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移民大国フランスのシャンプーボトルから見る、美しさの多様性と共通点とは

初めまして!フランス・パリ在住のフリーライター大内聖子です。フランス発のありとあらゆる商品デザインの美しさと、言論の自由があるフランス文化に魅せられて2018年に移住してしまいました。現在はWEBデザイナーのフランス人夫のサポートのもと、主に香水や美容に関しての記事を日本の読者様向けに執筆しています。

さて、エコ大国フランスは、「ナチュラル志向」の高い国民性です。特に肌に直接つけるものや、口から取り入れるものは徹底して自然由来で安心なものを好みます。そこで今回はフランス発の「ナチュラル派シャンプー」に見る、日本とはちょっと違うパッケージデザインに着目しました。目で見て楽しく、バスルームの時間がほっこりするようなアイテムの数々をご紹介します。

移民大国フランスのシャンプー事情

日本人の髪質は、基本的に直毛で色も暗めの方が多いと思います。ドラッグストアなどで見かけるシャンプーの種類はほとんどが「しっとりタイプ」か「さらさらタイプ」の二択に分けられていていて、そのパッケージデザインもシンプルです。

私が暮らすフランスはヨーロッパ屈指の移民大国で、全ての人種が集うマルチプルカルチャーとなっています。特にパリは人種のるつぼなので、髪質のバリエーションも日本に比べると千差万別です。

この国で生活する仲間の間で、必ずと言って良いほど話題に上がるのがシャンプー問題。幅広い人種のニーズに対応するため、ヘアケアの種類が実に豊富で、その売り場面積も広大です。そんな多種多様なシャンプーを観察する過程で、「ナチュラル志向」の強いフランスならではのユニークなパッケージデザインを発見しました。そこにはメーカー問わず共通の特徴があったので、ぜひご紹介したいと思います。

フランスのシャンプーの個性

Photo:スーパーでのシャンプーコーナー。フランスではスーパーでシャンプーを買うのが一般的です。

まず特徴の一つに挙げられるのが、大容量サイズがないことです。詰め替え用パックも販売されていません。水質が硬水で乾燥地帯のフランスでは髪の毛を毎日洗う習慣がなく、シャンプーの使用頻度は週に3回から4回程度の家庭がほとんどです。そのため200ml程度の小容量がちょうど良いのかもしれません。また、髪と地肌を甘やかさないためにもシャンプーの種類を定期的に変えるのが良しとされている習慣があります。

Photo:鮮やかなカラーのシャンプーボトルは目に留まります。フランスのシャンプーボトル は、まるで「私を見て!」と言わんばかりにカラフルで主張が強いです。

フランスのヘアケアブランドのコンセプト

フランス人に馴染みの深い、Garnier(ガルニエ)社のUltra Doux(ウルトラドゥ)シリーズはどのスーパーでも一番の売り場面積です。創業1904年のGarnier(ガルニエ)社は、天然成分を重視してヘアケアからスキンケアまで展開するフランス国内大手のヘアケアブランドです。シャンプーの種類はなんと31種類もの展開があります。

このブランドは環境への取り組みにとても熱心で、商品の原料には科学燃料を一切使用していないそうです。いずれ枯渇してしまう科学燃料よりも、自然の恵みで採れた原料で美しくなろう、というコンセプトです。エコ大国と言われて久しいフランスでは、このブランドコンセプトと消費者のニーズがぴったり一致していると言えます。プラスチックボトルが100%リサイクル可能なのは言うまでもありませんが、排水時にも環境を汚さない成分となっています。

Photo:フランス人が好むリンスインシャンプー(2 EN 1)。バニラミルクとパパイヤが原料です。

自然の恵みで採れた原料で美しくなろうというコンセプトですが、具体的に何を原料としているのでしょうか?その答えは全て、「食べ物」に由来しているものでした。食品ひとつひとつの特性を活かして、それぞれの用途をヘアケアにも使用しているのです。意外なことにフローラル系やハーブの香りは少なく、食べ物のなかでも特にデザートを想像させるようなシャンプーが多いのです。

例えば上記の写真では、バニラの花とパパイヤがパッケージに描かれていますが、シャンプーボトル下の部分に「ロングヘアで絡まりやすい髪に」との表記があります。バニラの花のエッセンスが髪の指通りをスムーズにしてくれます。そしてビタミンAが豊富なパパイヤの繊維には、髪に栄養を与える天然の角質除去剤の効能があることを表しています。

Garnier(ガルニエ)社だけでなく、各メーカーそれぞれのパッケージに主となる原料の食べ物のイラストがデザインされています。実はこのイラストがとても好感度が高いものとなっています。リアルすぎず、くだけ過ぎておらず、爽快感を感じます。と同時に、「日ごろから口にする食べ物」を原料にしていることで消費者に安心感を与えています。

Photo:キャップ部分ズーム

また、コロンとした丸いキャップの形にも特徴があります。フランスでは未だにバスタブにつかる習慣がなく、狭いシャワールームのみの家庭が多いので、バスグッズが上手く整理できません。よってバスグッズを直にシャワールームの床に置いていることが多いのです。その丸いキャップは、濡れた状態の手でも太さがあるので掴みやすく、消費者にストレスを与えません。キャップの太さは使い勝手が良いポイントです。開け口にはBIOの象徴である葉っぱのマークがあり、この部分を押すことで開閉できます。

売り場でよく見かけるシャンプーのパッケージ

Photo:アボカドオイルのシャンプー。

縮毛に悩む人に人気です。ボディクリームも同様にココナッツミルクとマカデミアナッツのデザインが描かれています。

Photo:ココナッツウォーターのシャンプー。

ココナッツウォーターに素早い水分補給の役割があることに着目して作られたので、乾燥毛の改善に効果があるそうです。寒色系のカラーがみずみずしさを表現しています。

Photo:DOP(ドップ)社から発売されている、アーモンドオイルのシャンプー。

アーモンドオイルは超敏感肌の方にも全く危険性のないという視点から、様々な年代の方に広く愛されているシャンプーの1つです。王道なのでデザインもシンプルです。キャップ部分が右斜め方向の端についていて、見た目はスリムでスッキリしているのですが、小さすぎるため爪を傷つけてしまうという難点があります。

Photo:キュウリのシャンプーも!

キュウリの収れん効果や消臭効果がデトックス作用があるとされ、オイリーな頭皮の方向けです。キュウリの切り口のイラストからフレッシュさが伝わってきます。

Photo:子供向け用シャンプー。子供が好きそうなフルーツのデザインです。

2018年の出生率が1.87と、高い水準を誇るフランスでは子供の数が多く、キッズ用品も豊富です。シャンプーボトルには可愛いキャラクターのイラストが描かれています。シャンプーだけではなく、日焼け止めクリームやボディソープなど直に肌につけるプロダクトのほとんどにオリジナルのキャラクターデザインが施されています。(しばしばコラボ商品もあります)

子供が気に入ったキャラクターデザインのボトルを「これほしい!」と自発的に手に取るようにと考えられているそうです。子供だけでなく大人もパケ買いしてしまいそうなほど目を引くカラーとデザインのシャンプーです。

まとめ

フランスのシャンプーボトルに共通している特徴は、「食べ物」がイラストで描かれていることでした。全体的にカラフルで、無機質になりがちなバスルームのアクセントとなりそうです。ボトルの中央部分にメインの原料のイラストが描かれていることによって効能が一目瞭然です。

季節や体調によっても髪の状態は変化するので、フランス人の言うようにシャンプーの種類を定期的に変えるのが必要になります。ボトルごとのイラストにユニークさがあるので、「次はどれにしようかな?」と選ぶ楽しみも生まれます。掴みやすい丸いキャップもアクセントになっていました。

ナチュラル志向の強いフランスならではのシャンプー事情に加え、視覚に訴えかけるようなボトルデザインの数々。日用品からもお国柄を感じました。次々に新商品が発売されているので、今後もどんなデザインが登場するのか楽しみです。

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