乾燥が気になったときや、メイク直しをしたいときに、気になる部分に貼りつけます。 本格的なマスクパックケアではなく、外出先でちょっと気になるときに、簡単に行うことができるのがこのパックの魅力です。パッドは5枚入っていますが、一度にすべて使わずに保管しておくこともできました。

写真:韓国で人気のふき取り型のピーリングパッド。

韓国では、上の写真のようなふき取り型のピーリングパッド(これ1つでクレンジング、保湿、パックまでできるものが多い)が定番的な人気を誇っていて、各コスメブランドからたくさん出ているのですが、これもそれらを意識して作られたものなのかもしれません。

まとめ

一般的にイメージするパックのパッケージとは異なる、面白い形状のアイテムが見つかるのも、韓国パックの面白いところです。見た目(デザイン)を大切にする国柄がよく表れていると感じられて、“こんな見せ方があるんだ”と驚かされることもたくさん。特に売れているパックは(実際に効果が期待できることを大前提に)、デザインで興味を惹かせて、その魅力を体感してもらおうという意図が伝わってきます。

これからも続々と誕生する新しい韓国パックのパッケージやデザインに、引き続き注目していきたいと思います。

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