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新たなブームを生み出し続ける「韓国流スイーツ」次にヒットするのは?

韓国の文化のひとつに「食べ歩き」があります。特に繁華街である明洞(ミョンドン)や弘大(ホンデ)といった場所では、手軽にテイクアウトをして食べられるスイーツが豊富。

日本でも大ヒットとなった「チーズハットグ」や「トゥンカロン(太ったマカロン)」のように、次にトレンドになるであろう韓国の食べ歩きフードについて、今回は、特に韓国の女性を中心に人気であるスイーツに焦点を当てて、4つご紹介したい思います。

「進化系クロワッサン」をスイーツとして楽しむ

Photo:「BUTTERFUL & CREAMOROUS」の一番人気メニュー「ヨーグルトブルーベリー」とカフェラテ

最近韓国では、クロワッサンをスイーツとして楽しめるお店が増えています。

Photo:店内の中央に並べられたベーカリー。壁側には人気のクロワッサンがずらりと並んでいますが、時間によっては売切れでスカスカ状態!

その中でも、火付け役的存在なのが、お洒落エリア狎鴎亭(アックジョン)に位置するベーカリーカフェ「BUTTERFUL & CREAMOROUS」です。写真映えはさることながら、ここのクロワッサンとコーヒーが美味しいと話題で、常に満席が続いている人気店です。

Photo:「ヨーグルトブルーベリー 6,500ウォン(約650円)」。オリジナルのパッケージもおしゃれで定評がある

Photo:サクサクのクロワッサンの上にはたっぷりのヨーグルトクリームと甘さ控えめなブルーベリーソース

かなりボリュームがありますが、ほどよく酸味のあるクリームはさっぱりとしているので甘すぎず、良いバランスです。

Photo:「ハニークリームチーズ 7,000ウォン(約700円)」

また、こちらも定番の「ハニークリームチーズ 7,000ウォン(約700円)」。濃厚なクリームチーズクリームの上に、ハチの巣をまるまる乗せています。

Photo:「トリプルブラック チョコレート クロワッサン 8,500ウォン(約850円)」

こちらは、ずっしりと濃厚なショコラが楽しめます。

Photo:クロワッサンとマフィンを組み合わせた「クロフィン」と呼ばれるもの。こちらは「バニラカスタード クリモラス クロフィン 5,800ウォン(約580円)」

Photo:「クリモラス 抹茶 グリーンティ クロフィン 6,000ウォン(約600円)」

ここでは、クロワッサンとマフィンを掛け合わせた「クロフィン」というスイーツベーカリーもラインナップされています。つい写真を撮りたくなるビジュアルも人気の理由でしょう。

また、こちらのお店はパッケージやディスプレイにもこだわっています。クロワッサンが棚にディスプレイのように並べられていますが、商品ですのでこちらから専用のトングで取り出します。トングやプレート、ペーパーも棚に飾られているように見えるので、インテリアとして馴染んでいます。

Photo:商品を取るためのプレート、ペーパー、トング。インテリアとして成立しています。

そしてテイクアウトすると、オリジナルの紙袋をクリップで留めてくれるのです。

Photo:テイクアウトしたときのもの

Instagramでもこのテイクアウト用パッケージを撮影して投稿する人が多く、人気を後押ししている要因のひとつになっていると思います。

Photo:BUTTERFUL & CREAMOROUS

伝統的な韓国スイーツ「ホットク」を現代版にアレンジ

韓国では、昔から愛されているスイーツのひとつに「ホットク」というメニューがあります。もちもちとしたパンケーキ生地の中に、砂糖やナッツ、シナモンを詰め込んで、カリカリに揚げ焼きしたものです。食べ歩きの場合は、紙カップに折り詰めて提供されるのが定番のスタイル。

Photo:たくさんのフレーバーの中から選べるバラエティの豊かさが人気

その中でも若者たちに人気を集めているのが、ホットク専門店「ト ホットク」です。このお店は韓国第二の都市である釜山(プサン)発祥ですが、2018年10月に、学生街であるソウル・弘大(ホンデ)に出店しました。

Photo:「ト ホットク」のメニュー板。約30種類から選べます。スイーツから食事系まで幅広いラインナップ

人気の理由は、なんと30種類ものホットクが食べられること。そして1つ約150円~というお手頃な価格も、学生たちから支持を集めている理由になっていると思います。

Photo:店主のジョン チェヨプッさん。ひとつひとつ丁寧に焼き上げてくれるホットクは、外はカリカリ、中からはソースがじゅわりととろけ出し、まさに絶品のひとこと

Photo:こちらは人気の「きなこバターハニー 1,800ウォン(約180円)」

日本人にも馴染み深いきなこ味もバラエティ豊かです。「きなこバターハニー 1,800ウォン(約180円)」「きなこナッツハニー 2,000ウォン(約200円)」など、ワンランク上のリッチな味わいが楽しめます。

Photo:「ヌテラ ハニー 2,000ウォン(約200円)」。

ココアパウダーがたっぷりかけられており、中からはヌテラ(チョコレートソース)がとろけ出してきます。一緒に訪れた夫と取り合うようにようにして食べたくらい美味。

また、お惣菜系のメニューも食べられるので、甘いものが苦手という人も楽しめます。

Photo:「ハッシュ ブラウンズ ハニー 2,200ウォン(約220円)」。

ハチミツ入りの甘いホットクに、ケチャップ付きのザクザクとした食感のハッシュブラウンのコンビメーションが良い一品。YouTubeで人気の「ASMR」の動画撮影にもぴったりな食感が楽しめます。

お惣菜メニューは他にも、えびが丸ごと入った「シュリンプ ハニー 2,200ウォン(約220円)」やリブ肉を使った「トッカルビ ハニー 2,200ウォン(約220円)」といった、他では食べられない変わり種も豊富です。

昔ながらの韓国スイーツを現代的にアレンジして、低価格で提供するスタイルの「ト ホットク」。日本版スイーツにも応用できるヒントが隠されているかもしれません。

Photo:ト ホットク

とろとろのさつまいもスイーツ専門店!

Photo:店内にディスプレイとして並べられていた、大きなさつまいも

秋の味覚のひとつ、さつまいも。韓国でも同様に、秋にはさつまいもがたくさん出回ります。安くて甘くて美味しいので、焼肉専門店などでも炭火焼きにしたものをサービスとして提供されたり、一般の家庭でもおやつとして食べるなど、さつまいもは日本と同じように身近な存在です。

Photo:店内に飾られている「さつまいも専門店」の文字。

そして、そんなさつまいもを使った美味しいスイーツが年中食べられるお店が、2018年9月にオープンした「古心」です。最近では釜山(プサン)に2号店が誕生したり、百貨店にも進出するなど、その人気ぶりが伺えます。ちょっと変わった韓国ならではの発想でアレンジされ、SNS映えを意識したメニューまでもを楽しめるお店です。

ここでの2大人気メニューは「ハニーバター」と「チーズ」なのだそう。

Photo:「ハニーバター レギュラー 3,000ウォン(約300円)」。

ラージサイズも選べます。バターの塩気がほんのり効いた一品で、濃厚ながらも自然な甘みが味わえます。

Photo:「チーズ 3,800ウォン(約380円)」。

さつまいもの上にチェダーチーズをたっぷりとかけて、バーナーで炙って提供されます。また、スプーンを入れてみるとチーズがかなり伸びるので、SNS映えもばっちりです。

Photo:「ハニーアイスクリーム 4,500ウォン(約450円)」。ハチの巣が乗っておりビジュアル力も抜群

このほかにも「プルコギ」や「ヨーグルトカカオ」などの変わり種もあり、興味をそそられました。

Photo:古心

ワッフルは、軽い食感と豊富な種類で魅せるのが「韓国流」

Photo:「いちごヌテラワッフル 3,900ウォン(約390円)」「オレオ ヌテラ ジェラート ワッフル 4,500ウォン(約450円)」。

韓国でもワッフルは手軽に食べられる軽食・おやつとして人気で、駅ナカや街角にある屋台など、どこでも売られているほど身近なメニューです。ただし、韓国ならではのサクサク感とライトな生地が日本のワッフルとは異なります。

大学生を中心に人気を集めているワッフルのチェーン店「ワッフル大学」では、そのサクサクとした韓国らしいワッフルが味わえます。学生をターゲットにしているので、学生街(中には学校の目の前)にあることがほとんど。主要都市にいたっては、休日のお昼間でも若者で溢れかえっているほどです。

Photo:電子パネルまたはレジにてオーダーします。観光客にとって混雑している店舗ではレジでのオーダーが困難な場合がありますが、言語選択から「英語」が選択できるのと、写真付きでわかりやすい

Photo:電子パネルオーダーの「アイスワッフル」メニューの一部。ワッフルだけで約30種類以上から選べる

Photo:手前が「アイスワッフル」、奥が「クリーム系のワッフル」

中身によってワッフルの焼き加減を調整しているのが特長です。アイスの場合は少し固めでパリパリに焼き上げ、クリームの場合はほんのりとキツネ色になる程度に仕上げているため、食感の違いを比べる楽しさもあります。

Photo:人気メニューは、季節限定のイチゴを使ったメニューや、ジェラートがたっぷりと入った「アイスワッフルシリーズ」

また、ホイップクリームやアイスクリームなどのトッピングを自分でカスタマイズできるメニュー「クリームワッフル 1,700ウォン(約170円)」も、安くて美味しいと人気を集めているのだとか。

Photo:選べるクリームは12種類の中から選択できる

Photo:かなりのボリューム感があるため、価格に対するお得感も感じられる

「ワッフル大学」ロゴ入りのペーパーに挟まれて提供されます。これはテイクアウトでもイートインでも同じです。

Photo:大学路店の店頭から撮影したもの。席数は少なく、ほぼテイクアウト専門です。人も多いので、席に座れても食べたらすぐに出なければいけない雰囲気

また「ワッフル大学」はチェーン店ですが、店舗によって店内の作りを変えているのが特長です。都市部ではゆっくりできる空間はあまり設けておらず、テイクアウトを中心とした店づくりがなされており、数少ない席に座れたとしても他のお客さんが続々と入店してくるのでゆっくりはできません。ちなみにこの日は、店の外でもワッフルの出来上がりを待つ人で溢れていました。

それに比べて、都会から少し離れた小さな駅にあるお店では、充実した席数を持つ店舗もあります。ファゴクという駅にある店舗では、学生たちが学校帰りに立ち寄っておしゃべりが楽しめる空間が作られていました。中には勉強や仕事をしている人も。

Photo:ファゴク店の様子。こちらの店舗は学校のすぐ目の前にある地域密着型。ゆっくりと会話が楽しめるソファ席もあります。

こちらの店舗の周りには、都会に比べてカフェが多くありません。飲み物と一緒にオーダーしている人が多かったので、ゆっくりと過ごしたい学生が集まってきているようでした。チェーン店だからといって全く同じような作りにするのではなく、各地域の特性に合わせることが、人気を支えている秘訣なのだなと実感しました。

身近なメニューが進化し、新たなヒットを生み出す

韓国のスイーツは、もともと身近なメニューに、ひとつふたつと工夫をプラスして現代的にアップデートしたものがヒットを生んでいるように感じました。豊富な種類から選べる、カスタマイズできる、贅沢感が味わえる、意外な味の組み合わせで興味を惹きつける、食感を変える、ボリューミーでお得感が味わえる。そして、個性的なパッケージにSNSを意識したビジュアルなど、ヒットの秘訣が盛り沢山です。

日本の伝統的なお菓子や、身近なベーカリメニューに+αすることで、日本でも新たなヒットスイーツがまだまだ誕生するのではないでしょうか。

※上記の掲載価格は、1,000ウォン=約100円で計算
※価格は2020年1月現在のもので実際の価格とは異なる場合あり
※価格は予告なしに変更になる場合あり

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