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調味料から探るオランダ流映えパッケージ

パッケージの記事を執筆しながら何なのですが、こっそり打ち明けますと、いつも少し頭を抱えています。

オランダには「包む文化」がないようで、お店のレジで『自分用』と伝えれば商品そのままですし、『プレゼント用』と伝えれば包装紙やリボンをつけてくれますが、その包み方に、自分でやったほうがマシだったかも、とがっくりすることがよくあります。

オランダ唯一で、三越や大丸に匹敵するレベルの百貨店「Bijenkorf」でさえ店員が包装紙と格闘する姿を目撃します。
しわも余計な折り目もつけず、すごいスピードで手際よく包んでいくのは日本だけのサービスだったのかしら……と思ったりします。

日本からのお土産をオランダ人に渡すと、中身を見る前に驚かれ、感心されるのが、包み紙の品質、化粧箱の美しさです。みなさん、どちらも後生大事にとっておくほどです。そんな包む文化をもつ日本にお伝えするパッケージがオランダにはあるのだろうか? 

そこで『映え』というキーワードを頼りに探ってみたところ、日本とは異なる色やデザインで展開するパッケージが「調味料」に見つかりました。

伝統に縛られないブランディング

■Zeeuwche Zoute
食に淡泊と言われるオランダでも、ここ最近の料理番組の増加も影響しているのか、食材にこだわる層が広がっているのを感じます。写真のパッケージは、そんなグルマンが喜びそうな塩セットです。

燻製海塩、ゼークラール(通称シーアスパラガスと言われる野菜)入り、わかめ入りの3種がセットになっています。

この塩はゼーラント州(Zeeland)で作られたものです。
オランダ南西部に位置し、「海の国」という意味のゼーラント州は、北海に面しています。

良質なムール貝、オイスター、ロブスターなどのシーフードが楽しめる場所として有名です。Zeeuwsche zouteは、一人の起業家が立ち上げた若いブランドで、2020年にゼーラント州の特産品を示す「Zeker Zeeuws®」という品質ラベルを取得し、百貨店やミュージアムなどで販売するほか、高級レストランに卸しています。

瓶詰のほか、マット加工の紙の筒形ボックス、詰め替え用パックもあります。

オランダの塩づくりの歴史は16世紀前半に途絶えたと言われています。

塩によくある「伝統を継承した商品」というストーリーは作れないわけですが、そのような歴史は、パッケージ一新などドラスティックに変えたいときに足かせになることもあります。

Zeeuwsche Zouteの創始者であるChristian Clerxさんはアムステルダムのマーケティング会社の代表でもあります。「オランダはかつて塩づくりをしていた」という歴史的事実を足掛かりにはしていますが、その地域がもつカラーなどに縛られずに、独自のパッケージでご当地名産をブランディングしています。

■Tomasu Soy Sauce

昔ながらの調味料をセンス溢れるボトルに詰め、プレゼント用として高い評価を得ている商品があります。昔ながらの調味料とは醤油。ブランドは「Tomasu Soy Sauce」といいます。

パン職人でもあるThomas Uljeeさんは、パン作りの工業化に疑問を抱き、いちから自分の手で作れる何かを探していたそうです。そんな折、醤油作りに取り組むアメリカ人のドキュメンタリーを見て、これだと閃き、醤油作りを猛勉強。今はパン工場の一角を醸造蔵に改装し、本醸造方式で醤油を作っています。

Tomasuという名前にしたのは、カタカナの「トマス」を機械翻訳で英語変換したらTomasuになったからだそう。

ちなみにThomasさんは来日したことはありません。自ら研究し、経験を積み、発想していくという自己流にこだわっています。

1本(200ml)€20(約2,500円)と高めの値段に設定したのは、Tomasu Soy Sauceは、日常使いというよりもプレゼント用と位置づけているからで、iPhoneにヒントを得たというウイスキーフラスコのようなボトルも、手のひらのサイズ感と見た目を重視したからだそう。

Thomasさんの考えもChristianさんと同様、「こうでなくてはいけない」という縛りから解放されて、(世間が何といおうと)自分がいいと思う方法を貫いています。

そのような観点からパッケージを考えると、強いメッセージを出せるか否かは、案外、「自分がいいと思うものを信じる強さ」からくるのかもしれませんね。

黒いボックスにおさめられたスタイリッシュな化粧箱。生醤油、甘い醤油、辛味醤油が収められています。

何気なく特別なプレゼンテーション

■Pineut

オランダ人の好きなDo-it-your-selfをコンセプトに、飲み物、調味料、スイーツなどの原材料をおしゃれなパッケージにして展開しているブランド「Pineut」。

数種のハーブが入ったボトル(写真)は、ビネガーを注げば新鮮なヴィネグレットソースができるというもの。キッチンに置くだけで絵になるパッケージ、手間をかけずに作る楽しみを提供するアイデアは、Pineutの創設者が女性と聞いて、納得です。

キッチンに置くだけで絵になるビネグレットボトル。

冬のドリンクギフトボックス。アルコールフリーのグリューワイン、チョコドリンク、カクテルティーを作る原材料がボトルに収められています。

■Celebrate What You Eat

包む文化はなくても、グラフィックに強いオランダ。普通のスーパーでも思わず足を留めるステキなデザインの食品に出会うことがあります。

Celebrate What You Eatというウィットに富むラベルの調味料として販売しているマヨネーズとケチャップのチューブも、ご多分に漏れず、ポップなデザインが目を引きます。

アムステルダムのシーフードバー「Mossel en Gin」で使われているソースが評判を呼び、シェフとフーディな仲間と一緒に「食べることを楽しもう」(Celebrate What You Eat)というレーベルを立ち上げ、2つのソースを商品化しました。

ボックスにはソースを使うヒントが書かれたカードも入っています。この商品のユニークな点は、ボックスがソーススタンドに変身すること。「食べることを楽しむ」のは、「元気がでること」。そんなメッセージがポップなイラストや仕掛けからも伝わってきます。

パッケージの中には2つのチューブソース、ソースを使うお料理のヒントカードが収められています。

点線に沿って丸を切り抜くと、チューブスタンドになります。

まとめ

今回は「調味料」に焦点を当てて、「映えるパッケージ」を集めてみました。

日本と比べると決してレベルが高いとはいえないと思いますが、「口にするものだから」という固定観念に縛られず、自由に発想する切り口は、少々生真面目に考えがちな日本のパッケージデザインのヒントになるのでは?と思います。

 

 

 

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