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【パッケージコラムvol.3】大手コンビニ3社から読み解くPBのパッケージデザイン

今回はプライベートブランド(以下PB)のパッケージデザインについて、大手コンビニを通して読み解いていきます。

まずはさくっとPBについて調べておきましょう。

「プライベートブランド
別表記:PB、自主企画商品、ストアブランド
英語:Private Brand
スーパーなどの小売店、あるいはデパートのような百貨店が展開する独自のブランド商品を意味する語。一般的に商品の企画や販売を行い、生産は外部に委託することが多い。」(weblio辞書 PBの項目より)

端的に言い表すと小売店、百貨店のオリジナル商品といったところでしょうか。

セブンイレブンでは『セブンプレミアム』、ドンキホーテの『情熱価格』、また無印良品も始まりは西友のPBという話は有名ですね。

パッケージを見てみる

左から、ファミリーマート、ローソン、セブンイレブン

まずは紙パックのコーヒーをコンビニ3社で比較してみましょう。セブンイレブンとファミリーマートが系統としては近いでしょうか。

分かりやすく無糖コーヒーであることを表記し、シズル画像を使用しています。センターのローソンのみ手作り感のあるシーンを想起させる画像を使っています。

細かい容器の形状やキャップの色など差異はありますが、今回はコンビニPBという幅広い受け皿の商品だからこそ表記や文字の扱いに注目したいと思います。

  • 無糖ブラックコーヒー -香りとコクのバランス-(ファミリーマート)
  • コーヒー 無糖 -自家焙煎、コク深く 豊かな香り、雑味なし。-(ローソン)
  • いつもの珈琲 無糖(セブンイレブン)

それぞれ微妙な差異ではありますが、優先順位が異なっています。

売り場がある程度固定されている為、識別性を重視し無糖を大きく掲げるものもあれば珈琲と並列に扱っているものもあります。

PBは個々の商品ごとに大きな差を作ることが難しいことから、サブコピーの存在や書体といった細かい部分の与える印象がより大きなものに感じます。

セブンイレブンのPB

全面に商品画像を押し出すとともに、商品名も大きく表記しています。選ぶのに必要最低限の情報がコンパクトにまとめられ、識別し易くなっています。

また商品群によって商品名の書体が異なっていたり、それに伴った細かな配慮がなされています。

セブンプレミアムの中でも複数にカテゴリー分けがされており、それぞれのフォーマットで運用されています。

ローソンのPB

ベージュを基調とし、少し特徴のある書体が使われています。また他社PBと比べ商品名の主張も抑えられ、全体として柔らかい印象になっています。

プレミアムラインでは他2社が金色を使っているのに対して、ローソンでは紺色が使われています。暮らしに馴染むというコンセプトを随所から感じ取ることができます。

またローソンは「MACHI café」や「Uchi Café」に「NATURAL LAWSON」と複数のブランドを抱えていますが、統一感のあるイメージを維持しつつもそれぞれを活かしているところも特徴的です。

ファミリーマートのPB

つい先日Family Mart Colectionからファミマルへと統合されました。

以前のパッケージでは白の座布団と共に商品名が配置されていましたが、他社PBと同じく文字と商品画像、ブランドロゴをメインとした構成になりました。

商品名の書体も存在感がある太めのものですが、少し柔らかいものになっています。セブンイレブンとローソンのいいところを上手く取り入れているように見えます。

また今回のリブランディングを機にお母さん食堂などのブランドは「ファミマル KITCHEN」と「ファミマル KITCHEN PREMIUM」に統合されています。

3社のPBパッケージの文脈を辿る

パッケージは企業と顧客を繋ぐタッチポイントの1つです。それを踏まえデザインの意図を探る為にも、グラフィック的な部分ではなくもう少し上流へと遡っていきましょう。

まずは3社についての情報を集めてみましょう。

店舗数

  • セブンイレブン 国内店舗数: 21,167店舗
  • ローソン 国内店舗数:14,476店舗
  • ファミリーマート 国内店舗数:16,590店舗
    (各公式サイトより抜粋)

店舗数を知ることで、どれくらいのターゲットにリーチするべきなのか、規模を想像する手がかりとなります。

コーポレートメッセージ

  • セブンイレブン「近くて便利」
  • ローソン「マチのほっとステーション」
  • ファミリーマート「あなたと、コンビに、ファミリーマート」

コーポレートメッセージには端的にその企業がどのような存在を目指しているのかを知ることができます。企業と顧客の接点であるPBパッケージにはそのメッセージのエッセンスが含まれているはずです。

これらの情報から、

セブンイレブンはその規模の大きさからより多くの人に刺さる分かりやすさ、普遍的なパッケージデザインである必要があるでしょう。

ファミリーマートでは親しみやすさと識別性、分かりやすさのバランスを上手く両立しようとしているように感じます。

ローソンには他の2社との差別化を含んだ少し尖った個性、親しみやすさが込められているように思います。

このように探っていくと、一見特徴のない均一的なデザインのPB商品にもブランドとしてのアイデンティティとその色が見えてきます。

PBのパッケージは群れのデザイン

今回は食品を取り上げましたが、コンビニのPBは特に商品数も多く、飲料や菓子といった食品から日用品と膨大な量の商品が存在します。

それらを包括し、統一したイメージを伝えることは容易ではないでしょう。

その物量はグラフィック的なデザインというよりは、設計と言った方が適切かもしれません。

メーカーのパッケージが個々で戦うのに対して、PBは群れを成しその大きな輪郭で戦うパッケージと言えるでしょう。

 

<参考>

セブン‐イレブンのオリジナル商品|商品ブランドロゴについて https://www.sej.co.jp/products/branding.html

ファミマの新しいプライベートブランド ファミマルhttps://www.family.co.jp/campaign/spot/famimaru.html

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